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当Blogは恋愛小説家はまうず美恵の小説中心サイトです。
ジュニョンが倒れた。

ライブについての打合せの席にリーダーが不在で、大人達は相当に困っているようだった。
「体調管理も仕事なのに」
「此の程度のスケジュールで倒れられても」
「ライブも来週に迫ってるのに」
「ちょっと俳優業かじったからって、ねえ」
「風邪なんて、点滴くらいでどうにもなるでしょうに」
言いたい放題の言葉が僅かに聞こえて、発言者を探そうとドンジュンが周囲を見回そうとした瞬間、隣に座っていたケビンに腕を強く掴まれた。
「よせ」
「だって!」
ドンジュンがケビンを睨みつけると、ケビンは全く動じずに淡々と言った。
「今波風立てて、スタッフとの間に溝を作るのがどれだけ賢くない選択か考えろよ」
「……あんなスタッフと上手くやっていけるか」
「やっていくのも、仕事なんだよ」
向い側に座ったシワンが、ペットボトルの水を口に含みながら言った。
聞こえていたらしい。

兄貴達は、とても冷静だと思う。
もしかしたら、此の空間に居る、自分以外の七人は全員冷静なのかもしれない。状況を戸惑いながらも受け入れて、「アーティストとして賢い」選択ができるのかもしれない。
でも、俺は——。
ドンジュンは舌を向いて唇を噛み締めた。

今、此処に居て欲しい。

はっきり言って天然で阿呆みたいなときもあるし、空気読んでくれよって思う時もあるし、お調子者で、何処行っても目で女の子追ってる適当発言満載のリーダー。
でも、貴方が居ないと、バランスを崩して傾いた天秤のようになってしまう。

メンバーの為に。
スタッフの為に。
ファンの為に。
そして、俺の為に。
貴方に此処に居て欲しい。

==================

会議が終わると、シワンから宿舎の鍵を渡された。
「良い子にしてたご褒美、ね?」
シワンが、内緒だよ、と人差し指を一本立てて、唇に当てる素振りをする。

「——え?」
「ドンジュンの”お仕事”は此処まで。マネージャーと俺らは食事に行くよ。帰りは——22時くらいかな」
シワンはシャツの裾を少し持ち上げ、腕時計を見て言った。
「でも」
「?ドンジュンがそんなに仕事熱心だとは思わなかった。じゃあ、看病にはミヌを派遣しようかな?」
シワンがドンジュンに渡したはずの鍵を奪い返そうと細い指を伸ばした。
「——ダメ」
ドンジュンは鍵を右手の掌で覆い隠し、更に其の上に自分の左手を重ねて胸にあて、シワンから遠ざけた。
「それでよろしい」

ドンジュンは掌の鍵を見た。
「——あ、」
「え?」
食事に行く集団に紛れようとしていたシワンが振り返った。
「22時頃だからね」

二度目だ。

ドンジュンは打合せ部屋の時計を見た。
短針は8と9の間にある。

==================

部屋に帰ったドンジュンは真っ先にジュニョンの部屋に飛んで行った。
「ヒョン!」
覗いたベッドは、蛻の殻だった。
何処かのタイミングまでは人が寝ていたことを示すように布団がはだけられ、シーツに人形の皺が寄っている。
「……あれ?」

リビングに移動すると、其処にやっと姿を見付けた。
ソファに何も掛けずに寝転んでいる、愛しい人。

「ヒョン……」
そっと近付いてみると、ソファに右側を下にして顔を背もたれの方へ向け、横向きになって眠っている。
「ヒョン?具合良くなったの?」
目を閉じたままの横顔に問う。
「ん……」
声に気付いて、寝返りを打とうとした身体が傾く。慌ててドンジュンが両腕で支えると、ジュニョンが目を覚ました。
「あ」
「ヒョン、具合どう?大丈夫?」
「ああ、うん」
頬が少し赤くて、声が掠れていた。2回、渇いた咳をして、ちょっと身体が痛いかな、と言った。ジュニョンはふっと笑った。
「でも大分ましになった。皆はどうした?」
体勢を直しながら、ジュニョンは頷いた。治り切っていないのに、何も掛けずにソファで寝ているなんてだめだろう……とドンジュンは思ったけれど、其れは口にはしなかった。
「食事に行ったよ。ね、俺何かできることない?食事、作る?」
床に膝を突いてソファの顔を覗き込むと、相変わらず熱が下がらない様子だと思った。服も何度か着替えたのか、今はタンクトップ一枚にスウェット素材のグレーのジャージを着ているのみである。

——潤んでいた目。赤い頬。
さっき掌で感じた、タンクトップから出た肩の汗ばんだ感触が離れない。
病人相手に最低だな、とドンジュンは思う。

「食欲……無い」
「でも、何か食べた方が」
「無理して食べたら、吐きそうだ」
「じゃ、他には?何か、できること」
焦るように早口で言った。何か、貴方が回復するために、してあげたいのに。
「ん……」
ジュニョンは黙った。特に考えている様子も無く、ただ気怠そうに無言で風邪や全身の痛みと闘っているような表情だった。
「じゃ、せめて向こう移動しよ?暑いのわかるけどさ。ソファじゃひどくしちゃうんじゃない?」
「うん……」
じゃあ、肩貸して、とジュニョンはソファの下に脚を下ろし、そのまま立ち上がろうとした。ドンジュンも立ち上がり、ジュニョンに手を貸して体を支えた。

二人でベッドに向かう。
廊下を歩く。

「ドンジュンはさ」
「え?何?」
風邪の所為で弱った喉から発される言葉は、何時にも増して聞こえづらく、ドンジュンはジュニョンの口許に耳を寄せた。
「俺が風邪でぼろぼろになってて……」
「うん?」
「甘えたりするのちょっと期待してた?」
廊下で急に立ち止まったジュニョンが、ドンジュンの耳に、言葉を吹き込む。

見透かされていた、最低な欲望。

潤んだ目で見つめられたら、何処まで我慢出来るのか、分からなかった。
本当に、此の人の看病になることは、一刻も早く寝かせてあげることだと分かっているのに。

「そんな訳、無いだろ」
強がり。
「——本当に?」
嘘だよ。

ジュニョンが、思い切り顔を近付けて言った。
「甘えさせてよ」

==================

既に少し湿っていたベッドが、ジュニョンの熱の高さを感じさせた。
其処にジュニョンを横たえて、言われるがままに肌に手を伸ばす。
キスをしようとすると、ちょっと顔を背けられた。
「うつすから」
キスはダメ。
ジュニョンが呟く。
「やだ。したい」
ドンジュンはジュニョンの顎に指をかけ、唇を奪った。
「……ドンジュン……」
掠れた声で名前を呼ばれたら、今まで保とうとしていた理性が簡単に吹っ切れる。目の前の相手は病人で、リーダーで、年上で……ということを全て忘れさせるだけのジュニョンの目が、ある。

——抱いてよ。汗、全部出したい。

ジュニョンの甘え方が直接的過ぎて戸惑うけれど、其れ以上に無防備で「其のこと」しか考えていないジュニョンが目の前に居て、だんだんドンジュンも何も考えられなくなった。
彼の為に何かしてあげたい、という言葉や気持ちもだんだん形を失って行く。

ドンジュンは時計を見た。

——まだ、時間はあるね。

確認してジュニョンの服の裾から手を入れる。肌が既に熱を持っていて熱い。少し湿って掌に引っ掛かる肌。其の上に指先を滑らせて、胸を弄るとジュニョンが反応した。
「ああっ…」
「今日、もしかして凄く感じ易くなってる……?」
「風邪引くとしたくならない?」
「其れは多分ヒョンだけだよ……」
タンクトップをたくし上げて乳首に舌を伸ばす。ぺろりと舐め上げれば、小さな突起があることを感じる。左右の胸にキスをしながら、タンクトップを腕の方へ丸めていくとジュニョンが自ら脱いだ。

素肌になったジュニョンがドンジュンの着ていたパーカーを摘んでたくし上げた。ドンジュンも自ら脱いで、逞しい筋肉を惜しげも無くさらす。
「何か、ドンジュンは脱がす楽しみが無いね……」
ぼんやりした顔で言われる。いつも見てるからかなあ、なんて。
肌を重ね合わせるとやはりジュニョンの肌は熱い。まだ風邪が治り切っていないのが明らかに分かる。
其れでも、行為をやめるつもりは無かった。
ジュニョンの望みでもあり、
ドンジュンの望みでもあったから。

上を脱いで肌を触れ合わせてキスをする。覆い被さったまま、ドンジュンはだんだんと体の中心をなぞるように胸から下の方へ手を触れて行き、臍の穴に指を入れた。
「ん……」
ジュニョンがだんだんと浅い呼吸をし始めているのが分かる。呼吸は、風邪で痛んだ喉もあって少しだけ辛そうで、切羽詰まった響きを含んでいた。
「焦らすなよ」
「ヒョン、我侭」
「我侭言っても良いだろ。病人なんだから、甘えさせてよ」
伸びて来た左腕が、頭を撫で、ドンジュンの耳朶を何度も確かめるように触る。其の甘い空気と下から向けられたとろんとした眼差しに、衝動をかき立てられた。

下着ごとスウェットのジャージを下げると、指を口の中に入れて舐め、其れをジュニョンの後ろに当てる。
「あ……ドンジュン、ん……」
入り口を撫でて、人差し指の爪の辺りで中を広げる。馴染むのを待って其れを中で動かすと、ジュニョンが悶えた。其の様子を見ていて、中に入ってしまいたいと思うのを抑え、指を増やす。三本入れてしまうと、わざとばらばらに、しかも本数が分かるように指を動かして感じさせる。
「あ、ああんっ……ん……」
ひっきりなしに女のような高い声が出て、彼の良いポイントを見付けたのが分かる。
其れをもう一度確かめるように押すと、ジュニョンがひっ息を飲んでから声を上げた。
宿舎の部屋にこんな声が響いて良いのか、という位の声が。

「ねえ……もう指やだ、早くめちゃくちゃにしてよ」

貴方が望むなら。

ドンジュンは指を引き抜いて、ジュニョンの脚を広げさせ、ジュニョンの顔を見ながら固くなっていた自分の性器を押し込んだ。
ジュニョンが首を振ってやり過ごそうとする瞬間すら逃さないように、途中まで入ると無理矢理押し込んで其の反動で近付いた胸の上でキスをする。
唇を合わせたまま腰を振ると、ジュニョンが時折顔を背けて短く息をする。

めちゃくちゃにしてやるよ。
体の中の何もかも全部、出せるように。

強く抱くと、腕の中で熱のかたまりのようになったジュニョンが喘ぐ。其の声に煽られて余計に腰の動きを速くしたりゆっくりにしたりして、蹂躙する。
「もっと」と言われなくても激しくしたし、もっとと言われればドンジュンの体温も1、2度上昇するくらいに抱いた。
「凄い、気持ち良い……風邪引くのも、たまにはいいね……」
リーダーらしからぬことを口走ったジュニョンに、罰のように焦らしてみる。
けれどドンジュンも内心、此処まで乱れるジュニョンが見られるのなら、何度でも惹いて欲しいと思ってしまったことを反省する。

熱を分け合って。
熱を放ち合った。

==================

「——なんで?」
部屋に戻るとクァンヒのベッドにジュニョンが寝転がっていて、クァンヒは頭をかしげた。
「…………。」
シワンは其れを見てから、ジュニョンのベッドを見やった。
気持ちが悪いほど整えられているジュニョンのベッド。そして、一番下に敷かれている筈のシーツが無いことに気付く。
「あ、シワン!俺とジュニョンはそういう関係じゃないからね!」
「……知ってるよ」
十分承知さ。

==================

「全自動だからって適当に突っ込んでおくのやめてくれよな……」
メンバー全員分の洗濯物を処理してしまおうとしたケビンは、使おうとした洗濯機に真っ白なシーツが丸まっていたのを発見した。

見てはいけないものを見てしまった気になる。

せめてピックアップしてくれよ。
はあ、と溜め息をついたところをヒョンシクに発見された。

「あの……ヒョン、大丈夫?俺、当番変わろうか?何かしんどそう」
「あ、大丈夫大丈夫」
可愛い弟に心配をかけてはいけない。ヒョンシクは優しい子だなあ、と自分よりも高い位置にある頭を撫でると、へへへ、とヒョンシクが笑った。

==================

「へぶしっ」
「うわっ、汚ねっ」
盛大なくしゃみが出た。近くに居たミヌが其の声に驚いて、iPadから顔を離す。
ドンジュンは、鼻をすすった。
「……何。今度はドンジュンが風邪なの」
「……かも」
呆れた、と表情を作り、ミヌはすぐにiPadの液晶画面へ視線を戻した。

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また噛み付かれたな——。

ジュニョンは姿見と合わせ鏡にした手鏡の方を覗き込み、左手で抑えた後頭部の髪の下のうなじを見つめた。
交尾の最後に雌の首に噛み付く雪豹のように、ドンジュンは絶頂が近くなると、ジュニョンの首に歯を立てる。そして声を発しながら歯形を残して行く。
残された痕が消えた頃、また新しい痕が付けられる。
体の中へ打たれた杭は抜けても、心に杭を、首筋に痕を残される。

==================

一度体を重ねた日から、癖になったようにドンジュンはジュニョンを抱いた。
遠征先のホテルで。
宿舎で。
そのたびに、彼は何処か違う場所を見ていた。
其の瞳の住人が、自分ではないことを、もうずっと前から知っていた気がする。
実感したくなくて、後ろから貫いて、追い上げて、一方的な行為に没頭した。
ただ腰を振り続けて、このまま首をへし折って殺したいくらい愛しているんだと伝えるように、首に食らい付いた。

ヒョン、ごめんなさい。
こんな愛し方しか出来ない俺は、神様の欠陥品なんだと思う。

==================

ジュニョンが宿泊先のベッドに潜っていると、隣のベッドに寝ていたはずのドンジュンがベッドを下りたのが分かった。
またか——とジュニョンは思う。
何となく予想していたけれど、今日はしないのかな、と思っていた。

熱い体を体で確かめる。
最初は横向きの体を正面から抱き締められ、「しよ」と耳朶を舐められながら誘われた。

目を閉じて、ドンジュンはジュニョンの唇にくちづけた。そのまま舌を絡ませて、ベッドに潜っていたジュニョンを覆うシーツを剥がしながら、彼の部屋着の中に手を這わせる。性急に、左右の乳首をつまみ上げる。
「あ…」
ジュニョンが短く声を発し、感じたサインを伝える。
「めちゃくちゃにしてもいい?」
其の言葉に、ジュニョンの表情が変わった。
——普段だって、めちゃくちゃにされているのに。
「嫌だ……」
「拒否権なんて、無いよ」
腹筋の上の血管に舌を当てて舐めると、ドンジュンは暗闇の中でにこりと笑った。
最初から拒否権も抵抗権も無い、此の関係。
無言の圧力。

「手出して」
両手をさっと握られ、前へ出される。指は丸められて拳の形になり、左右の手首が一括りにされてドンジュンの左手に掴まれる。そこに、ドンジュンは隠し持っていたネクタイを巻き付け、縛り上げた。
「ソフトSMか」
自嘲気味に、けれど余裕を見せるようにジュニョンが笑うと「ソフトじゃないかもよ」と縛り上げたネクタイの端を引っ張られる。手首ごとドンジュンの方に倒れ込み、体のバランスを崩した。それと同時に、ドンジュンの右手がジュニョンの中心を強く掴んだのでジュニョンは大声を上げた。
「感じてるんだ。変態」
大きさを確かめるように扱いて、ジュニョンの耳許で囁く。そのまま首筋を甘噛みして、ドンジュンはジュニョンの背中に馬乗りになった。

ドンジュンとの行為は、大体後ろから、が多い。
それはジュニョンが後ろからの方が凄く乱れることを知っているから。本当に雪豹の交尾のようになる。言葉も無く獣の身体が二つ重なり、果てるまでの短い時間。愛も、生殖本能も無い。ただの欲情のみが存在する空間と時間の三次元。

脇腹をなぞり、背骨が腰骨になっていく部分の後ろの肌に口付けると、ドンジュンは自分の右手の掌に舌をあてそのまま音を立てて自分の指に唾液を絡めた。
肩越しに、これから何をされるのかがジュニョンにも伝わる。そしてジュニョンは、自分の性器にまた血流が流入するのが分かる。体の一部を拘束されていると、いつもシーツを掴んで誤摩化していた官能から逃れる術が無くて不安になる。
ズッと体の奥に異物感があって、指が挿入されたのが分かる。
「入れるよ」とも無しに一本ねじ込まれる。ゆっくりとではなく寧ろ性急に。合わない鍵を鍵穴に入れられているようだった。
「痛い……」
言っても、何の抵抗にもならない。無理矢理に二本目を入れられて、其の後に三本目。
体の奥でばらばらに指を動かされ、無い筈の隙間を開けられる。ジュニョンはシーツに額を付け、何度も角度を変えながら痛みと異物感、そして其れ以上の快感に耐えた。何度もめまいがし、意識が飛びそうになる。顔が熱く、全身も高熱を持ったようにだるく、熱い。

ドンジュンはジュニョンの体温を確認して満足そうに口角を上げると、指を引き抜き、一気に自分の性器を当ててねじ込んだ。
「——あ!」
ジュニョンが大きな声で叫ぶと、煩いと口を左手で塞いだ。
彼の吐く熱い息を左手に感じながら、何度も突き上げる。
「ん、うん……ん」
息ができず、無理矢理に抑止され声を上げられないジュニョンが、普段よりも数倍くぐもった声で喘ぐ。
リズムに合わせて汗が飛び散る。お互いの声と吐息が漏れる。
彼の赤い髪や肌に浮かぶ汗が見えて物凄く興奮する。
ドンジュンが押さえていた左手が外されると、ジュニョンはベッドに肘を付き項垂れた。その髪から覗くうなじに、ドンジュンが今度は歯を当てる。
ジュニョンは意外にも性急なその行為に驚いた。
歯を当てるのは、限界が近い合図。
「これ、ほどいて……」
ジュニョンが後ろを向いて肩越しに懇願した。
「ダメ」
後ろから今度は縛られた手首に手を重ねられ、背中にドンジュンの肌をぴったりと寄せられる。隙間が無い位繋がっている感覚になる。そして無理矢理にまた奥にドンジュンの芯をねじ込まれれば、感じてしまう。
「ん……ああっ…っはあ」
探し当てられた一番乱れる箇所を突かれれば、涙がにじんで喘ぎ声が抑えられなくなる。それを聞いた彼の芯がまた膨らんで、もう限界だった。

無理矢理腰を何度も打ち付けられ、部屋に肌のぶつかり合う音が響く。ジュニョンは後ろから抱かれる屈辱感を越えた快感に身を捩った。
「ドンジュ……激し…すぎ…」
ジュニョンは何度も頭を振って、快感をやり過ごそうとする。それでも、生理的な反応には抗えず、ガクガクと腰を振ってしまう。
最後にドンジュンが一瞬短く叫びながらジュニョンの首筋に噛み付いた。
一筋の涙が、ジュニョンの頬をつたった。

==================

ごめんなさい。
こんな愛し方しかできなくて。

ドンジュンは気絶したジュニョンの体を丁寧に拭い、手首に付いてしまった痕にキスをして、シーツをかけた。
熱いシャワーを浴びて汗と体液を流すと、ベッドから離れた机に座って肘を付いた。
最初は嫉妬からで、其れが嫉妬だということすら気付かなかった。体が欲しくて、体を繋いだ。手に入れた感触はもう意味が無くて、ただ空虚なまま隙間を埋める為だけに何度も抱いた。
でも、本当はただ純粋に愛したかったのに。

——二人、戻れない場所まで来てしまった。

==================

そのまま机で眠っていたらしい。
気が付くと、シーツがかけられていた。
目を擦りながら周囲をきょろきょろすると、真っ赤な手首が見え、自分の身体が包み込まれる感触があった。

気が付くとジュニョンに抱き締められていた。

「ドンジュン」
掠れた声で名前を呼ばれる。
「ドンジュン」
もう一度、呼ばれる。
「ジュニョンヒョン……」
自分が相手の名前を呼んだ瞬間、鼻の奥が痛くなり、涙腺が緩んだ。
「ごめんなさい……」
「ううん、俺も煽って悪かった……」
後に続く言葉が怖い。ドンジュンの目からは涙が出た。
「悪いのは、俺の方。酷く、して、ごめん」
回された手首を持ち上げると、くっきりと赤い痕が付いていて、ゆうべの出来事を想起させた。その傷痕をなぞると、ジュニョンが少し動いた。
「こんなこと……今更何も通じないかもしれないけど……」
信じて欲しいから、ひと呼吸置いて目を見つめて言った。

「ヒョンのことが、好きだ……」

今まで何度も体を重ねて来たのに、伝えなかった想い。
体でも、唇でも語っていたけれど、音声では言わなかったこと。好きだということ。
「うん……」
「好きなんだ……」
「うん……」
ジュニョンは後ろから抱き締める腕に力を込めた。
頬を、ドンジュンの頭に擦り付けた。其れは、野生の肉食獣の母親が、子供にそうして戯れるように。
「順番が、逆……だけど、俺、ヒョンが好き……愛してる……」
目に溜まった涙が溢れ出すのを止めようともせず、そのままドンジュンが呟いたのを見て、ジュニョンは胸の奥に甘い痛みを感じた。



「うん……俺も、愛してる……」



共犯の毒。その毒は狂おしくなるくらいに、美味。

ジュニョンは、ドンジュンの首筋に噛み付いて、揃いの痕を付けた。

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Profile
HN:
はまうず美恵
HP:
性別:
女性
職業:
吟遊詩人
趣味:
アート
自己紹介:
ハミエことはまうず美恵です。

当Blogは恋愛小説家はまうず美恵の小説中心サイトです。
某帝国の二次創作同人を取り扱っています。

女性向け表現を含むサイトですので、興味のない方意味のわからない方は入室をご遠慮下さい。

尚、二次創作に関しては各関係者をはじめ実在する国家、人物、団体、歴史、宗教等とは一切関係ありません。
また 、これら侮辱する意図もありません。
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