赤い丘より新たな世界へ7
教師の仕事にもなれてきた。とはいっても担任はネギ君だから、俺は特に何もしてないけど。
そういえば「恐怖の豪速球ドッジボール事件」なんてのがあったな。高校生と喧嘩してドッジボール大会で決着つけようとしたのだが、主に遠坂が・・・・・・思い出すのは止めとこう。あれは2-A全員のトラウマになっているだろう。
まぁ、色々と事件もあったが今のところこの世界での生活は順調だった。
「そろそろあったかくなってきましたね」
「そうだな。春になったらお花見とか行きたいな」
「そうね。みんなで行きたいわね」
話しながらも足を動かして学園に向かう。
ネギ君も俺達との生活に慣れてきたようで士郎さん士郎さんと懐いてくる。
俺としては弟ができた様で結構うれしい。
クラスの奴らからも衛宮先生はネギ君のお兄さんみたいと言われているしな。
朝の職員会議終了後、俺は源先生に呼び止められた。
「衛宮先生、学園長がお呼びですよ」
「学園長がですか。分かりました。すぐに行きます。
ネギ君先に行って授業始めといて」
「分かりました。先に行ってますね」
ネギ君を先に教室に行かせ、俺は学園長室へ向かった。
学園長室
「失礼します」
ドアを開け学園長室に入る。
執務用の机に座って書類を書いている学園長。
う〜むやはりあの頭の形は気になるな。脳みそはどんな形なんだろ?
「わざわざ呼び出したりしてすまんな」
学園長の奇怪な頭を眺めていた俺はあわてて答える。
「いえ、でどのような用件ですか?」
「うむ、最近のネギ君はどうじゃ」
最近のネギ君か、授業は真面目だし生徒とも打ち解けてるから結構いいんじゃないかなと思い言った。
「そうですね、授業は真面目ですし、生徒にも慕われてがんばってると思いますよ」
「ふぉふぉふぉ、そうかそれは結構じゃな。それなら4月から正式に教師に採用できそうじゃ」
「そうですか。それはよかった」
「じゃがもうひとつ課題が必要じゃな。立派な魔法使いとしての。ふぉふぉふぉ」
やはりこの爺さん何を考えてるのか分からんな。そう思っていると学園長がなにやら書き始めた。
書き終わるとそれを封筒にいれ俺に差し出す。
「これをネギ君に渡しておくれ。最後の課題が書いてある」
「分かりました渡しておきます。で、用件はこれだけですか?」
そう聞くと学園長が引き出しからなにやら紙を一枚取り出した。
「いやもうひとつあるんじゃ。警備員の仕事じゃ」
そしてその紙を俺に渡す。紙に記載されていたのは、警備員についてと給料についてだ。
「いつからですか」
「うむ、今日の夜からじゃ。この学園には色々あってな、魔物が集まってくるんじゃよ。
結界があるから一般人に危害は及ばんが、たまに結界の綻びから侵入してくる奴がおるんじゃ。そうなる前に今回の仕事は結界外に集まっている魔物の掃討じゃ。
1名別に警備員をつけるから、詳しい事はその者に聞きなさい」
「わかりました。寮の警護はどうするんですか?」
俺と遠坂がいなくなれば寮の警護はいなくなる。
「そうじゃの、今回の仕事はそれほど大変じゃないからの。2人の内どちらかが行ってくれればよいさ」
学園長に言われて俺は考える。今のところ遠坂は基本魔術とガンドしか使えない。あと中国拳法?
宝石が無いからあまり大きな魔術は出来ないはず。
ということは、今のところ戦えるのは俺ということになる。
「俺が行きますよ。遠坂にはネギ君と留守番してもらいます」
「そうかそれじゃ頼んだぞ。集合場所は世界樹前の広場じゃ」
簡単な打ち合わせをした後に、俺は学園長室から退室した。
放課後
HR前にネギ君に手紙を渡す。
「ネギ君、学園長から最終課題だってさ」
「え!」
驚いたネギ君は封筒を受け取ると、そっと開けて中の手紙を読む。
「な・・・なーんだ。簡単そうじゃないですか。てっきり、もっと大変なことかと思いましたよ」
読み終わってほっとしたような顔で言った。
「課題はなんだったんだ?」
「これですよ」
そう言って、俺に最終課題が書かれた手紙を渡す。そこに書かれていることを読んでみる。
「ネギ君へ 次の期末試験で2−Aが最下位脱出できたら、正式な先生にしてあげる。
P,S 衛宮先生に協力してもらったらダメだぞ。 麻帆良学園 学園長 近衛近右衛門 」
読み終えた俺はゆっくりと無言で手紙を封筒に戻すと、ネギ君の肩に手を置いた。
「ネギ君、君はうちのクラスの成績を知ってるかい?」
「どっ、どうしたんですか?いきなりそんな真剣な声を出して」
俺は無言で俺の名簿に挟んでいるクラス全員の成績表を渡す。
「何ですかこれ?・・・・・・・そっそんな」
成績表に目を通したネギは愕然とした。
「ネギ君、現実はいつだって厳しいんだよ。負けるな!」
すでにネギ君は真っ白になっていた。
2−A
「えーと皆さん聞いてください!今日のHRは大勉強会にしたいと思います。
次の期末テストはもう、すぐそこに迫ってきていますから」
「え〜いいよネギ君、うちはエスカレーター式なんだから勉強しなくてもさぁ」
ぶーぶークラスの面々が文句を言う。
それを後ろから眺めていた俺は、君達は間違ってる高等部に行けば赤点取ったら留年なんだぞと思ってみる。
「あのっそのっ・・・実はうちのクラスが最下位脱出できないと大変なことになるんです。
ですから皆さんがんばって猛勉強していきましょう!」
「ネギ先生! それはすばらしいご提案ですわ。皆さんもがんばりましょう」
ネギ君の意見に賛成なのは学級委員長の雪広あやかだけだった。
この委員長はショタコンである。ネギ君大好き少女なのだ。
「ありがとうございます、委員長。では英語を始めますね」
ネギ君も自分の未来がかかっているので真剣である。
すると椎名桜子が言った。
「先生〜ただの授業はつまんないから英単語野球拳がいいと思いま〜す」
「ダメーダメダメ絶対ダメ!」
「いいですね。面白い方が頭に入ると思います」
神楽坂が必死に止めようとする。
自分が成績悪いから一番最初に餌食になることがわかっているのだ。
しかしネギ君は野球拳の意味を知らないのかあっさり肯定してしまう。
それをギロッと殺気の篭った視線で睨む神楽坂。
俺はあわててネギ君に言う。
「まてまて、面白いからって羽目の外し過ぎじゃないのか」
「いいじゃないですか。生徒が自主的ににやるっていってるのなら」
「・・・・・・ネギ君、野球拳の意味知ってる?」
俺は野球拳を知らないネギ君にレクチャーする。すると頭にパサッと何かが降ってきた。
「なんだ?」
頭に手をやり乗っている物を掴みとる。
・・・・・・ブラジャーである。フムこのサイズはCカップだな。なんとなくビョ〜ンと引っ張ってみた。
ふと何か嫌な予感がする。
「しっしっ士郎先生」
俺の前にいたネギ君が突然怯えだす。
「どうしたんだいネギ君」
「うっうっ・・・うし・・・後ろ」
「えっ」
ゆっくりと後ろを振り向くとあかいあくまが炎を背景に立っていました。
「あら衛宮くん、面白い物をもっていらっしゃるのね」
視線の先には握り締めた誰かのブラジャー。
「とっ遠坂さん、こっこれはですね」
「やっぱり胸が大きい方が好みなのね」
めらめらと怒りの炎を上げながら腕を振り上げる。
すでに周囲のクラスメイト達は教室の隅に撤退している。というか怯えている。
ネギ君なんて半泣き状態だ。
「ちっ違うぞ。俺は胸が小さくてもだな・・・」
「問答無用!」
遠坂の身体強化したパンチが俺を襲う。
「ごべらっ!」
机をなぎ倒して吹き飛ぶ。
強烈な一撃に朦朧とする意識の中、クラスの連中の話し声を聞いた。
「聞いた? 衛宮先生いま小さい方が好きて言ったわよ」
「やっぱりロリコンなのね」
「鳴滝姉妹は狙われそうだな」
「怖いです〜」
ゴッドああ神よ。私が何をしましたか・・・・・・
放課後
何とか遠坂の機嫌を取りネギ君と一緒に三人で家に帰る。
「ああ〜どうしよう。このままじゃ立派な魔法使いにはなれないよう」
さっきの出来事から不安を覚えているようだ。
「大丈夫。なんとかなるさ」
「でも・・・・・・そうだ!いっそうのこと頭がよくなる魔法を・・・副作用で1ヵ月パーになるけど仕方がない!」
なにげに問題発言である。1ヵ月もパーになると結構大変だと思うが。
すると遠坂が真剣な声でネギ君に言った。
「ネギ君、何でも魔法に頼るのはよしなさい。
魔法は便利みたいだけど、そればかりに頼っているといつか自分にしっぺ返しが来るわよ」
遠坂の発言にハッとするネギ君。
「それに魔法を使うのは、生徒の気持ちを考えない自分勝手な行動よ」
とどめの一言にシュンと頭をたれる。
「すみません。遠坂さんの言うとおりですね。僕はダメな教師ですね」
「気にしなくていいわ。いまそれはダメだってわかったんなら、別の方法を探せばいいのよ。
そうやって人は成長していくんだからね」
その言葉に勇気付けられたのか
「はいっ!ありがとうございます。僕は期末試験まで魔法を使わないで1教師として生身で生徒にぶつかってみます」
「その調子だネギ君」
「そうと決まればさっそく ラス・テル マ・スキル マギステル 誓約の黒い三本の糸よ 我に三日間の制約を」
いきなり魔法を唱えだす。するとネギ君の右腕に三本の黒い線が現れる。
「ネギ君なにをしたのかな?」
「三日間魔法を使えなくしました。これで僕はただの人です。
よ〜しこれで正々堂々とがんばれるぞ〜。とりあえず明日のカリキュラム組まなくちゃ!
先に家に戻ってますね」
そう言うとあっという間に走って帰っていった。
「なぁいいのかあれで?」
「いいんじゃないの。本人はやる気出してるみたいだし」
「それもそうだな」
衛宮家
夕食の準備を済ますと俺は遠坂の部屋に向かった。
コンコン
「遠坂はいるぞ」
「どうぞ」
部屋に入ると遠坂は机の上でなにやら本を読んでいた。机の周りにはたくさんの本が積まれている。
すべて外国語で書かれているようだ。俺が知らない文字ばかりだ。
「何読んでんだ?」
「この世界の魔法についてよ。学園長から借りてきたのよ」
本を閉じるとこちらに向き直った。
「でどうしたの?夕食がもうできた?」
「いや、俺はいまから出かけてくるから先にネギ君と食べていてくれ。
準備は出来てるから、食べる前に温めればいいようにしてある。
それと遅くなるかもしれないから先に寝ててかまわない」
そう言って部屋から出ようとする。
「ちょちょっと待ちなさいよ。どこに行くのよ?」
「仕事だよ」
ポケットから学園長に渡された書類を出して渡す。遠坂がそれをひったくる様に奪うと読む。
「何よこれ!もう勝手に決めないでよね。まったくあんたは・・・・・・でどこにいくの?私も行くわよ」
「お前は留守番だ。寮の警備があるからな。それに今お前は宝石がないだろ。
大丈夫だよ。そんなにたいした事じゃないから」
「・・・・・・仕方ないわね。でも絶対無理はしないように。なんかあったら殴り殺すわよ!」
ぷりぷり怒る遠坂だったが最終的にはお許しが出る。
「わかってる。お前には心配をかけるような事はしないよ。
じゃ行って来るから」
そう言って遠坂の部屋から出る。
そのままいつもの戦闘服である黒いボディーアーマーとあかい聖骸布のコートを身に着けると、俺は世界樹の下へ向かった。
はい、第7話の終了です。皆さんどうでしたか?
次回をご期待ください。