中国が承認するチベット仏教ナンバー2のパンチェン・ラマ11世(22)が26日、香港で開かれている第3回世界仏教フォーラムで講演した。チベット仏教への関与を強める中国政府が、影響下に置く同11世を国際舞台の場にお披露目した形だ。
同フォーラムは中国政府系の中国仏教協会などが主催し、日本を含む各国の仏教関係者約1千人が参加した。フォーラムで11世は「仏法理論は心の科学の精髄」と題して、中国の標準語で講演。胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席が提唱する和諧(調和)という言葉を何度も用いる一方で、自治と自由を求める焼身自殺が続くチベット族居住地域のことには一切触れなかった。
パンチェン・ラマ10世は1989年に死去。中国政府は、生まれ変わりのチベット族の少年として95年に11世を承認し、11世は北京で教育を受けた。インドに亡命中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は別の少年を11世に認定していたが、中国政府は承認せず、保護の名目でその少年を連れ去った。消息は今も不明だ。