公表に至る経緯はこちら(HTML形式)
経緯も含めた文書一式はこちら(PDF形式:473 KB)

東京電力福島第一原子力発電所事故に関する
W-SPEEDIによる試算結果の公表について

平成24年4月27日
原子力安全委員会


 原子力安全委員会は、東京電力福島第一原子力発電所事故の発生後、独立行政法人日本原子力研究開発機構(以下「JAEA」という。)の協力を得て、環境モニタリング実測値と緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(以下「SPEEDI」という。)等による拡散シミュレーション結果とを比較することなどによって放出源情報(注)を逆推定するとともに、これを用いたSPEEDIによる試算結果を平成23年3月23日〜4月27日にかけて公表しています。
 また、その放出源情報の逆推定の作業手法及び結果については、平成23年5月12日の原子力安全委員会臨時会議においてJAEAから報告された「福島第1原子力発電所事故に伴う 131 Iと 137 Csの大気放出量に関する試算」(以下「大気放出量試算」という。)の中で説明されています。
 この逆推定作業において、JAEAは、SPEEDIに加え、世界版SPEEDI(以下「W-SPEEDI」という。)による試算結果も活用したとしていたところですが、今般、JAEAに確認したところ、平成23年3月16日〜4月8日にかけて、文部科学省の指示に基づいてJAEAから文部科学省及び原子力安全委員会に送付されていたW-SPEEDI試算結果の中に、「大気放出量試算」に活用されたものが含まれていたことが分かりました。
 このため、原子力安全委員会が協力を依頼し、JAEAから上記臨時会議に報告された「大気放出量試算」の説明性をさらに高める観点から、この度、関連するW-SPEEDI試算結果について、その所有者であるJAEAの了承を得て原子力安全委員会として公表することとしました。
(注)放出源情報: 原子力発電所から大気中に放出された放射性物質(131I,134Cs,137Csなどの特定の核種)の単位時間当たりの放出量の時間的変化など
 ○具体的な公表資料は以下のとおりです。



(1)「大気放出量試算」に活用されていたW-SPEEDI試算結果
平成23年3月15日の千葉県千葉市における環境モニタリング実測値との比較に活用されていたW-SPEEDI試算結果(2出力図)及び放出率逆推定結果

平成23年3月15日,16日,21日の茨城県東海村における環境モニタリング実測値との比較に活用されていたW-SPEEDI試算結果(6出力図)及び放出率逆推定結果



(2)「大気放出量試算」に活用されていた可能性のあるW-SPEEDI試算結果
その他、文部科学省の指示に基づき、平成23年3月16日〜4月8日にJAEAから文部科学省及び原子力安全委員会に送付されていた単位放出を仮定したW-SPEEDI試算結果
(JAEAによると、この中にはJAEAが放出率の逆推定過程で活用した数多くのW-SPEEDI試算結果の一部が含まれている可能性があるものの、現時点では、どれを活用したかが特定できないとしていることから、原子力安全委員会としては、原子力安全委員会に送付され、保存している単位放出を仮定したW-SPEEDI試算結果は全て公表することとしたものです。)

【参考】

原子力安全委員会が平成23年3月23日〜4月27日にホームページ等において公表した資料は、以下のとおりです。
@SPEEDIによる積算線量の試算結果(平成23年3月23日、4月11日、25日及び27日公表)
JAEAの協力により環境モニタリング実測値とSPEEDI及びW-SPEEDI試算結果との比較により推定された放出率逆推定結果を、再びSPEEDIに入力し、事故初期までさかのぼって拡散計算を行い、被ばく線量の積算線量等を試算したものです。
ASPEEDIによる放出総量の推定的試算値(平成23年4月12日公表)
上記@の手法による放出率逆推定結果を用いて、福島第一原子力発電所事故により大気中に放出された放射性物質の放出総量を試算したものです。