特集ワイド:原子力学会定例会ルポ ムラ、やっぱり閉じたまま

毎日新聞 2012年05月02日 大阪夕刊

 しかし、学会終了後の3月26日、東電は2号機格納容器内を内視鏡で検査した結果を公表。注水を続けているにもかかわらず、水位は底から約60センチの高さしかなかった。これは格納容器と圧力抑制室を結ぶ配管の位置より水位が低いことを意味する。田辺さんは「圧力抑制室が大きく破損し、そこから水漏れしているのは明らかだ。それなのに東電はデータすら無視し、とにかく否定するだけだ」と指摘した。田辺さんの訴えを聞いた現役研究者たちはどう考えたのだろうか。「東電が間違うはずがない」と考えたのか、それとも東電の主張はおかしいと感じつつも口をつぐんだのか。

 ◇反省の弁、全く

 一方、放射線測定や除染に関する講演後には会場から活発な意見が相次いだ。京大の名誉教授は「原爆が落ちた広島は今や長寿県。放射線測定を熱心にやり過ぎると、被ばく線量100ミリシーベルト以下でも問題だと言い出す人が出てくるので心配だ」と語った。京大の若手研究者も「年間1ミリシーベルト以下を目標に除染するのは科学的見地からはいただけない(厳しすぎる)。学会としてどう考えるんだ」と詰め寄ると、参加者から大きな拍手が起きた。

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