東日本大震災からの復興費用を賄う臨時増税や復興債の発行を盛り込んだ復興財源確保法案は30日、参院本会議で民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決、成立した。復旧復興事業費の自治体負担分をゼロにするため特別交付税を増やす特例法も成立。これで本格的な復興策を盛り込んだ平成23年度第3次補正予算の財源が裏付けられ、執行態勢が整った。
同法案は所得税を平成25年1月から25年間、納税額の2・1%を上乗せし、個人住民税を26年6月から10年間、年1千円上乗せすることが柱。法人税は実効税率5%減税を実施したうえで、その範囲内で3年間増税する。増税規模は所得税7・5兆円、住民税0・6兆円、法人税2・4兆円で総額10・5兆円。今後5年間の集中復興期間で復興事業に必要な財源に充てる。
日本たばこ産業(JT)株や東京メトロ株など、政府資産売却で税外収入を確保することも規定した。
事業費の自治体負担をなくす特例法では、23年度分の特別交付税総額を1兆6635億円増額する。
政府は「次世代に負担を先送りしない」として、当初、所得税の増税期間を10年間にする予定だった。だが、自民・公明両党が年間負担額を圧縮するよう求めたため、25年間まで延長し、事実上の恒久増税となった。また、当初案に盛り込んだたばこ増税は葉タバコ農家を支持層に抱える自民党の強い反対で実施を見送り、個人住民税の増税幅を上積みして補った。