ここから本文エリア
現在位置:朝日新聞デジタル> マイタウン> 兵庫> 記事
女性に配慮 加古川刑務所に専用収容棟
2012年05月03日
|
女子収容棟の1人部屋。右奥のついたての裏がトイレ=加古川市加古川町大野の加古川刑務所 |
加古川市の加古川刑務所に今春、近畿で2カ所目となる女性受刑者専用の収容施設が新設された。光の差し込む居住室に大きな鏡が並ぶ美容室。報道機関向けの見学会に参加すると、「暗く冷たい塀の中」といったイメージとはちょっと違った光景が広がっていた。
訪れたのは4月28日。JR加古川駅から北東に車で10分ほど。住宅や畑に囲まれた加古川刑務所内の敷地1万平方メートルを使って女子収容棟が建てられ、3月から運用が始まった。3階建ての施設は運動場をぐるりと囲むようにロの字形になっている。運動場の受刑者が外部から見られないようにするためという。
定員は200人。1人部屋が140室、6人部屋が10室ある。全体に共通する特徴は、その明るさだ。畳3畳に洗面台、トイレがついた1人部屋は、1メートル四方ほどの窓から部屋全体に外光が降り注ぎ、晴れていれば蛍光灯なしでも十分明るい。完成からまだ約1カ月。畳や机は新しく、清潔感も十分感じさせる。
備品もそろっている。部屋の中央付近に薄型テレビが置かれ、1日3〜5時間ほど、好きな番組を見られるという。壁には鏡、ドアにはカレンダーがかけられ、お茶の配給を受けるための水筒も置かれていた。
6人部屋は15畳ほどで、こちらも自然の明かりが広がる。刑務所に部屋の振り分け方を聞くと、「刑期の長さや罪名は関係なく、まずは1人部屋から先に収容している」とのことだった。あとは事情に応じて、「1人が寂しいという受刑者がいたら、共同室に回すこともある」とか。
女性向けならではの施設もあった。運動場に面する1階にあったのが、美容室だ。「男子受刑者は丸刈りだからいらないが、女子はそうはいかないから」と、三船晃裕総務部長。美容師経験のある受刑者が髪を切るという。
刑期中に出産した受刑者のための育児室も備えている。1人部屋より一回り広い畳部屋で、乳児と一緒にいられるように室内に風呂もついている。ベビーベッドも設置可能で、1歳になるまでここで育てることができるが、大半は家族らが引き取って育てるという。
4月28日現在で19人を収容。30〜40代が中心で、窃盗や覚醒剤事件による入所が多い。徐々に収容者を増やし、今年度中に定員いっぱいになる見通しだ。
女性が入るための施設としては、加古川は全国で10カ所目。女性受刑者は増加傾向にあり、既存の施設で定員を上回る過剰収容が続いていたため、その解消が新設の狙いだ。総事業費は約24億円にのぼるという。(井上裕一)
- PR情報
-
|