酔っ払いのうわごと このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2010-04-19 1peck3qt2gill2fl oz

[][]弁護士が取り調べ可視化に反対する理由

私は、ほぼ毎日、作家の大下英司氏のブログを見に行きます。ブログのタイトルを『代替空港』と付けてたのは、大下氏がメディアとはオルタナティヴ(代替)な意見を発表する場だからだそうです。大下氏のブログは、氏自身の意見も面白いのですけれど、コメント欄が毎回読者によって賑わっていて、それが大下氏の意見より面白い事が少なくありません。昨日も、このような書き込みがありました。

成田よ、日本人の誇りを見せよ: 大石英司の代替空港

http://eiji.txt-nifty.com/diary/2010/04/post-dab3.html

<<抜粋・太字・着色は管理人による>>

元特捜検事で会社法起草者にして現在上智大学教授の葉玉匡美弁護士が、可視化を一貫して非現実的だと批判しています。

http://kaishahou.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-8aee.html

>私はイギリスで、在外研究をやっていたので、捜査の可視化には一家言あります。イギリスのように、むちゃくちゃ薄い証拠で有罪にできるラフジャスティスなら、捜査状況を全部ビデオにとっても問題ありません。日本のように精密司法では、コストの面でも運用の面でも、可視化は、すぐに行き詰まります。可視化はラフジャスティスの採用とバーターです。

http://kaishahou.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-8aee.html

>私がイギリスに在外研究にいったとき、可視化の最も進んだイギリスの被疑者の取調べは、重大な殺人事件であろうと、30分くらいしか行われないことが多いと聞きましたし、実際に裁判の証拠を見せて貰ったら、日本ではとても有罪にならないような証拠で有罪になっている例が多数ありました。可視化するならば、短時間の取調べに留める必要があります。これは、録画コストだけではなく、録画した取調状況を、裁判関係者(検事・弁護士・裁判官・裁判員)が見るコストを考えると不可避です。たとえば、20日間連続で10時間ずつ取調べをしたビデオを、裁判関係者が全部見るのは現実的ではありません。かといって、反訳させると、さらに莫大なコストがかかります。

http://kaishahou.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-7459.html

>まず、被告人が、時期を特定できるとは限りません。特定できなければ、全部見ていくしかありません。また、一言で任意性が飛ぶことは希であり、任意性を疑わせるような言動を丹念にたどってはじめて取調官の言動が被告人の自白に与えた影響を明らかにすることができます。また、取調の全課程が可視化されても、自白したことが不利だと考える被告人が任意性の主張をすることは、絶対になくならないと思います。すべての被告人が合理的な行動をとるわけではないのえす。もし抽象的な任意性の主張をする被告人がでてきたら、検事も弁護士も裁判官も全部見なければならなくなります。

投稿: | 2010.04.18 19:39

この書き込みはコメントなので部分引用です。本当は、質問者に葉玉匡美弁護士の一問一答なので質問も合わせて読んだ方が可視化に反対する理由が解りやすいような気がします。ブログ『会社法であそぼ』より当該部分を全文引用してみました(抜粋・太字・着色は管理人による)。

代表訴訟の対象となる責任: 会社法であそぼ。

http://kaishahou.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-c0fd.html

Q6

 やはり、全面的に開示すべきでしょうか?弁護士の先生は「被疑者の人権が」とか、検察の先生は「被疑者との信頼関係が」とか言いますけど、ビミョーな問題ですよね。葉玉先生はどうお考えでしょうか?

 私自身は、検察の説明責任含め、素人的立場からして、検察の実体みたいなものがイマイチ掴めません。(HEROとかそれでも僕はやっていないとか見たけど、やっぱわかんない。)捜査の密行性っていうけど、逮捕された後、どんな捜査が行われているのか全くわかりません。このような心境からいうと、やっぱり大なり小なり捜査の可視化は必要だ、と思うのですが、どうでしょうか?

投稿: しがない | 2009年3月24日 (火) 21時15分

A6

私はイギリスで、在外研究をやっていたので、捜査の可視化には一家言あります。

イギリスのように、むちゃくちゃ薄い証拠で有罪にできるラフジャスティスなら、捜査状況を全部ビデオにとっても問題ありません。

日本のように精密司法では、コストの面でも運用の面でも、可視化は、すぐに行き詰まります。

可視化はラフジャスティスの採用とバーターです。

善管注意義務: 会社法であそぼ。

http://kaishahou.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-8aee.html

Q11

>可視化はラフジャスティスの採用とバーターです。

この意味がよくわかりません。もう少し噛み砕いてお教えいただけないでしょうか?

操作・取調べの可視化が、裁判コスト(弁護側・検察側ともに)増加とバーターであると言うのであればわかります。

しかし、なぜラフジャスティスとバーターになるのでしょうか?

むしろ可視化されれば、自白や検面調書の正当性などが高まるでしょうし、正確な裁判に繋がるというのが一般的な考え方のように思います。それとも、「捜査の可視化なんかされたら、弁護サイドからの突っ込みどころ満載になってしまう。強引な自白強要もばれちゃうだろ!だから、ラフジャスティスにしてもらわんと、全員無罪になっちゃうじゃないか!」と言う意味なんでしょうか?

(別に皮肉でもなんでもなく、純粋な疑問です)捜査の可視化の是非、というのは、多くの一般人が疑問に思う部分ではないかと思うので、ぜひ葉玉先生のお考えをお聞かせください。

投稿: きたろう | 2009年4月 6日 (月) 12時54分

A11

私がイギリスに在外研究にいったとき、可視化の最も進んだイギリスの被疑者の取調べは、重大な殺人事件であろうと、30分くらいしか行われないことが多いと聞きましたし、実際に裁判の証拠を見せて貰ったら、日本ではとても有罪にならないような証拠で有罪になっている例が多数ありました。可視化するならば、短時間の取調べに留める必要があります。これは、録画コストだけではなく、録画した取調状況を、裁判関係者(検事・弁護士・裁判官・裁判員)が見るコストを考えると不可避です。たとえば、20日間連続で10時間ずつ取調べをしたビデオを、裁判関係者が全部見るのは現実的ではありません。かといって、反訳させると、さらに莫大なコストがかかります。

短時間の取調べで、事実認定しようとするならば、少ない供述証拠で(犯行に至る経緯や動機等が不十分でも)、被疑者や参考人の供述の矛盾や変遷等もあまり気にせずに、事実認定をしなければなりません。

これがラフジャスティスです。

現在、自白の任意性で、「強要」に該当するような主張がされること自体非常に少なく、私は、そのような観念論ではなく、より良い事実認定のプロセスを確保するためには、可視化などない方がよいと思います。

2ヶ月間のご無沙汰でした。: 会社法であそぼ。

http://kaishahou.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-7459.html

Q10

はじめまして,取調の可視化に関するお答えに疑問があります。

>可視化するならば、短時間の取調べに留める必要があります。これは、録画コストだけではなく、録画した取調状況を、裁判関係者(検事・弁護士・裁判官・裁判員)が見るコストを考えると不可避です。

とありますが,すべての取調を録画しても,それをすべて見る必要はないはずです。可視化は,任意性を疑わせるような取調があったか無かったかを判断するためですから,被告人が不当な取調があったと主張する時期の取調の録画だけを見ればよいはずです。取調の最初から最後まで任意性を失わせる不当な取調べをすることは考えがたく,仮に最初から最後まで不当な取調であったのなら,最初だけ見ればわかるはずです。

取調の全過程が可視化されると,不当な取調は抑制されるはずですから,任意性がないとの主張自体なくなり,録画を見る機会そのものは不要になると思います。

投稿: インビーム | 2009年4月30日 (木) 02時15分

A10

そんなに単純なものではありません。

まず、被告人が、時期を特定できるとは限りません。特定できなければ、全部見ていくしかありません。

また、一言で任意性が飛ぶことは希であり、任意性を疑わせるような言動を丹念にたどってはじめて取調官の言動が被告人の自白に与えた影響を明らかにすることができます。

 また、取調の全課程が可視化されても、自白したことが不利だと考える被告人が任意性の主張をすることは、絶対になくならないと思います。すべての被告人が合理的な行動をとるわけではないのえす。もし抽象的な任意性の主張をする被告人がでてきたら、検事も弁護士も裁判官も全部見なければならなくなります。

 

私も可視化には疑問を持っていました。裁判員制度が始まってからは特にです。裁判員を拘束していられるのは1週間が限度だと思いますから。可視化のビデオを観ているだけで時間が過ぎてしまい、裁判その物が疎かになってしまっては本末転倒と言うしかありません。

ただ、現在の取り調べに問題が無いとも思っていないわけでは無いのです。葉玉弁護士は、さらっと『20日間連続で10時間ずつ取調べをしたビデオ』と書いてしまっていますけれど、これで良いのでしょうか。法定労働時間は、1日8時間で週では40時間と決められています。いくら容疑者だからと言って1日2時間、週で30時間も、それをオーバしてしまって良いわけが無いと私には思えるのです。これは取り締まりに名を借りた拷問とも言えるでしょう。人権派弁護士が、この事よりも可視化にばかり力を入れる理由が解りません。

参考に参考に 2010/04/21 00:28 ◆取調べの全面的可視化についての勘違い - フェニックス早川忠孝の一念発起・日々新たなり http://news.livedoor.com/article/detail/4566216/

oguoguoguogu 2010/04/21 17:52 驚きました。リアルタイムでの可視化を考えている民主党の議員がいるとは。取調では必ずしも本当の事ばかりを話すとは限りません。嘘の証言で被害を受ける事だってあるでしょう。本当に何も考えずに思った事を口にしているとしか思えません。

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