● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2007年4月27日 決算委員会(財務省・金融庁等の決算審査)
              国有地安売りで大企業大もうけ
○大門実紀史君 大門でございます。
 国有地の売却、払下げ問題で質問いたします。
 国有地の有効活用とか不必要なところを売却するというのは、国庫に収入が入りますから、国民のプラスになるということで、全般的には反対するものではございませんが、時々ちょっとうさん臭いプロジェクトが出てまいります。大体、明治以来、国有地払下げというのは利権話がいつも付き物だったわけですけれど も、そういう点で、私は再三取り上げてきたのが大手町開発という問題で、国会で取り上げるのは今日で五回目になります。壮大な国家プロジェクトですから、 まだまだ取り上げていく必要があると思っておりますけれども。
 資料をお配りいたしました。そこに概要がございます。簡単に、初めての方もいらっしゃると思うので説明いたしますと、これは千代田区大手町の皇居の向かい側の合同庁舎等があるところの話です。一、二号館跡地というのがございまして、これは図解してありますけれども、平成十七年、〇五年の三月に千三百億円 で随意契約で都市再生機構にまず売られております。どういうわけか、すぐその十一月に有限会社大手町開発に、売った部分は全体の三分の二でございますけれ ども、価格としては、随契で都市再生機構が買ったのにプラスその間の管理事務費だけを上乗せしたと、ほぼ随契で買った価格で大手町開発というところに売却 をされております。つまり、随契で都市再生機構が安く買って、トンネルの役割を果たして民間の大手町開発に売却がされたということでございます。
 この有限会社大手町開発というのは、匿名組合、出資者として三菱地所等々が書いてありますが、お金の資金を出しております。さらに、この有限会社大手町 開発というのは、上の方にありますけれども、開発全体を企画立案してきた大手町まちづくり株式会社というものがありますけれども、それがつくった有限会社 でございます。そのまちづくり株式会社は経団連の事務総長さんが代表取締役、取締役が三菱地所がここにも入っております。
 さらに、その全体の方向を打ち出したのが、上の左の方にあります大手町まちづくりビジョン委員会、この委員長が伊藤滋さんという早稲田の特命教授で、都 市計画、不動産業界の主みたいな存在の方でございますが、この方は政府の国有財産売却の有識者会議の座長も務めておられまして、森ビルのブレーンもされて おります。不動産業界からアドバイザリー収入、報酬を受けている人物でもございまして、こういう人が政府の有識者会議の座長にふさわしいのかということは 再三指摘をしてきたところですが、私は問題だと思っておりますが、そういうことでございます。
 話をスキームに戻しますと、この大本にあるのが大手町まちづくり推進会議ということで、あの辺にビルを持っている経団連とか、そういう大企業が地権者四十社入って構成されております。
 何をやろうとしているのかといいますと、この一、二号跡地に、取りあえず今の段階ですと、そのそばにあります経団連、日経新聞、農協などが替え地でこの 跡地に入るということでございます。容積率が、国の都市再生本部で国家プロジェクトということになりまして、伊藤滋さんの働き掛けがあったかどうか分かり ませんが、御本人はそういうことをやってきたとおっしゃっているようなところがありますけれども、いずれにせよ、元々七〇〇%の容積率が一五九〇%になっております。三菱地所など不動産ディベロッパーが最初から絡んでおりまして、具体的に設計監理も三菱地所というふうになっております。
 資料の三枚目にどんなものが建つかということで載せておりますけれども、ここに建つのは三棟建つと。A棟、B棟、C棟です。このA棟というのは三十一階 で、これは主な区分所有者は日経新聞です。真ん中のB棟は、これが三十七階で、主な区分所有者はJAと先ほど資金を提供した出資者の人たちですね。二十三 階建てのC棟が経団連が主な区分所有者と。こういう形で、四月一日着工、とうとうこの四月一日に着工いたしました。十一日には、安倍総理、御手洗経団連会 長が出席して盛大な起工式が行われたということでございます。
 私は二年前からこの問題を取り上げてまいりましたけれども、とうとう本体着工というところになったわけですけれども、この一、二号館の跡地、結局これで一番もうけたのはだれなのか、財務省、いかがですが。

○政府参考人(丹呉泰健君)  一番もうけたのはだれかという質問につきましては私どもちょっとお答えにくいんでございますが、国といたしましては、この大手町の再開発のプロジェクトに つきましては、都市再生プロジェクトの一環ということで私どもは都市再生機構にこの土地を売却したところでございます。

○大門実紀史君  皆さんの有識者会議の座長の伊藤滋さんは、今年の一月二十五日、都市経営フォーラムでこんなことをおっしゃっております。この大手町開発で、経団連、日経 新聞も土地を買うときは、つまり今のところから一、二号館の跡地を移るときは、ベースの容積率八〇〇%くらいから、ちょっとこれは不正確だと思いますが、 一四三〇%で買っているから、大変高いお金で買っていると、それだけ国がもうけましたというふうに有識者会議の座長の伊藤滋さんがおっしゃっていましたけれども、本当に国がもうけたんですか、これ。

○政府参考人(丹呉泰健君) 先ほど申し上げましたように、国といたしましては、不動産鑑定士による鑑定によりまして売却しているところでございます。

○大門実紀史君 伊藤滋さんにお伝えください、そういう不正確なことを有識者会議の座長が言うべきではないと。
 この構図見て分かるとおり、国は千三百億円ですね。ここは面積が、ちょっと今は数字ありませんが、いずれにせよ平米一千万ぐらいの金額で売られているわ けです。それっきりですよね。一五九〇というのは、その後容積率を緩和してもらって延べ面積が増えますから、これは物すごく高くなっていますね、今はですね。国はもうけておりませんですよね。これは確認できますか。

○政府参考人(丹呉泰健君)  先ほど申し上げましたように、国は不動産鑑定士に鑑定を依頼いたしまして、ここの地区について、容積率は当時七〇〇%でございましたが、総合評価というこ とで九五〇%、二五〇%の上乗せをして評価が行われ、時価を算定していただき、売却し、先生の資料にございますように千三百億円で売却したところでござい ます。

○大門実紀史君 したがって、座長さんが言われるのは当たらないということでございますので、訂正するようにお伝えください。
 問題は、どの時点で容積率がだんだんだんだん増やされていったかでございます。
 国から都市再生機構に売られたのは平成十七年三月ですね。このときは七〇〇、今の換算もありますけれども、いずれにせよ七〇〇がベースでございました。 都市再生機構から大手町開発に平成十七年の十一月にほぼ原価のまま売られていると。この後、同じ十一月ですけれども、容積率が一二〇〇%になっておりま す。平成十八年の一月に容積率が一五九〇%になっています。民間に売ってから都市計画で容積率が引き上げられているわけですね、ですよね。これ、逆に考え ると、容積率引き上げて、民間に売る前に引き上げて売れば、もっと高く売れたんじゃないですか。

○政府参考人(丹呉泰健君)  この容積率につきましては東京都が決定しているところではございますが、先ほど申し上げましたように、国が売却する時点では九五〇%という前提でやってお りましたが、その後、東京都が容積率を引上げしたわけでございますけど、売却の時点ではこのことについては想定できなかったために、国としては九五〇%と いうことで売却したところでございます。

○大門実紀史君 これは都市再生本部がかんでいる国家プロジェクトですね、全体として、第五次決定ですね。そしたらあれですか、東京都が、財務省が売ってから、財務省の知らないうちに上げて財務省に損をさせたということですか。そういうことになりませんか、今の話だと。

○政府参考人(丹呉泰健君)  繰り返しになりますけれども、十七年三月売却の時点では七〇〇%に上乗せ二五〇%というところまでは想定できたわけでございますが、その後、東京都におい て大手町のこの地区につきまして十七年の十一月に容積率を引き上げたわけでございますが、私どもが売却した時点ではそこまでの引上げというのは想定されて いなかったところでございます。

○大門実紀史君  これは重要な問題でして、今一平米、この前不動産関係リサーチしましたら二千五百万は下らないと。売ったとき一千万ですよ。倍で売れたかも分からないんで すよ。これ、皆さんの土地じゃありませんよ、国民の財産ですよ。そんなことを見通せなかったわけですか。責任問われるんじゃないですか、一千三百億が二千 五百億で売れたかもしれないんですよ。
 そんなことも見通し利かなかったと、東京都が後でやったから分かりませんと、そんなことで済むんですか、これ。これだけ損失を、国民の財産の損失生んだんじゃないんですか。

○政府参考人(丹呉泰健君) 繰り返しになりますが、私どもとしては、売却時点で想定されている事態につき不動産鑑定士の方に鑑定をお願いして、それに基づいた時価で売却することとしており、本件につきましてもその当時、十七年三月当時では引上げは想定されなかったところでございます。

○大門実紀史君  ですから、これ、東京都のプロジェクトならまだお話は分からなくもないですけど、これ国家プロジェクトなんですよね。国が関与しているんです、都市再生本 部が関与しているんです。都市再生本部には財務省からも人が行かれているでしょうし、そしてその都市再生本部を自分で動かしてきたと伊藤滋さんは言ってい るわけだから、その人が座長にいてどうしてそんなぽかをやるんですか。後から引き上げられたと。
 財務大臣、いかがですか。

○国務大臣(尾身幸次君) 私どもとしては、今、理財局長の答弁したとおりだと考えております。

○大門実紀史君 金額では物すごい損失を、国民の財産を安く売ってしまったということになるわけで、これは急な質問というふうにとらえられて混乱されているかも分かりませんが、厳しく反省をしてもらわなきゃいけないというふうに思います。
 言わば、本来国有財産を高く売れたと、それでいいわけですよ、はっきり言って、いいわけですね。ところが安く売ってしまって、容積率が後で上げられた と。元々容積率を上げる可能性があった場所ですよね、ここは。そうすると、言ってしまえば、国が得るべき利益がこの民間のディベロッパー含めて、経団連や 日経新聞やJA全部含めて、民間に利益が、国民が得るべき利益が移転されたと、そういうことになるんですよ。この責任、ちょっときちっとしてくださいよ。

○政府参考人(丹呉泰健君) 繰り返しでございますけど、十七年三月に鑑定を、評価を行ったわけでございますが、この時点で一般的に収集可能かつ信頼できる情報を収集した上でやったわけでございますので、その点は御理解いただきたいと思います。

○大門実紀史君 一切反省はないんですか。

○政府参考人(丹呉泰健君) 繰り返しになりますけれども、私どもとしては予測可能なことにつきまして情報を収集し、それに基づいて不動産鑑定をお願いして時価に基づいて売却を行うということで、そういった形で売却したということを御理解いただきたいと思います。

○大門実紀史君 私は理解しても、これ国民が知れば納得できる話ではないということでございます。
 次に、気象庁と三号館、これは三枚目に地図がありますけれども、その跡地が同じように伊藤滋さんの座長の有識者会議で、開発に種地として使うというか、 開発全体の中に位置付けていくとなっています。これも同じように、同じようにですよ、随契で、しかも公示価格はまだ一千万ぐらいかも分かりませんが、そう いう安く売るということですか。

○政府参考人(丹呉泰健君)  二十三区内の庁舎の有効活用につきましては、今先生から御指摘がございましたように、伊藤滋先生を座長にいただいております有識者会議で現在検討いただい ているところでございますが、現在、中間取りまとめを行い、その中では、利用者の利便、業務の能率性に配慮しつつ、適切な移転・再配置を選定するとともに、移転先となる庁舎につきましては、財政健全化の観点から、土地の経済的有効活用という観点を踏まえ、未利用の容積を活用して庁舎を高層化し、他の庁舎の入居官署も併せて余剰地を捻出するというのが基本的な考え方でございます。
 御指摘の大手町の庁舎につきましては、未利用の容積が大きいことに加えまして、大手町は民間ビルの需要が高く、地価水準も非常に高いことから、できる限 り余剰地を捻出するとともに、財政健全化への貢献を最重視し、公正かつ透明な手続の下、できる限りの売却収入を早期に上げるための有効活用策を検討すると されております。
 現在、この方針に基づきまして、大手町の庁舎を含めまして二十三区内の庁舎につきましての有効活用を検討しているところでございますが、現時点では具体的な活用方策にまだ結論を得たわけではございません。

○大門実紀史君 財政の健全化のためですよね、そもそもこの話はですね。どうして一千億も、一千億以上も損するような売り方をしたのかと、厳しく問われますよ、これは。
 元々この構図そのものがおかしいんですよ、三菱地所の絡み方も含めてですね。しかも、この気象庁と三号館、三菱地所がわざわざ提案をしております、政府 の会議で、民間ヒアリングのときにですね。要するに、最初からこの大手町を安く払い下げさせて、つまり国民には損ですね、それで自分たちでハイエナのよう に、地権者の大企業からディベロッパーから三菱地所から、みんな群がってやっていると。それに政府の有識者会議まで方向を出して絡んできているというのは もう異常なプロジェクトでございます。このままでは済まされないというふうに思います。
 そういう中で、ひょいと出てきたのが政策投資銀行の話でございます。三枚目の地図で、計画地の隣に政策投資銀行がありますけれども、その向かい側に手書 きで太線で囲っている部分を、この国有地を政策投資銀行が買うということだそうですけれども、この購入費を、政策投資銀行の予算を見ましたら、百一億円、 動産不動産取得費として計上されております。政策投資銀行に聞くと、およそこの九割がこの購入費だということですね。そうすると、八百六十平米ぐらいです から、九十億、百一億の九割ですから九十億ぐらいとすると、やはり最初の一平米一千万ぐらいの前後で見積りがされていると思います。
 先ほど言いましたとおり、今この辺りは価格が急騰しておりまして、いろんな数字がありますけれども、私どもの調べでは二千五百万は下らないと、それ以上 という話もありますけれども。そうすると、九十億では買えるわけがないと。二百億以上になるかも分からないと思いますけれども、これ九十億じゃ買えないと いうふうに思います。どうして九十億しか計上していないのかと。これ考えられるのは、同じように随契で、随契ならば先ほどと同じように、都市再生機構のときの値段と同じように一千万ぐらいでちょうど九十億と、ぴったり合うなというふうに思うわけでございます。
 これは、そういう想定で政策投資銀行が九十億の予算計上をされて、政策投資銀行の予算計上というのは財務省がきちっとそれを検証されているはずですから、随契で政策投資銀行に売るということにもう約束がなっているんでしょうか。

○参考人(小村武君)  私どもが今予定をしております土地は、実は二十年前から国から駐車場の用地としてお借りをしております。現在、賃料は年間五千万円お払いをしております が、私どもの銀行は四十四年前に今の土地に建設をいたしました。当時、高さ制限等々がございまして駐車場は十分取れておりませんでしたので、二十年前から 国から毎年一年ごとの更改でお借りをしております。
 このたび、行革推進法で国が国有財産を売却を促進するというこの機会に、やはり私どもの業務に是非とも必要な土地を他の、先生のおっしゃるいろんな思惑 のある方に売られてしまったら業務に非常に差し障りがあるということで、このたび予算に関連して要求をしたものであります。
 価格は現在の路線価を参考にいたしまして要求をしております。おっしゃるように約九十億強でございますが、この価格で我々が必ず手に入れられるかどう か、これは価格をお決めになるのは理財局でありまして、これで価格が決定したわけではございません。一応の目安として路線価を参考にして計上させていただいたものであります。
 それから、私どもは今、会計法、予決令に基づきまして随契の適格者であります。したがいまして、十分購入する資格があるということでございます。

○大門実紀史君  私は、うさん臭いみたいなところを言われましたけれども、むしろ、随契で国の立場、国民の財産を高く売るならば、政策投資銀行はもう民営化されるわけだか ら、そういうところに売るよりも、今、大手町開発に市場価で、路線価じゃなくて、だから一平米二千五百万ぐらいで売れますよ。その方が、九十億が二百億の 収入が国に入るわけだから、何も民営化される政投銀に安く随契で売ることはないと。それこそ大手町開発に倍で売ればいいじゃないですか。それこそ国民の収 入になりませんか。いかがですか。

○政府参考人(丹呉泰健君) 本件はまだ私どもに正式の要請が参っておりませんけれども、仮に要請が参った場合には、私どもといたしましては不動産鑑定士の方の評価による時価によりまして売却することとなっておりますので、その点御理解いただきたいと思います。

○大門実紀史君 とにかく、国民の財産を随契随契で安く売りたたかないでもらいたいというのと、国民の利益をほかに移転するようなことだけはやってはいけないというふうに思います。
 ただ、私は、政策投資銀行がこの駐車場部分を今ごろになって急に買うというのは、私はそんな、駐車場が買っておかなきゃ不便だとかじゃなくて、この全体 の第二次事業の青写真、想定図がもう既にあって、だから財務省と政投銀がもうツーカーで、随契で売ってやるから買っておけということ以外考えられないです よ。そんな、取りあえず駐車場とかそんな小さな話じゃないですよ、この開発は。だから、次のことまで想定されてそういうことをやっておられるような気がし ますが、時間がないのでそれは次にやりますけれども。
 いずれにせよ、大事なことは、国民の財産をもっと大事に大事にしないと、このプロジェクト全体が、もう問われておりますけれども、鋭く問われるということを申し上げて、今日は質問を終わります。
 ありがとうございました。
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