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第七話 暗殺者


「さてと、そろそろか」

ヴェルフェスはそう呟くと、大木から飛び降りる
大木の根元に着地した途端、風を切る音がする
ヴェルフェスは咄嗟に刀を抜き、飛んでくる物を弾く
カランカランと音をたて、その飛来物は地面に落ちた

「おいおい、これはマジの殺しらしいな」

ヴェルフェスが弾いた飛来物は、ナイフだった
しかも、刃にはたっぷりと緑色の液体が塗られている
そうしている内に、再びナイフがヴェルフェスに向け投げられる
それも三本同時にだ
ヴェルフェスはそのナイフを一つは横に飛んで回避し、残りの二つは刀で弾く

「おい、そろそろ出てきたらどうだ?暗殺者さんよぉ」

ヴェルフェスは軽く挑発をすると、彼の後ろから誰かが出てくる
その人物は、黒いマントとフードをかぶっており、顔はわからないがあきらかに怪しかった

「あんたが暗殺者か?」

「・・・・・・・・・・・・・貴様を消す。全てはネリス様のためだ」

「はぁ、どうやら暗殺者らしいな」

ヴェルフェスはため息をつくと、刀を暗殺者に向ける
暗殺者はヴェルフェスにナイフを構えると、そのままヴェルフェスに向かって突っ込み、ナイフを振るう
ヴェルフェスは向かってくる暗殺者の一撃を後ろに下がりかわすと、袈裟斬りをする
ナイフでその袈裟斬りを受け流すと、暗殺者はもう一方の手からナイフをだし、突きを入れる
それをヴェルフェスは読んでいたかの様に鞘で防ぐ

「何!?」

暗殺者は自分の攻撃を読まれていた事に、驚きの声をあげる
ヴェルフェスはニヤっと笑うと、右足で暗殺者の横腹に蹴りを入れる

「うぐっ!」

横腹の痛みに声をあげる暗殺者は、バックステップをし間合いをとる
だがヴェルフェスは後ろに下がった暗殺者に向かって飛び込む
暗殺者はヴェルフェスの行動に咄嗟にナイフで防御をしようとするが、すでに遅かった
ヴェルフェスの突きが、暗殺者の右肩に入った

「ぐ、がぁ!」

暗殺者は激痛のあまりに声をあげるが、それでもヴェルフェスの攻撃が止む訳ではない
ヴェルフェスは肩に刺さった刀を刃を返してそのまま袈裟斬りをする
ボトっと言う音と共に、鮮血が地面に飛び散った

「がああああああああああああ!!!」

暗殺者は自分の切り落とされた右肩を左手で押さえるが、出血はおさまらない

「おいおい、なんだよ。もう終わりか?」

ヴェルフェスは暗殺者に向けてニヤリと笑みを向けながら質問をする
だが、暗殺者は何も答えずにその場に方膝をつけ、しゃがみこむ

「はぁ・・・・はぁ・・・良いことを・・・教えてやろう・・」

「あぁ? 良いことだと?」

ヴェルフェスは命乞いをするかと思っていたので、少し驚いたようだ

「ふふ、貴様を狙っているのが・・・・私だけだと・・・思うなよ・・・」

暗殺者がそう言ったのと同時にヴェルフェスの後方からもう一人同じ格好の人物が出てくる
しかもナイフを構えてヴェルフェスに突っ込んでくる

「死ね! 全てはネリス様のためだ!」

そして、後方から来た暗殺者が、ヴェルフェスの背中にナイフを突き刺した、はずだった
だが、ヴェルフェスはナイフが突き刺さる寸前の所で、後ろに回し蹴りを入れていた
後方から来た暗殺者は大きく弧を描きながら地面に落ちる

「さてと、邪魔物もいなくなったし・・・・」

ヴェルフェスは正面の暗殺者に向き直ると、暗殺者の首に刀を添える

「ばかな・・・・なぜ分かった?」

暗殺者は驚きの余りに声が震えている
そんな暗殺者の様子を楽しむかのようにヴェルフェスは鼻で笑う

「暗殺者が一人で来るわけねーだろーが。そんぐらい誰だってわかる」

「じゃあ、なぜ後ろからの攻撃を防げた!? それにさっきのナイフもなぜ鞘で防げた!?」

暗殺者は自らの疑問をヴェルフェスに投げつける
ヴェルフェスはトントンと暗殺者の首筋に刀を当てると、笑みを浮かべる
その笑みは、何かを壊すのが好きなような表情だった

「そんなもん、何回もやられりゃだいたい分かるんだよ。じゃあな」

ヴェルフェスはそう言うと、鞘で暗殺者のこめかみを殴った
暗殺者はどさっと地面に倒れると、そのまま動かなくなった

「ったく、ここは一応校舎の中だぞ」

ヴェルフェスは気を失った暗殺者の一人を肩に担ぎ、もう一人は片腕で持ち上げる
そして、また保健室に連れていくのだった・・・・・・・






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