体裁・用語法・文法などについては、入手した資料どおりに転記しています。 条例案についての報道記事・・・ 日本経済新聞、 読売新聞 ※ 教育基本条例について |
家庭教育支援条例 (案) 平成24年5月 「大阪維新の会」 大阪市会議員団
第1章 総則 第2章 保護者への支援 第3章 親になるための学びの支援 第4章 発達障害、虐待等の予防・防止 第5章 親の学び・親育ち支援体制の整備 (前文) かつて子育ての文化は、自然に受け継がれ、父母のみならず、祖父母、兄弟、地域社会などの温かく、時には厳しい眼差しによって支えられてきた。 しかし、戦後の高度成長に伴う核家族化の進展や地域社会の弱体化などによって、子育ての環境は大きく変化し、これまで保持してきた子育ての知恵や知識が伝承されず、親になる心の準備のないまま、いざ子供に接して途方に暮れる父母が増えている。 近年急増している児童虐待の背景にはさまざまな要因があるが、テレビや携帯電話を見ながら授乳している「ながら授乳」が8割を占めるなど、親心の喪失と親の保護能力の衰退という根本的問題があると思われる。 さらに、近年、軽度発達障害と似た症状の「気になる子」が増加し、「新型学級崩壊」が全国に広がっている。ひきこもりは70万人、その予備軍は155万人に及び、いきこもりや不登校、虐待、非行等と発達障害との関係も指摘されている。 このような中で、平成18年に教育基本法が改正され、家庭教育の独立規定(第10条)が盛り込まれ、「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有する」と親の自覚を促すとともに、「国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない」と明記した。 これまでの保護者支援策は、ともすれば親の利便性に偏るきらいがあったが、子供の「育ち」が著しく損なわれている今日、子供の健全な成長と発達を保障するという観点に立脚した、親の学び・親育ちを支援する施策が必要とされている。それは、経済の物差しから幸福の物差しへの転換でもある。 このような時代背景にあって、本県の未来を託す子供たちの健やかな成長のために、私たち親自身の成長を期して、本条例を定めるものである。 第1章 (総則) (目的) 第1条 1項 親およびこれから親になる人への「学習の機会及び情報の提供等」の必要な施策を定めること 2項 保育、家庭教育の観点から、発達障害、虐待等の予防・防止に向けた施策を定めること 3項 前2項の目的を達成するため、家庭教育支援推進計画を定めること (基本理念) 第2条 家庭教育の支援は、次に掲げる条項を基本理念として、推進されなければならない。 (1) 親は子の教育について第一義的責任を有すること (2) 親と子がともに育つこと (3) 発達段階に応じたかかわり方についての科学的知見を共有し、子供の発達を保障すること (社会総がかりの取組) 第3条 前2条の目的および基本理念にもとづき、家庭教育の支援は、官民の区別なく、家庭、保育所、学校、企業、地域社会、行政が連携して、社会総がかりで取り組まれなければならない 第2章 (保護者への支援) (保護者への支援の緊急性) 第4条 現に子育て中であるか、またはまもなく親になる人への支援は、緊急を要するため、以下に掲げる施策が、遅滞なく開始されなくてはならない (母子手帳) 第5条 母子手帳交付時からの親の学びの手引き書の配付など啓発活動の実施、ならびに継続的学習機会の提供および学習記録の母子手帳への記載措置の実施 (乳幼児検診時) 第6条 3ヶ月、6ヶ月、1歳半、3歳児検診時等での講習の実施ならびに母子手帳への学習記録の記載措置の実施 (保育園、幼稚園等での学習の場の提供) 第7条 すべての保育園、幼稚園等で、年間に1度以上、保護者会等での「親の学び」カリキュラムの導入 (一日保育士、幼稚園教諭体験) 第8条 すべての保育園、幼稚園で、保護者を対象とした一日保育士体験、一日幼稚園教諭体験の実施の義務化 (学習の場への支援) 第9条 保育園、幼稚園、児童館、民間事業所等での「親の学び」等の開催支援 第3章 (親になるための学びの支援) (親になるための学びの支援の基本) 第10条 これまで「親になるための学び」はほとんど顧みられることがなく、親になる自覚のないまま親になる場合も多く、様々な問題を惹起していることに鑑み、これから親になる人に対して次に掲げる事項を基本として、学びの機会を提供しなければならない。 (1) いのちのつながり (2) 親になることの喜びと責任 (3) 子供の発達過程における家族と家庭の重要性 (学校等での学習機会の導入) 第11条 小学校から大学まで、発達段階に応じた学習機会を導入する (学校用家庭科副読本および道徳副読本への導入) 第12条 小学校から高等学校まで、発達段階に応じて、次に掲げる事項を基本とした家庭科副読本および道徳副読本を作成し活用する (1) 家族、家庭、愛着形成の重要性 (2) 父性的関わり、母性的関わりの重要性 (3) 結婚、子育ての意義 (家庭用道徳副読本の導入) 第13条 前12条の内容に準じて、保護者対象の家庭用道徳副読本を作成し、高校生以下の子供のいる全ての家庭に配付する (乳幼児との触れ合い体験学習の推進) 第14条 中学生から大学生までに対して、保育園、幼稚園で乳幼児の生活に触れる体験学習を義務化する 第4章 (発達障害、虐待等の予防・防止) (発達障害、虐待等の予防・防止の基本) 第15条 乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因であると指摘され、また、それが虐待、非行、不登校、引きこもり等に深く関与していることに鑑み、その予防・防止をはかる (保護者、保育関係者等への情報提供、啓発) 第16条 予防、早期発見、早期支援の重要性について、保護者、保育関係者およびこれから親になる人にあらゆる機会を通じて情報提供し、啓発する (発達障害課の創設) 第17条 1項 発達障害の予防、改善のための施策は、保育・教育・福祉・医療等の部局間の垣根を廃して推進されなければならない 2項 前1項の目的達成のために、「発達障害課」を創設し、各部局が連携した「発達支援プロジェクト」を立ち上げる (伝統的子育ての推進) 第18条 わが国の伝統的子育てによって発達障害は予防、防止できるものであり、こうした子育ての知恵を学習する機会を親およびこれから親になる人に提供する (学際的プロジェクトの推進) 第19条 保育・教育・福祉・医療等にわたる、発達障害を予防、防止する学際的研究を支援するとともに、各現場での実践的な取り組みを支援し、また、その結果を公表することによって、いっそう有効な予防、防止策の確立を期す 第5章 (親の学び・親育ち支援体制の整備) (民間の、親の学び・親育ち支援ネットワークの構築推進) 第20条 親としての学び、親になるための学びの推進には社会総がかりの取り組みが必要なため、民間の、親の学び・親育ち支援ネットワークの構築を支援し、推進する (民間有資格者の育成に対する支援) 第21条 親としての学び、親になるための学びを支援、指導する「親学アドバイザー」など、民間有資格者等の育成を支援する (「親守詩」実行委員会の設立による意識啓発) 第22条 親と子がともに育つ実践の場として、また、家族の絆を深める場として、親守詩実行委員会を設立して発表会等の催しの開催を支援し、意識啓発をおこなう (家庭教育推進本部の設置と推進計画等の策定) 第23条 1項 首長直轄の部局として「家庭教育推進本部」を設置し、親としての学び、親になるための学び、発達障害の予防、防止に関する「家庭教育推進計画」を策定する 2項 「家庭教育推進計画」の実施、進捗状況については検証と公表をおこなう |