ESOTERIC
K-01
¥1,470,000(税込)
発売:2010年10月1日
Esoteric K-01のレビュー
K-01の存在を知ったのは、音源の上流に良いものを入れたいと探していた2010年の年末のこと。
PS3でもそこそこ聞けていたけど、いいかげん限界を感じていたし、
長く付き合えそうな良いSACDプレイヤーはないものかと検討していたところ、
発売されて間もないK-01に興味がわいた。
昨年12月にダイナ5555に試聴に行き、聴くだけのつもりがその場で購入を決定。
あの時のテンションはおかしかったと思う。価格からして、ほいほい買う代物ではない。
いきなり導入する価格帯の製品ではないと思うが、
いずれ満足できずに行きついていただろうと思うので後悔はしていない。
以前からEsoteric のデザインは端整で好きでしたが、まさか自分が買うとはおもっても見なかった。
導入してから6ヶ月経ち、そろそろレビューしても良かろうと。
発売時期が比較的近いハイエンドSACDプレイヤー達と比較してみます
なお、K-01以外のプレイヤーは、ダイナミックオーディオ5555さん視聴ルームでの感想をもとにしています。
<Esoteric K-01>
静と動の描き分けが的確な大人びた音。
海外でも信頼性の高いメカ部には、洗練された美しさがある。
トレイ開閉時には軽快なレスポンスと共に動きだし、開ききる直前にふっと減速する。
なんとなく優秀な執事を連想した。
音は、各音源から放たれたエネルギーがキラキラと拡散しながら空間を満していく。
CH-Precision D1のように、一本の音の矢が鬼気迫る様に飛んでくるのとはまた違う鳴り方。
TAD D600のように演奏者にかぶりついて聞く感じではなく、ユーザと演奏者の間には適度な距離感がある。
音は平面的にならず、空間の広がりと立体感をもって描かれる。
音の定位はかなり明確だが、音源の輪郭そのものは線というより粒子状に感じる。
音の鮮度はかなりのもので、微細な音まできちんと拾ってくれる優秀さがある。
女性にたとえるなら、クールで知的で華やかだけどたまに見せる色気が魅力的。
基本冷静なんだけど、必要な時には厚く、力強く音楽を奏でる。
ややハイファイ感を感じるけれども、誇張しすぎず、立場を弁えている。
プレイヤーの音が前面に出てくるタイプではない。
以前のP-03 D-03の音は聞いていないのですが、
K-01以降、音楽表現の表情の豊かさがかなり改善されているとのこと。
当初の期待通り、長く付き合えそうな良い機種と感じています。
いずれは、10Mhzクロックも投入したいところですが、優先順位から言ってかなり先の話になりそうですね。
<TAD D600>
音楽の持つ「熱さ」をリスナーに届ける国産のプレーヤー。
プレイヤー部と専用電源が別筐体で、合わせて40kgを越える重量級。
一音一音に安定感と力強さがあり、音に強いメッセージ性を感じる。
音に落ち着きはあるけれども、なんか前のめりで迫ってくるような気配がある。
聞く側も、それなりに心得て音楽を聴く必要があるように感じる。
独特の色が載るので、これが好みじゃない人もいそう。
K-01もそうだが、リモコン含め操作性があんまりいいとは思えない。
K-01導入時に、ちょっと迷ってやめました。
価格もキャパオーバーでしたし。
<CH-Precision D1>
無音の闇からにじみ出るような気配まで再現する稀有なプレーヤー。
従来のプレイヤーならばあってしかるべきボタン類まで取っ払ってしまい、
ロータリーコントローラーに操作を一元集中させたフロントパネル。
そのデザインには強い意志を感じる一方、生半可なものを寄せ付けないオーラがある。
(筐体デザインからして、人を選ぶという意味ではブランド性が一貫している)
見た目はシンプルすぎて、これに300万かとちょっと戸惑う。
肝心の再生音について。
音の再現性に容赦が無く、曖昧さが微塵もない。
音が硬くて冷徹、というのとは違って、しなやかさや熱さもきちんと出す。
一度聞くと、その世界観に引き込まれる魅力がある。
音色でプレイヤーの色が出るということはなく、再現性の精密さによる疑似体験がこのモデルの特色のようにも感じる。
読み込む音源、繋がるシステムもかなり選ぶように思う。
全て一定の水準をクリアした環境ならば、
音楽とリスナーが真っ向で対峙する特異な空間にトリップできること間違いなし。
K-01でも出るべき音は全て出していると感じたけれど、これは想像する出音を遥かに越えていった。
最近値上がりして値段も尋常ではないが、その価値は確かにあると思わせる音。
これでさらにCH-C1(DAC)とか専用電源とか入れたらどうなるんだ。
所有オーナーが羨ましい反面、トータルコストが恐ろしくて所有者の事が結構心配になるラインナップ。
D1、C1、専用電源、10MHzクロックを用意して、スピーカー、ケーブルにもそれにふさわしいものを用意したら
あっという間に2000万は越えるシステムになりそう。
いや、聞いたら絶対欲しくなる。恐ろしい(笑)
▼K-01をDACとして見たときにどうか
K-01導入時、PCオーディオやネットワークオーディオも検討したが、制御しきれない要因が多そうだったので候補から外れました。
音源再生装置として完結しているものを求めていたので、DAC一体型のK-01は条件にあっていました。
CDメディアに特段こだわりがあったり、PCオーディオの可能性を否定している訳ではありませんので悪しからず。
DACとしての性能はこの価格帯にふさわしいものと思います。
アシンクロナス転送にも対応した独自ドライバを提供している点も高評価です。
同じ音源をPCでリッピングして再生した場合、やや勢いが削がれたような鳴り方になります。
今のところ、ハイサンプリング音源以外はCDメディアで聞いています。
▼その他
最後に、不満点もあるので書いておきます。
・本体にある「modeボタン」に関連する機能が、リモコンから操作できない。
(アップコンバートの設定が本体のmodeボタン長押しでしか選べないのはいかがなものか)
・リモコンのボタンレイアウトが機能的ではない。
・リモコンの使わないボタンが多すぎて美しくない。
・アップコンバートを使うと「空気感」は出るが一音一音の輪郭が若干滲んで、極小時間ずつずれてダブっている様に聞こえる。アップコンバートそのものがこういう音なのかどうか判断するだけの経験がありません。
・あと、アップコンバート選択時に、音がばっつり途切れるのは不安になる。
致命的に使えないということはないですが、リモコン関連は次期製品では配慮してほしいと思います。
次回は、自分がK-01を導入するに至った経緯を紹介しようと思います。
【SPEC】●再生可能ディスク:スーパーオーディオCD、CD、CD-R、CD-RW ●アナログオーディオ出力:RCA×1、XLR×1 ●出力インピーダンス:RCA…2.45Vrms、XLR…2.45Vrms(0dB設定時) ●周波数特性:5Hz〜55kHz(-3dB) ●S/N比:115dB ●デジタルオーディオ出力:同軸デジタル ●デジタルオーディオ入力:RCA、光デジタル、USB-B ●ワードシンク入力フォーマット:BNC×1 ●消費電力:33W ●外形寸法:445W×162H×438Dmm(突起部含まず) ●質量:約31kg