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【賢者に学ぶ】哲学者・適菜収 素人の暴走と価値の錯乱
テレビの音楽番組では、アート(芸術)の対極にあるジャリタレが「アーティスト」と呼ばれ、ワイドショーでは有象無象の評論家が専門外のトピックについて無責任なコメントを垂れ流している。
こうした価値の錯乱の上に成立するのが《B層文化》だ。前回も述べたように《B層》とは平成17年の郵政選挙の際、内閣府から依頼された広告会社が作った概念で「マスメディアに踊らされやすい知的弱者」、ひいては「近代的諸価値を妄信する層」を指す。この《B層》が現在消費者の主流になっている。そこでは大企業のエリート社員が、マーケティングを駆使し、大量の資本を投入することにより、《B層》の琴線に触れるコンテンツを量産している。
たとえばポップスなら、音楽そのものよりも、歌い手の容姿や生い立ち、持病、スカートの丈の短さなどが重視される。ニーチェは言う。「畜群人間は、例外人間や超人がいだくのとは異なった事物のところで美の価値感情をいだくであろう」(『権力への意志』)
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