鳥インフル“容易に人人感染も”5月3日 5時59分
毒性の強いH5N1型の鳥インフルエンザウイルスは、遺伝子の変異によってはヒトからヒトに容易に感染するおそれがある、とする研究結果を、東京大学医科学研究所のグループがまとめました。
新型インフルエンザ対策につながる成果として注目を集めています。
H5N1型の鳥インフルエンザウイルスは、アジアなどでヒトに感染し、60%近くが死亡していますが、新型インフルエンザとしてヒトの間で流行するか疑問だとする見方もあります。
東京大学医科学研究所の河岡義裕教授のグループは、H5N1型がヒトからヒトに感染を広げる可能性があるか調べるため、アメリカの施設で人工的に合成したウイルスをインフルエンザへの感受性がヒトとよく似たフェレットという動物に感染させる実験を繰り返しました。
その結果、ウイルスが細胞に入り込むときに働くたんぱく質の遺伝子で4か所に変異が起きると効率的に感染することが分かったということです。
研究グループは、H5N1型のウイルスは遺伝子の変異によってはヒトからヒトに容易に感染するようになり、新型インフルエンザとして流行するおそれがある、と結論づけています。
一方、実験では、感染したフェレットの症状はいずれも軽く、抗ウイルス薬がよく効いたということです。
河岡教授は「今回の成果を、自然界でどれくらい新型ウイルスの発生が近づいているのか調べることなどに役立ててほしい」と話しています。
この研究をまとめた論文を巡っては、アメリカ政府がテロに悪用されるおそれがあるとして、一時、詳しい内容を公表しないよう求めましたが、「ワクチン開発など新型インフルエンザ対策に生かされるメリットのほうが大きい」として方針を撤回したいきさつがあります。
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