「東海」圧力は組織的か 米ホワイトハウスHPダウン問題

2012.4.30 21:23

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 【ワシントン=佐々木類】米ホワイトハウスのホームページ(HP)に、韓国人らが日本海を「東海」と呼ぶよう求め、約10万件に上る大量の署名を書き込んでサーバーをダウンさせていた問題で、書き込みは4月下旬、韓国側が日本海の呼称変更を求めたモナコでの国際会議と連動して、本国から組織的に米中枢を狙ったものとの見方が強まっている。

 サーバーがダウンしたのは4月20日。ホワイトハウスによると、書き込みの発信元を特定するIPアドレスを調べた結果、大半が韓国本国からだった。担当者は産経新聞の取材に対し、「前代未聞の大量の書き込みで閲覧不可能となった。修復のため、韓国からのアクセスを一時的に禁止した」と不快感を示した。

 この問題の発端は、韓国系米国人や韓国人が多いことで知られるバージニア州アナンデール在住の「ピーター・K」と名乗る人物が3月22日、「東海-米教科書での誤った歴史」と題した請願文を、HPの請願コーナーに寄せて名称変更を呼びかけたもので、4月29日現在で、約9万9600人が署名した。

 署名の書き込みが集中したのは、世界の海図や海、海峡名称などを調整する国際水路機関(IHO)の総会が同月23日から27日までモナコで開かれる直前。総会では韓国側が日本海の呼称変更を求め、討論が行われた。IHOは日本海の単独呼称の維持を決めたが、在米日本大使館筋は、韓国側が米国の支援も期待して「総会に合わせて組織的に書き込みを動員した」との見方を強めている。

 米国では今年1月、アナンデール選挙区選出のバージニア州上院議員が、州内の公立学校の教科書に日本海という記載を「東海」と併記することを求める州法案を提出し、1票差で否決されたばかり。今回の書き込みも、在米の韓国系米国人らが発火点となって本国に飛び火し、加勢を得て当局に圧力をかけるパターンを繰り返したといえる。

 米政府は「日本海が国際的に認知された表記」(国務省)との立場だ。日本側も、4月13日にミシガン州の「ナリヒラ・Y」という人物が反論の請願文を書き込んで、米国内外から約2万7000人の賛同が寄せられた。しかし、全米に約120万人いる韓国勢を前には劣勢だ。韓国側が日本海呼称や竹島、慰安婦問題など日本を標的に攻勢を強めるのは必至とみられ、在米日本公館も対応を迫られそうだ。

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