ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
第十一話 生徒会


この学校には生徒会長が一名、副生徒会長が二名いる。
計三名により、この学校の方針および管理等をおこなっている。
例えば学校の風紀が乱れれば、この三名の内一人がその問題に取り組むのだ。
また、この三名で対処しきれない程の事があれば、校長が出てくる。
ちなみに現在までに校長が出動した事は一回しかない。
その一回とは、ネリスとヴェルフェスが衝突した事だ。
ヴェルフェスに才能が無いため、ネリスは彼をサンドバックの様にボコボコにしたのだ。
彼も弱いと言う訳では無いが、実力に差がありすぎたため仕方がないのだ。
しかもネリスが誰かをなぶり殺しにしても誰も止めない。
むしろ歓声が上がるのだ。ネリスが劣等品をなぶり殺しにしている、と。
ネリス自信もヴェルフェスを嫌っているため、別に止める事はしない。
そして、ヴェルフェスが完全に立ち上がれなくなった所で校長が止めにはいったのだ。
なぜ校長が止めに入ったのか? それはネリスがヴェルフェスにトドメを刺そうとしたからだ。
それにより騒動は収まったが、ネリスがみんなから嫌われる事はなかった。
そのかわり、ヴェルフェスは完全に孤立し、現在にいたるのだ。
そして今、生徒会と書かれた部屋で、三人の学生が話し合いをしていた。




「じゃあ今から、来月行われる討伐祭について話し合うわ」

生徒会室のソファーでのんびりと座りながらネリスは口を開いた。
その声を聞き、ソーマとフェンがネリスに視線を送る。
ちなみにソーマは壁に背もたれし、フェンはソファーに座っている。

「今回の討伐祭は、確か校長が参加するらしいね」

ソーマが自分の情報を口にすると、ネリスが軽くため息をつく。

「そう、今回は校長が参加するわ。つまり・・・・」

「生徒が一位になることは無いってこと?」

フェンがネリスの言いたい事を先に言うと、ネリスはそう、と呟く。

「だいたい、生徒だけが参加するはずの行事に教師が参加するなんておかしいわ!」

「けど、面白くなりそうだね」

ソーマはそう呟き、生徒会室から出ていく。

「私も反対はしないけど、ネリスはどうなの?」

「無論反対よ! 今日校長に抗議するわ」

ネリスはソファーから立ち上がると、足早に生徒会室から出ていった。

「まったく、困った生徒会長さんだ・・・」

フェンはネリスの後ろ姿を見届けると、呑気に紅茶をすすった。







「全く、校長はおかしいわ! あんな人が入ってきたら怪我人続出よ」

ネリスはブツブツと愚痴を言いながら、校長室に向かうため階段を降りる。
すると、丁度その階にいるフィーと鉢合わせした。
フィーはあ、と声を出すと、ペコリと頭を下げる。
ネリスはなんて礼儀正しいのだろうかと思うと、フィーに近寄る。

「始めまして、私はネリス。ネリス・マクナライア。あなたは?」

「私はフィーです。フィー・レベンシア」

フィーはネリスが自己紹介をすると、自分も自己紹介をする。

「あと、敬語は使わないでいいわ。なんか嫌だから」

「あ、うん。分かった」

フィーにそう告げると、ネリスはその顔に笑顔を見せる。

「じゃあ私もネリスって呼んでいい?」

「ええ、そっちの方がいいわ。よろしくね」

「うん、こちらこそよろしくね、ネリス」

ガッチリと握手をすると、ネリスは自分の本来の目的を思い出す。

「じゃあ私、ちょっと用事があるから・・・・」

「うん、じゃあねネリス」

フィーは笑顔を浮かべながら手を振る。
ネリスもそんなフィーに答えるように軽く手を振ると、校長室に向かった。





コンコン

「校長、失礼します」

「うむ、入ってよい」

ガチャっと校長室の扉を開けると、ネリスは校長の前に立つ。
校長もネリスの目を直接見て、そこに立ちはだかる。

「さっそくですが校長、今回の行事には参加しないでください」

「単刀直入だなネリス、そんなネリスを見たのは確か一年ほど前か」

「その事は関係ありません。話を逸らさないでください」

ネリスの態度に校長は表情一つ変えずにその重い口を開く。

「確かに関係ないが、ネリス。お前は調子に乗り過ぎている」

「私が調子に乗っている? 何を根拠に言っているのですか?」

「簡単なことだ。お前が自分の主張が全て正しいと思っているからだ。あの時だってそうだろう?」

「だからその事は関係ありません!!」

バンっと校長の机を叩くと、ネリスは校長を睨めつける。

「自分が正しい事を常にしていると思っているのか? あの時お前がヴェルフェスを殺そうとしたことに変わりはないんだぞ? 自分より弱いものを一方的になぶり殺しにするのが正しいことか? どうなんだ?」

校長はネリスを嘲笑うかのような表情を浮かばせながら、ネリスに問いかける。
その問いに、ネリスは顔を俯けながら無視をする。

「確かにお前は強い。頭も良いし顔も良い。カンペキと言っても過言ではないだろう。常にお前は誰からも愛されている。だからお前は生徒会長をやっているし、Sランクのリーダーでもある。だがな・・・」

校長はネリスにグイっと顔を近づけると、まっすぐ彼女を見る。

「私は家族を手にかけようとする奴は、カンペキなど思わない」

校長がネリスの耳元でそう呟くと、自分の机の前まで戻る。
ネリスは相変わらずその場でずっと俯いている。

「・・・・いいだろう、今回は参加しない。お前の努力に免じてな」

「・・・・・・失礼します」

校長の返答にお礼の一つも言わずにネリスは出ていく。
その後ろ姿を見届けると、校長は自分の椅子に座る。

「まったく、ああいう奴はどこかでイタイ目を見るだろうな」

校長はそう呟くと、机に山積みになっている書類に手を伸ばした。











+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。