関越道バス事故:「あすは我が身」運転手たちの不安と不満
毎日新聞 2012年05月02日 22時03分(最終更新 05月03日 02時31分)
同じころ、葛西駅近くのビジネスホテルのロビーで、30代の男性運転手が時間をつぶしていた。明け方に着いても、チェックインできるのは早くて午前10時だという。
大阪のバス会社に勤務し、観光バスを運転しているが、繁忙期はツアーバスのシフトに入る。「原則、2時間で交代。月に4〜5回の休みもある。それでも夜の運転はきつい」。1日のワンマン運転の上限を670キロとする国土交通省の指針を事故後に知り、「机上の空論」と感じた。総務省によると、約9割の運転手が睡魔に襲われたり居眠りしたりした経験があるという。
大阪−東京間を当たり前のように1人で運転させる会社があれば、夕方まで観光バスに乗せ、そのまま夜行バスに乗務させる会社もあると仲間から聞いた。「運転したこともない役人が基準を作っている。基準を作る人は夜中にハンドルを握ってみてほしい」。男性は訴えた。【市川明代、馬場直子】