第六話 その後
フィーはあの後足の治療を受け、教室に戻った
教室に入ると、クラスの生徒達が一斉にフィーに駆け寄って来る
「フィーちゃん大丈夫!?」
「怪我はちゃんと治してもらったの?」
クラスメイト達が声をかけてくれる中、フィーは教室の中を見渡す
「・・・・・・・あれ、いない」
そう、フィーは自分を助けてくれたヴェルフェスにお礼を言おうと思っていたのだ
しかし、教室の彼の席には誰も座っていない
「ねぇ、ヴェルフェス君はどこにいるの?」
フィーはクラスメイト達に彼の居場所を聞く
「ああ、劣等品? さぁ、ゴブリンに殺されたんじゃねーの?」
一人がそう言うと、一斉に笑いが起こる
「ほんと、あいつ早く消えて欲しいよなー」
「あんな奴がいるとクラスの印象が下がっちゃうわよ」
全員がケラケラと笑っているのを、フィーは理解できなかった
自分を助けてくれた人が、どうしてこんなにも嫌われているのか?
あんなに実力があるのに、どうしてみんな分かろうとしないのか?
そして何より、彼がそれを認めていることを・・・・・
「ヴェルフェス君、今どこにいると思う?」
「知らねーよあんな奴。それよりフィーちゃん、どうしてそんなに劣等品の事気にしてんだ?」
「そうよ、あんなごみフィーちゃんが気にしちゃだめよ」
クラスメイト達はフィーにそう言うと、ゾロゾロとクラスの中に戻る
そして、学校のチャイムが校舎に鳴り響く
「・・・・・・・・・・はぁ」
校庭にある大木の枝の上で、ヴェルフェスは軽くため息をつく
その理由は、今日の訓練が原因だ
「どうして俺は、見捨てなかったんだろーな」
そう、彼はフィーを助けたのだ
最初はほっとこうと思っていたのだが、なぜか彼女を助けてしまった
それはこの学校でソロを持続させていた彼自身も驚いていた
「まぁ、次会った時からは知らないふりをすれば問題ないか・・・」
ヴェルフェスは解決策を見つけると、そのままヘッドフォンをつける
このままボーっとするのも悪くないな、と彼は心の中で呟くと、そこから見える景色を眺める
この大木からは、この学校だけではなく、周りの住宅や施設が見渡せるのだ
子供が走っている姿や、恋人同士が仲良くしている姿
まあ、中には男同士の殴り合いの喧嘩もたまに見かける事もある
ヴェルフェスがのんびりと景色を眺めていると、小鳥が彼のそばにとまった
チュンチュンと鳴きながら、彼の様子を伺っている
「・・・ありがとな。けど、俺は一人って決めたんだ」
小鳥と会話をしているかのように、ヴェルフェスは小鳥に向かって声をかける
「そうさ、俺はずっと一人じゃなきゃだめなんだ・・・・・」
ヴェルフェスはそう呟くと、木に背中を預け、そのまま眠りにつこうとする
だが、現実はそう甘くないようだった
なぜなら、ヴェルフェスはこの時、自分の近くに殺気を感じたからだ
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