◆ はじめに
突然ですが、法華経ノートとVB-TIPSが一段落したので、この度、新たなテーマ、『漢字字解』の勉強をスタートさせます。
先般、クイズ番組でも、検定試験でも、なぜか漢字ブームです。
しかし、今は、パソコンの漢字変換のお陰様で、漢字が書けなくても大丈夫な時代になりました。
またしかし、やはり、漢字は書けないとなぜか不安なのです。
そこで、単に無意味に漢字を暗記するのではなく、漢字の成り立ちを調べ、統一的に覚えてしまおうと思いつきました。
つまり、機械的に暗記するのは辛いけど、漢字成り立ちのエピソードと一緒に覚えれば、楽しく学習ができると思うのです。
本ページは、そんな、漢字苦手な人に読んでもらうために作りました。どうぞ、ごゆっくりご覧下さい。
ご覧頂き、万が一、あなたの琴線にふれたなら、これ以上の喜びはありません。
では、まずは、漢字の歴史から・・・。
◆ インデックス
- 漢字の歴史
- 説文解字とは
- 訓と音
- 常用漢字の字数制限と字形変更
- 口という漢字
- 部首家族パート1
- 部首家族パート2
- 正義という漢字の起源
- 道という漢字の起源
- 真という漢字
- 唯と雖
- 右と左と尋
- 又と取と最
- 止と夂と陟と降
- 親と新
- 神と仏
- 日本語と中国語での漢字
- 生という漢字
- 可と歌
- 日と曰く
- 品格とは
- 漢字とコリア語
- 捨てると拾う
- 文字という漢字の意味
◆ コンテンツ
■ 漢字の歴史
漢字が生まれたのは、今から三千三百年前(約紀元前1300年)の中国、殷王朝の時代であったとされています。
殷王の墓室から亀甲(きっこう)と獣骨(じゅこつ)が鄭丁(ていちょう)に埋められているのが発見されました。
亀甲は、亀の腹の甲で、獣骨は主に牛の肩胛骨で、そこには占いに関する字が刻み込まれていました。
これを、甲骨文字といい。この甲骨文字が、最古の文字であり、漢字の最初の形でありました。
また、殷王のお妃の墓からは、多数の青銅器が出土し、そこには、作器に由来をしるす銘文が鋳込まれていました。
これを、金文といい。甲骨文字とともに、象形の字が多く、当時の生活や文化のあり方が記された形になっていたのです。
ということで、甲骨文字と金文が漢字の成り立ちを知る基本となるのです。
つぎに、紀元前770年〜403年になると漢字の統一性が失われ、繁雑な字形と簡略な字形の差も著しくなって、
繁雑な文字を籀文(チュウブン)云い、簡略かされた文字を古文(六国古文)と呼ばれました。
しかし、秦は、天下を統一すると、文字も籀文と古文を廃止し、篆文(テンブン)で統一します。
ということで、篆文、籀文、古文は、漢字の成り立ちを知る補助となるのです。
尚、本内容は、『常用字解』著者:白川静(平凡社)を大変参考にしています。
■ 説文解字とは
説文解字(せつもんかいじ)とは、後漢(西暦25年-220年)の許慎(キョシン)が篆文(テンブン)、籀文(チュウブン)、古文等の字形の部首をもとに漢字を説明した研究書です。
しかし、後漢の時代には、まだ、甲骨文字と金文が発見されておらず、ある意味、補助を元にしてしまった研究書なので、字形解釈には誤りが多い。
それでも、その後(甲骨文字と金文が発見されても)の字形の研究書も含めて、説文解字に四敵するものがなく、すごい研究書なのです。
説文解字では、漢字の構成法を六書(りくしょ)として説明されている。
- 象形 - ものの形をかたどった字(牛、川、山、木、馬、日・・・)
- 指事 - 点や線などの印で表した字(一、二、上、下・・・)
- 会意 - 象形と指示を組み合わせた字(男、鳴、岩、明・・・)
- 形声 - 意味を表す部分と発音を表す部分を組み合わせた字(晴、汁、拍、請、姓、祉・・・)
- 転注 - 同意相承く(ある漢字の意味を他の意味に転用)
- 仮借 - 字形として表しがたいものを、同じ音の別の字の音のみを借りてあらわすこと(東、西、南、北…)
尚、六書に分類された漢字の数のうち、形声文字が三分の二を占め、漢字を覚える時のポイントです。
■ 訓と音
ご存知にように漢字の読みは、訓読みと音読みがあります。
- 音読み - 漢字が日本に伝えられたときの中国の発音をもとにした読み方。
- 訓読み - 漢字のもつ意味と同じ意味の日本語をあてはめた読み方。
そして、音読みは、『行』の(呉音:ギョウ)(漢音:コウ)(唐音:アン)の3通りあります。
- 呉音 - 5・6世紀ごろ朝鮮半島をへて日本へ伝わってきた音。仏教に関係する言葉が多い。
- 漢音 - 8・9世紀ごろ国の使いや留学生達によって伝えられた。音読みとしては、一番多い。
- 唐音 - 12・13世紀ごろ僧や商人によって伝わった。しかし、あまり広まらなかった。
そう言えば、中国の人と一緒に仕事をしたときに、日本語の漢字の文は、結構、意味が分かると言っていました。まぁ、ルーツは同じなので当然と言えばそうだけど、ちょっと驚き…。
■ 常用漢字の字数制限と字形変更
戦後、わが国は、誤った方向をもって国語政策(1946年)が出発した。
それは、漢字をわずか1850字で限られた音訓の当用漢字である。
またその後、1981年に約100字を増やした1945字の常用漢字である。
誤った方向とは、字数制限と字形をなんら理由もなく変更していることである。
つまり、以下の2つである。
- 漢字の字数の制限。
- 漢字の字形の変更。
1は、言葉の規制や伝統的な文化の断絶に繋がることは容易に予測ができたことである。
2は、3300年前に意味があって出来上がった字形を、その意味を無視して字形に変更を加え、字形本来の意味を表現できなくしてしまったのである。
たとえば、器、臭、類、戻の字形要素『大』は、本来『犬』であった。
しかし、就、伏の字形要素『犬』は、『大』にならず、なぜかそのまま。
ということで、漢字の字源を勉強するときは、当用漢字以前の字形を元に勉強します。
■ 口という漢字
漢字の源流である甲骨文字と金文は、約3300年前に出来、字形は象形文字が多いとのことです。
その後、象形文字を組み合わせた、会意文字、形声文字が出来てきました。
字形には、当時の文化や習慣、宗教、儀礼等が象徴された形で畳み込まれているとのことです(ある意味当然か)。
そして、当時(日本では弥生時代頃)の生活は、神さまを中心とした文化社会で、漢字は、神や霊魂に対する祈祷や卜(占い)、生け贄、葬儀等の儀礼に関するものが沢山あります。
例えば、口という漢字は、人の口の象形ということになっていますが、甲骨文字や金文では、その使用例が見当たらず、
サイという神への祝詞(ノリト)を入れる器の形の象形であると解することで、字形の意味が理解できるとのことです。
ちなみに、人の口の象形として現れるのは、約2000年前の詩経や書経ごろとされています。
これからは、口の字形を含む漢字(会意・形声)を中心に、漢字の成り立ちと当時の文化・宗教の関係を見ていきたいと思います。
■ 部首家族パート1
(口のつく漢字からだと思ったけど(何)、先に漢字ファミリーから行くことにしました(謎))。
部首とは、いくつかの漢字に共通している部分のことをいいます。
部首は、大きくわけて『へん、つくり、かんむり、あし、たれ、にょう、かまえ』の7つがあります。
部首家族とは、同じ部首を持つ漢字のファミリーで、その漢字の意味に部首のコアイメージが反映しています。
以下にその例を示します。
部首家族『人』-(ひとやね・にんべん)コア:人間に関係があること
- 会 - 人が会う。
- 令 - 人が命令、号令をする。
- 停 - 人が停止する。
- 健 - 人が健康になる。
- 借 - 人がお金を借りる。
- 候 - 人が立候補する。
部首家族『手』-(てへん)コア:手に関係すること
- 投 - 手で投げる。
- 捨 - 手で捨てる。
- 拾 - 手で拾う。
- 揮 - 手で指揮する。
- 折 - 手で折り曲げる。
- 招 - 手で招く。
部首家族『水』-(さんずい)コア:水に関係があること
- 氷 - 水が氷になる。
- 泉 - 水が湧き出る。
- 湖 - 湖の水。
- 池 - 池の水。
- 河 - 河の水。
- 洗 - 水で手洗い。
部首家族『心』-(りっしんべん)コア:心に関係があること
- 念 - 心に思う。
- 忘 - 心を亡くす。
- 悲 - 心が悲しい。
- 思 - 心の思い出。
- 快 - 心良い。
- 慣 - 心を貫く。
部首家族『衣』-(ころもへん)コア:衣類に関係があること
- 装 - 衣類を装う。
- 製 - 手製で装う。
- 裁 - 衣類を裁断。
- 表 - 衣類の裏表。
- 補 - 衣類のほつれを補う。
■ 部首家族パート2
前回に続き、部首家族パート2です。
部首家族とは、同じ部首を持つ漢字のファミリーで、その漢字の意味に部首のコアイメージが反映されています。
以下にその例を示します。
『示』部首家族(しめすへん) - コア:神や祭りに関係があることを表す
祭 - 祭日。
神 - 神様。
社 - 神社。
祝 - 祝日。
礼 - 礼服。
祖 - 先祖。
『犬』部首家族(けものへん) - コア:犬やけものに関係があることを表す
状 - 状態。
犯 - 犯人。
独 - 独立。
(けものへんがなぜ『犬』なのか -> 毛でおおわれている動物の代表を『犬』と考えた)
『肉』部首家族(にくづき) - コア:体に関係することを表す
育 - 子育て。
脳 - ノウ。
胸 - ムネ。
胃 - イ。
腹 - ハラ。
背 - セ。
『刀』部首家族(りっとう) - コア:刀や切ることに関係があることを表す
分 - 半分。
切 - 切断。
初 - 初日。
刻 - 時刻。
創 - 創造。
列 - 列車。
『火』部首家族(ひへん、れんか) - コア:火に関係があることを表す
灰 - 灰皿。
炭 - 石炭。
灯 - 灯台。
燃 - 燃焼。
熱 - 発熱。
照 - 照明。
■ 正義という漢字の起源
正義の二文字とも、『ただしい』という意味で、二つ重ねることで『よりただしい』ことを表しています。
そして、漢字的イメージとしては、ものすごくプラスなイメージですね。
しかし、漢字起源的には、意外にマイナス的なイメージなのです。
『正』という漢字起源は、城を滅ぼすためにその城へ進攻して征服することを表しています。
『正』の『一』は城を表し、『止』は足で進攻することを表しているのです。
そして、滅ぼした相手を正すことが、本来の『正』の意味なのです。
一方、『義』は、犠牲として羊をノコギリ(我)で切って、神様にお供えする儀式を表しています。
そして、この羊の犠牲としての儀式を『ただしく』完璧に行うことが、本来の『義』の意味なのです。
ということで、漢字起源的な正義とは、『征服した相手を完璧にただすための支配者の道理』のことだったのです。
尚、本内容は、白川静先生の字解を大変参考にさせて頂いています。
■ 道という漢字の起源
『道』は、現代では、柔道や剣道などのその道を極めるという、少しお堅いイメージの漢字です。
しかし、『道』の漢字起源は、実は、それとは正反対のおどろおどろしいイメージの漢字なのです。
まず、漢字の起源は、今から約3300年前の中国です。
その時代は、ある意味、野蛮人と神が渾然としたような時代だったらしいです。
ですので、漢字起源には、そのような社会の投影が反映されているのです。
具体的には、以下の3つです。
- 神や祈りの儀式に関係した漢字が多い。
- 呪術的世界が反映した漢字が多い。
- 戦争に関係した漢字が多い。
で、『道』ですが、2の呪術的な漢字なのです。
切った首を持って、道を行く字形。
道を行く時に異族の人の首を刎ねて、道に潜む邪霊を、その首で祓い清め進むことを『導き』といい、
祓い清められたところを『道』いう。
いやー、おどろおどろしい……。
尚、本内容は、白川静先生の字解を大変参考にさせて頂いています。
■ 真という漢字
真理・真実・真偽等の真という漢字の旧字は、匕と県とでできた眞です。
匕の古代文字をみると、人が倒れた形をしていて、人の死を意味します。
一方、県の旧字は縣で、実は、木の枝に紐で人の首を逆さまにぶら下げている形なのです。
よって、真という漢字は、顛死者等、不慮の災難で死んだ人を示す漢字なのです。
死者は、それ以上は変化しないので、永遠のもの、真の存在としての「まこと」の意味となりました。
そして、不慮の災難で死んだ人の霊は、強いうらみを持っているので、瞋・鎮・慎・顛などの真を持つ漢字には、いずれも、怨霊を恐れ、鎮めることに関連した意味をもっているのです。
ということで、普段、法の真理とか、プログラムで真偽とか、なにげなく使っていますが、その元は、やはりおどろおどろしい意味があったのですね。
■ 唯と雖
唯(ユイ)と雖(スイ)は両方、「隹」がついています。
隹は、「ふるどり」と呼ばれていて、鳥の象形が元になった字なのです。
また、古代では、鳥は、神意の媒介者と思われていました。
で、唯ですが、隹の前に祝詞を入れる口(サイ)が置いてある字形です。
神に祈って、その神の応答を鳥の動きによって知るのが、この「唯」なのです。
ですので、神意のことなので「しかり」という意味になりました。
一方、雖ですが、口(サイ)の下に虫が付いている形をしています。
この虫は、祝詞を入れる口(サイ)を侵す虫なのです。
つまり、唯に呪虫がついて、神意をさまたげる字形なのです。
なので、「いえども」という意味になりました。
神に対して「しかり」の唯と「いえども」の雖です。
おまけの誰
誰という字にも「隹」がついています。
鳥占いの際、自分に呪詛などが加えられているときに、
自分を呪詛しているその加害者の名前を「だれ」と問うことから誰となりました。
■ 右と左と尋
すでに何度かご紹介しているように、漢字起源の時代は、神と人が渾然とした文化の時代です。
右と左と尋の漢字もそのように成り立ちました。
右という漢字は、神への祝詞を入れる箱である『口(サイ)』を右手でもった字形です。
左という漢字は、神を呼ぶ呪術のための道具である『工』を左手でもった字形です。
そして、尋という漢字は、実は、左右が合体した字なのです。
尋の『ヨ』と『寸』は各々左と右の手を表し、『工』『口』は、上記説明の通りです。
つまり、尋は、右手にサイ、左手に呪具を持って、神を祭るべき場所を尋ねている漢字だったのです。
ちなみに、尋は長さの単位でもあり、一尋(ひとひろ)の長さは、成人男子が両手を左右に広げた約1.8メートルです。
■ 又と取と最
すでに何度かご紹介しているように、漢字起源の時代は、神と人が渾然とした文化の時代です。
又と取と最の漢字もそのように成り立ちました。
又という漢字は、右という字の元の字形で、右手の指を出した象形文字です。
取という漢字は、左耳を右手で切り取る字形の字なのです。だから取るの意味なのです。
古代、戦争の際、討ち取った証拠に左耳を右手で切り取り、耳の数で戦功を数えたのです。
また、最も多く功績を上げた者のことを『最』といい、『取』の上の『日』は、沢山の耳の入った袋の象形なのです。
ちなみに、撮影の『撮』という字は、その耳の入った袋をつまむことを意味する漢字です。
■ 止と夂と陟と降
すでに何度かご紹介しているように、漢字起源の時代は、神と人が渾然とした文化の時代です。
止と夂と降と陟の漢字もそのように成り立ちました。
止は、人の足跡の形がそのまま字形になりました。
夂も、人の足跡の形がそのまま字形になりました。
どこが違うかというと、止は上りで、夂は下りの足跡です。
実は、陟の少と降のヰも、それぞれ、上りと下りの足跡の形の字形です。
また、こざと偏は、神が神界と下界を昇り降りする階段の象形文字です。
したがって、
陟は、神が階段を昇っていくことを表した漢字なのです。
降は、神が階段を降りてくることを表した漢字なのです。
■ 親と新
親という字は、木の上に立って子供の様子を見守っているのが親なので、
そのような形になったと言われています。本当にそうでしょうか?
しかし、それだと新という字の説明が出来ないのです。
漢字起源では、新は、辛と木と斤で出来た字です。
辛は『投げ針』の象形で、投げ針を森へ投げて、針が当たった木を斤(オノ)で切った『物』は、新しいので、そこから新になりました。
また、親は木を切った『物』を見ている象形です。そして、木を切った『物』とは、実は位牌なのです。
新しい位牌は、親であることが多いので、そこから親になりました。
■ 神と仏
神という字は、申(シン)が音符の形声文字で、申は稲妻の形です。
稲妻は天にある神の威光のあらわれと考えられたので「かみ」の意味になりました。
つまり、申は神の元の字で、申が「かみ」以外に「もうす」などの意味に用いられたので、
示偏をつけて「神」の字になりました。
一方、仏の元の字は「佛」で、弗(フツ)が音符の形声文字です。
意味は、彷彿(ほうふつ)等ように「ほのかな、かすか」です。
のちに、梵語で正しい悟りを意味するブッタの音訳に充てられ仏陀となりました。
この世で「正しい悟り」を得たのは釈尊一人ということなので、
釈尊イコール仏陀となって、釈尊を仏さまという。
■ 日本語と中国語での漢字
ご存知のように中国語は、すべて漢字です。
今から3300年前に出来た漢字が、中国語と日本語で別々に進化を遂げました。
しかし、元は同じ漢字なので、日本語と中国語での漢字の類似性を調べてみました。
*漢字の発音の類似性
今の中国語は、『北京語音を標準音、北方語を基礎語彙として典型的な白話文(口語文)を語法の規範とする』と定義されています。
また、上海や広東等の方言が沢山ありますが、すべて漢字なのは同じなのです。
一方、日本語の漢字の発音には、旧仮名と呼ばれるものがあります。
旧仮名は、日本語が中国語の漢字字音を受け入れたとき、 日本語の発音としては相当に無理をしながら中国語を忠実に音写しようとしたが、
しかし、発音しやすいように変形してしまったものだそうです。
以下は、中国語、旧仮名、新仮名の発音の比較表です。
http://www.asahi-net.or.jp/~hi5k-stu/nihongo/kanji.htm
中国語 旧仮名 新仮名 湯 タン タウ トウ 張 チャン チャウ チョウ 両 リャン リャウ リョウ 洋 ヤン ヤウ ヨウ 桑 サン サウ ソウ 高 カオ カウ コウ 毛 マオ マウ モウ 老 ラオ ラウ ロウ 包 パオ ハウ ホウ 好 ハオ カウ コウ
確かに、なんとなく、発音変化の類似性が感じ取れます。
*漢字の意味の類似性
今の中国語の漢字は、簡体字と呼ばれ、第二次世界大戦後にそれまで使われていた繁体字から変更になりました。
日本でも同じく常用漢字化(当用漢字)されましたが、簡体字とは、全く無関係に変更になりました。
したがって、第二次世界大戦後以前の漢字は、日中ほぼ一緒で、日本人と中国人は、漢字での意思疎通ができたと言われています。
今日でも、漢字ならある程度意味がわかると、中国人の知り合いから聞いています。
もし、第二次世界大戦後の漢字改革を日中が合同で行っていれば、もっと中国語を習得しやすかったかなと思う次第です。
*参考
■ 生という漢字
『生』は、草の生え出る形の象形文字です。
草が発芽し、生長することから「うまれる、そだつ、いきる、いのち」の意味になりました。
とりあえず、今日は、これだけです。
■ 可と歌
すでに何度かご紹介しているように、漢字起源の時代は、神と人が渾然とした文化の時代です。
可と歌の漢字もそのように成り立ちました。
可の口は、もう何度もご紹介しているように、くちの口でなく、祝詞を入れる口(サイ)です。
可の丁は、木の枝で、そして、祝詞の入ったサイに対して、木の枝を振りかざして打ち、
神に、願いがかなうように、実現す「べし」と迫ることを表したのが『可』なのです。
また、それに対して、神が「よし」と許可するので「ゆるす」の意味が生まれました。
可を2つ上下に重ねた『哥』は、神に願いがかなうようにと、木の枝を振りかざした時に発する声とのことです。
そして、『哥』に、人が口を開いて叫んでいる姿の『欠』を加え『歌』となりました。
ですので、『哥』は『歌』の最初の字形です。
■ 日と曰く
日は、太陽の形の象形文字です。
一方、曰くは、日とよく似ていますが、実は祝詞(のりと)を入れるサイ(口)の蓋が少し開いている形なのです。
少し開いたそこには、神のお告げの反応があらわれると思われていました。
そのことから、神のお告げこと、神の仰せのことを『曰く』という。
■ 品格とは
品格の品は、すでに何度もご紹介している通り、祝詞を入れるサイ(口)を3つ重ねたものです。
つまり、神に対して多くの祈りを合わせて行うことを品といいます。
ちなみに、これを隠された場所で行うことを區(区)といい、大きな声で祈ることを歐(欧)いう。
また、祈る大きな声そのものを謳(うたう)といい、祈りの実現を強く願いサイを打つことを毆(殴)いう。
一方、格は、夂と口と木が組み合わさって出来た字で、夂は下ってくる足の象形、口はサイで、木は枝のある木の象形。
祝詞を入れるサイ(口)の前で神の降下を祈ることから「いたる」の意味があり、神が「いたる」ことを来格いう。
また、来格した神は、神意によってことを「ただす」ので、戒めのことばを格言という。
ただした「正しい」ことには、抵抗が多く、からまれるので「からむ」の意味もある。
そして、「からむ」ことから絡み合って争うことを格闘といい。
木の枝も「からむ」ことから、骨組みを形つくるので、骨格という。
■ 漢字とコリア語
コリア語とは、朝鮮語、或いは韓国語のことです。
実は、朝鮮語と韓国語は、同じ言語で、昔は朝鮮語と呼ばれていましたが、今では韓国語と呼ぶ場合が多いとのことです。
しかし、いろいろあって、コリア語と呼ぶのが無難ということです。
コリアとは、もともと昔の朝鮮半島の高麗(コウライ)の発音が西洋社会に伝わって世界的にコリアと呼ばれるようになりました。
日本でいえば、『ニッポン』が『ジャパン』になったのと同じです。
で、コリア語と言えばハングルのことのように思われていますが、実は、もともとは、ほとんど漢字なのです。
ハングルは、単なる表音文字で、漢字の発音を表す記号のことなのです。
ハングルは、漢字1文字単位にその発音を、母音や子音の記号を組み合わせて表現します。
日本語に譬えると、漢字1文字の発音を、読みのカタカナが合体して、合体カタカナ1文字が漢字1文字を表す感じです。
ということで、コリア語の漢字と日本語の漢字は、同じ漢字なので意味はほとんど同じで、発音も非常に似ています。
しかし、表現がハングルなので意味が全くわからないのです。
逆にいうと、ハングルの発音から漢字がわかれば、日本人なら意味が理解できるのです。
そう、ハングルの発音から漢字に変換する訓練をすればいいわけです。語順も日本語と同じだそうです。
ちなみに、中国語の語順は、英語に近いとのことです。
ある意味、コリア語は、日本人にとって一番習得しやすい外国語と言えるかもしれません。
外国語(英語、中国語、コリア語)は、毎晩11時過ぎのNHK教育番組で勉強しないと……。
■ 捨てると拾う
捨の舎は、旧字では舍になっています。
下の口は、祝詞(のりと)を入れるサイ(口)です。
上のは、取ってのついた長い針(舍)です。
それを、手(手偏)でもって、サイを上から突き刺し、祝詞の祈りの効果を捨てさせることを捨という。
一方、拾は、祝詞(のりと)を入れるサイ(口)に蓋をして合わせることをいいます。
そのように取り揃えることを拾という。
そこから、拾の字は、混乱した状態をうまく取りまとめることの、収拾にあてられる。
■ 文字という漢字の意味
文字の『文』は、昔は紋様の紋と同じ意味で、刺青や絵などのことをいいました。
一方、『字』は、ウ冠は廟(ミタマヤ)で、そこに子供が生まれたことを報告する儀礼のことをいいました。
そして、両方で一つの単語として文字となったのです。
また、漢字も当然文字に含まれます。
漢字の作り方は、6通り(六書)あるといわれています。
- 象形 - 物の形をかたどって文字を作る方法。(牛、川、山、木、馬、日・・・)
- 指事 - 漢字の字形そのものが物事の数量や位置を表す方法。(一、二、上、下・・・)
- 会意 - 象形と指事が複数組み合わせあって、一つの漢字を作る方法。(男、鳴、岩、明・・・)
- 形声 - 意味を半分、発音を半分、それぞれ合わせて一つの漢字を作る方法。(晴、汁、拍、請、姓、祉・・・)
- 転注 - ある漢字の意味を他の意味に転用すること。
- 仮借 - 字形として表しがたいものを、同じ音の別の字の音のみを借りてあらわすこと。(東、西、南、北…)
象形と指事は、形や絵の紋様のことで、すでに説明した通り『文』に相当します。
会意と形声は、象形と指事の親から生まれた子で、すでに説明した通り『字』です。
尚、転注と仮借は、文字を作る観点からは、単に使用範囲を広げただけものです。
ということで、はじめに紋様や絵があり(文)、それらを組み合わせて生まれた(字)、漢字等の文字が出来てきたのです。