<パラサイト中年>「自立の余裕なく」 頼りは親の年金
毎日新聞 5月2日(水)14時34分配信
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社会人1年生時点で非正規雇用だった人が02年から10年の間に結婚した割合(正規雇用との比較) |
【パラサイト中年】300万人に 失業率は世代平均の倍――データを詳しく知る
札幌市清田区で両親と同居する男性(41)は、2年前に失業して以来パソコンでハローワークの求人を確認するのが朝の日課だ。
「どうだった?」「今日も芳しくないよ」。母(69)に返す言葉はいつも力ない。
大学卒業後の95年、ソフトウエア開発会社に正社員として就職した。月100時間を超える残業や休日出勤をこなしたが、月収は約20万円。待遇に不満を感じ5年で退職した。
だが、正社員が当たり前の時代は終わっていた。経済成長は頭打ちとなり、企業は雇用調整が容易な非正規雇用を増やしていく。非正規(学生アルバイト含む)は95年の20.9%から10年には34.4%に増えた(総務省労働力調査)。
男性は同じ業界で再起を目指したが、なかなかレールに乗れず、大幅な賃下げ、過労による休職、リーマン・ショック(08年)後の派遣切りと、非正規雇用の憂き目にあった。
「仕事が安定しないうえに忙しく、結婚や自立を考える余裕がなかった。気が付くと40歳を越えていた」。失業前の貯金150万円は底をつき、生活費は両親の年金が頼り。「親が今倒れたら」と思うと不安が募る。
厚生労働省に「21世紀成年者縦断」という調査がある。02年に20〜34歳だった男女のその後を追跡するもので、社会に出て最初の雇用が非正規だった人の8年後(28〜42歳)の結婚率を見ると、男性40.5%、女性は59.4%。正規雇用者に比べそれぞれ26.2ポイント、15.3ポイント低く、雇用形態による「結婚格差」が一目瞭然だ。
第一生命経済研究所の松田茂樹・主席研究員は「企業が低コストの労働者を必要とした結果、産業や社会保障の担い手が経済的に追い詰められ、家族というセーフティーネットも持てなくなった。取り残された未婚者を救わなければ貧困層が増え、社会不安につながりかねない」と話す。
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最終更新:5月2日(水)17時40分
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