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食品の放射能 新規制値による風評被害防げ(4月21日付・読売社説)
懸念された通り、過度の規制がかえって不安と混乱を招いている。
食品中の放射性セシウムに関し、政府が今月1日から導入した新規制値のことだ。各地で農水産物の出荷停止が相次いでいる。
厚生労働省の集計によれば、タケノコ、ウナギなど新規制値を超過した農水産物は、すでに150件を超えた。
生産地では、風評被害を助長すると、心配する声が出ている。政府が引き起こした混乱だ。沈静化に全力を挙げねばならない。
東京電力福島第一原子力発電所の事故後に設けられた暫定規制値は、野菜や魚に含まれる放射性セシウムが1キロ・グラムあたり500ベクレルを超えないよう求めていた。今月からの新規制値は、これを5分の1の100ベクレルに引き下げた。
出荷停止とされた農水産物の大半は、100ベクレルをわずかに超えた程度だ。暫定規制値を、はるかに下回る。問題はない水準だ。
暫定規制値でも、国際的には最も厳しい基準だった。厚労省から規制強化案を諮問された文部科学省の放射線審議会は、すでに安全は十分確保されている、と強化に疑問を呈し、被曝(ひばく)リスクの低減効果も薄い、と指摘していた。
それでも厚労省は、「消費者の安心確保のため」として導入に踏み切った。その結果、生産地の苦悩は増したことになる。農林水産省も、生産者に大きな影響はないとしてきたが、それが見込み違いだったことは明らかだ。
とりわけ、大打撃を被っているのが、原木を使って栽培するシイタケだ。新規制値をわずかに超過するケースが続出している。原木を取り換えるしかないが、現状では十分な量を確保できない。
農水省は、積極的に生産者を支援すべきだろう。
生産地や、小売り・流通業界には、さらに厳しい自主基準を競う動きも広がっている。100ベクレルの半分、4分の1、中にはゼロを掲げるところもある。
だが、もともと食品には、セシウム以外に自然の放射能が含まれている。例えば昆布は1キロ・グラムあたり2000ベクレル、干しシイタケは同700ベクレル、生ワカメは同200ベクレルだ。「ゼロ」を売り文句にした販売競争は、消費者をますます混乱させることにならないか。
結局、生産地の負担は増すばかりだ。東日本大震災からの復興の足かせにもなりかねない。
政府は、すでに十分安全な食品が流通していることを、きちんと国民に説明していくべきだ。
(2012年4月21日 読売新聞)
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