金第1書記:6幹部の粛清取り消し 正日体制の判断覆す
毎日新聞 2012年05月02日 02時30分(最終更新 05月02日 02時33分)
北朝鮮の指導者、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が今年2月、先代の金正日(キム・ジョンイル)総書記時代に粛清された国家機関の幹部らの粛清の是非を捜査機関に再調査させ、その結果、少なくとも6人について「粛清の理由が見当たらない」として処分を取り消していたことが分かった。朝鮮労働党指導部に近い複数の関係者が毎日新聞に明らかにした。金第1書記は「慈愛」を前面に出した施策を進めており、求心力アップを図るのが狙いとみられる。ただ、側近らに対する締め付けや中朝国境での取り締まりは続けており、硬軟両面による統治の実態が浮き彫りになった。
関係者の話を総合すると、金総書記存命中に、国内の治安維持にあたる人民保安省の第1副局長がスパイ罪で告発され、銃殺刑が確定した。総書記の死去後、副局長が上司に反省文を提出し、自らのスパイ容疑を改めて否定する一方、「自分もかつて罪のない人民を摘発してきた。確かに自分にも罪はある。銃殺刑が相当である」と告白した。