決算書を見た税理士でコンサルティングアルファ代表の北田朝雪氏が言う。
「まず気になるのが、『今後の返済計画』です。'13年9月に48億6000万円の返済が必要だが、BS(バランスシート=貸借対照表)では現金預金の残高は50億円ちょっとしかない。業績の大幅改善がなければ、借金を返すために借金を重ねる、という自転車操業を迫られる可能性があります」
大手都銀のベテラン行員もこう分析する。
「BSを見る限り、不動産や投資有価証券もそれほど残っていない。借り換えが前提の返済計画となると、事業の健全性を疑われても仕方がないでしょう」
しかも上期だけで15億円余りの赤字だから、今年3月期決算も30億円前後の大赤字になる公算が高い。こうなると、虎の子の現金がまた減っていくことになる。
吉本元社長からの苦言
さらに前出の北田氏はBSの固定資産のなかにある「繰延税金資産 約51億円」に着目する。
「繰延税金資産は『将来黒字化する』ことを条件に資産計上できる、いわば『幻の資産』です。最近ではソニーでも話題になりましたが、赤字決算が続くと、これを取り崩さなければならなくなる。そうすると、現在約156億円ある純資産が、約105億円に目減りすることになるんです。
もちろん、近い将来、黒字に転換するなら問題はない。ただ、中間決算書には具体的な事業計画が何も書かれておらず、これでは先行きの見通しが立たない。上場企業だったらこの計上は許されないでしょう」
吉本興業は'09年、TOB(株式公開買い付け=市場外で株主から株を買い集めること)によって非上場会社に生まれ変わった。
「長期的ビジョンの経営を実現するため」
というのがそのタテマエだったが、市場関係者からは「大株主だった創業家の影響力を排除するため」だと見られている。
TOBは市場価格より高値で株を買い集めるため、当然、その差額がのしかかることになる。それが「のれん」と呼ばれるものだ。
「のれんの償却にこの上期も約20億円かかっている。どうやら市場価格に100億円ほど上乗せしてTOBしているようです。果たしてそれほどの代償を払ってまで上場廃止するメリットがあったのか、疑問です」(前出のベテラン銀行員)
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