|
牛肉の表面を加熱したレアステーキを薄切りにして、タレや卵の黄身を添えた「ユッケ風」のメニューが焼き肉店を中心に出始めている。集団食中毒事件をきっかけに昨秋の新基準で生食用牛肉の調理法が厳しくなったが、ステーキは適用外のためだ。ただ、一部に基準を当てはめるべき事例も疑われ、各地の保健所は警戒を強めている。
「レアステーキユッケ風」(東京都内の焼き肉店)、「ステーキレアユッケ」(名古屋市の焼き肉店)……。ネット上のグルメサイトでは、こんなメニューが全国各地の焼き肉店で登場している。
4月下旬、サイトで見つけた愛知県内の焼き肉店を訪ねた。メニューにあった「ユッケ風」のレアステーキを注文すると、表面を加熱して薄切りにした肉に、ユッケだれと卵の黄身が添えられた皿が出てきた。見た目は牛たたきそっくりで、冷めた状態で味はユッケに近い。店員は「結構出てますよ」と話した。
ユッケや牛たたきの「代用品」としてレアステーキが広がりだしたのは、昨年10月に施行された新基準以降とみられる。新基準の対象はユッケ、牛たたき、牛刺しなどで、ステーキは「O157など腸管出血性大腸菌を原因とする食中毒事例が報告されていない」として基準の対象外となっている。
外食店にとって新基準を気にせずに提供できることが、広がりの背景にあるようだ。福岡市内で「レアステーキユッケ風」を提供するある焼き肉店の店員は「ユッケを出そうと思えばコストがかかってしまうが、食べたいという客も多い」と話している。