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当Blogは恋愛小説家はまうず美恵の小説中心サイトです。
セックスが終わって、煙草に火を付けたジュニョンをヒョンシクは見た。
照明を落とした部屋で、いやに炎の色が鮮明。其れをベッドに寝そべったまま見る。煙草を銜える瞬間に舌先が少し見えて、先ほどまでの行為を思い出させる。
「頂戴」
枕に顎を載せたまま、手を持ち上げて彼の口許に触れようとすると、追い払うようにジュニョンの左手が持ち上げた腕に当てられた。
「舞台あるからって、やめてたろ」
「今日だけ」
「喉に悪い」
「其の言葉、そっくりお返しするよ」
ぴっと煙草を奪い取って、自分の口に宛てる。ゆっくりと息を吸い込んで、煙が肺に染み込んで行く感覚を味わう。それは、ヒョンシクにとって久しぶりの感覚だった。

練習生の頃、ミヌと連れ立って、屋上で煙草を吸いながら練習をサボる二人が気になっていた。或る日、二人を呼び戻しに行ったときに、煙草の先端の火の付いた部分を二つくっつけたままキスをしている二人を見て、其れが物凄く綺麗で、けれど嫉妬してしまった。
除け者にされていることが嫌だった。
教えろとせがんだ。
ジュニョンは、教えてくれた。
煙草も、セックスも。

手持ち無沙汰になったジュニョンは、慣れた手つきでヒョンシクの髪を撫でた。てっぺん、後頭部を撫で、たまに髪をやんわりと掴んでは離す。
「昔は可愛かったのになあ」
耳の形を確かめるように触れて、煙草を取り戻す為に手がヒョンシクの口許へ伸びた。
「今は?今は違う?」
ジュニョンの体と反対方向の手で煙草を持ちあげ、見つめた。
暖色系の部屋灯りの中で見つめ合う。男らしく鍛えられた胸と肩の上に、整った顔があって、その真ん中にある瞳がヒョンシクを見ている。
「さあ、どうかな」
ジュニョンが身を屈めてヒョンシクの小さな頭を抱え込み、前髪の生え際のあたりの頭にキスをした。
と同時に、指を絡められて、灰が落ちそうになっていた煙草を奪い返された。
ジュニョンは一度灰皿の縁に煙草を置いて、取り戻した吸いかけから煙を吸い込んだ。
「可愛くないんだ」
一通りの所作を見ながら、ヒョンシクが呟くと、煙草を置いたジュニョンがいきなりヒョンシクの背中を人差し指だけでなぞった。
「あっ」
「可愛いよ」
背骨をたどるように尾てい骨の後ろから肩の方へ這わされた指。ヒョンシクの顔を覗き込み反応を窺いながらの触れ方にまた気持ちは持って行かれてしまう。

ヒョンシクはまるで愛玩動物のようだと思う。
閉じ込めて、餌をあげて、たまに思い出したように可愛がって、自分だけにしか懐かないようにしたい。
あまり外には連れ出したくない。愛嬌があって人懐っこい気質だから、他の場所へ行ってしまわないように。
優しく、ただひたすらに優しくして繋ぎ止められたら良いのに——。

「またやるの……」
覆い被さり、重なる肌に反応する。
「やめとく?」
こんな状態にしておいて、反則だ。ヒョンシクは思う。
其の目と、其の手と、其の声と、其の躯。何もかもが、反則なのだ。

二回目だから、ちょっと遊ぼう——。
ジュニョンがそう言ってベッドを離れ、手に何かを持って来た。
目を閉じて、と言われる。
当然、ジュニョンも、何も見えなくなって瞼でほんの少しの光を感じ取るだけになる。
何をされるのかという不安とほんの少しだけの期待が混じる。
首をまず軽く両手で絞められた。くすぐったいような、でも少し怖いような感覚になる。
手の感覚が離れ、カチャン、という金属音がする。
ベルトのバックルを外すときのような音だ——とヒョンシクが聞き耳だけを立てていると、次の瞬間、首に何かを巻き付けられる音がした。

首輪だ——。

「目、開けていいよ」
言われても、ジュニョンの顔が見えるだけで、首に巻き付けられたものは見えない。けれども肌に当たる違和感があり、手で触れてみると金具の冷たい温度と、革製品に触れ居ている触感があった。首を少し動かすと、カチャカチャとした金属音が響いて、やはり首輪なのだと思う。
「付けちゃった」
努めて茶化して言われても、と思う。ジュニョンは目を細めて満足げに笑っていた。
ベッドと反対側にある鏡を見る。
其処には、大型犬用であろう首輪を付けられた自分が映っていた。
酷く倒錯的な、構図だった。
「やだよ……外してよ……」
首輪に手をかけて、いよいよヒョンシクが抵抗し外そうとしてみても、ジュニョンは笑って取り合わず、ヒョンシクの両手を掴んだ。
「似合ってるよ」
口許をだらしなく綻ばせて、喉の奥でくすくす笑う相手を恨めしく思い、ヒョンシクはジュニョンの視線から逃れるようにシーツの間に潜り込んだ。
「取っちゃダメ」
ゆっくり外そうとしていたのに、シーツを持ち上げられたとヒョンシクが思った瞬間、首輪を引かれ首ごと躯をコントロールされた。息が詰まって、一瞬鼻と喉が苦しくなる。其れは本当に、首輪でコントロールされる犬のようだった。
うなじの裏側にある首輪を持たれたままでいると、ジュニョンの顔が近付いて来て口の中に舌を入れられる。心と躯が全く別の反応を返してしまうことに、自分でも知らない欲望を暴かれているようで、余計に気分が落ち着かなくなる。そして、目の前に差し出された唇に溺れて行く。
「やっぱり嫌?」
唇を離して、かなり低い声でジュニョンは囁く。ジュニョンが耳たぶに唇を這わせている所為で、お互いの顔は見えない。
ヒョンシクは二回、素早く首を振るように頷いた。
「ミヌは凄く喜んでくれたのになあ」
其の言葉を聞いた瞬間、ヒョンシクは目を見開いた。

本当は、こんなこと、ミヌにはしたことがない。
ただ、ヒョンシクが煽られるんじゃないかってわざと言ってみただけ。
単純な対抗心と戸惑いで、乱れて行くヒョンシクが見たかっただけ。

けれども其れはやはり酷く倒錯的だった。
暫くヒョンシクの不安や恐怖を取り除くように優しい言葉をかけて、口づけていたが、徐々に自分の中の加虐性欲が煽られる。
ヒョンシクの躯を四つん這いにさせると、其の頃には然程抵抗もなくなったヒョンシクが自分の言葉に従う。
たまらなくなって首輪を引っ張って、後ろから回した腕で、ヒョンシクの胸をなぞる。胸の飾りをつねったり、引っ掻いたりする。其処から肌を重ね合わせたまま、左手でヒョンシクの前を、右手で後ろを、丁寧に攻めていく。
「ヒョン……」
酸素が足りなくなったように、ヒョンシクが荒く息をしているのが分かる。
「とろとろになってる」
「なって……ない」
「聞こえない?」
左右の手の動きを大胆にしたジュニョンが、わざと音を聞かせてみる。ローションの液体の音がする。
「あ……」
快感から逃げる躯がシーツに崩れそうになると、ジュニョンにまた強く首輪を引かれ、逃れられなくさせられる。
「首輪、便利だね」
ヒョンシクを楽にコントロール出来るから。

ジュニョンの性器が静かに侵入して来て、内部を犯す。
後ろから抱きかかえられる格好で、腰を打ち付けられると、ベッドのスプリングが激しく軋む音がした。視覚から入って来る情報が無く、部屋も少し暗い所為で音とジュニョンの動きと与えられる感覚に意識が集中する。肌に汗が滲んで、体温が上がる。

時折、首輪を引かれ、首を軽く絞められながら腰を振られる。
頭の芯がぼうっとする。
生死を天秤にかけながら、後ろから貫かれている自分を想像したら、首への絞め付けによるもの以外の、感情による恍惚感があった。
こんな趣味があったなんて——
実感したくなくても、今此の瞬間に、実感させられているのだ。

ジュニョンは、後ろからヒョンシクを抱きながら思った。
自分よりも少し背の高い躯は細く、筋肉は薄く、色白で男らしさをあまり感じない。
遊ぼうなんて言ったのは自分なのに、お互い酷くこの「遊び」に夢中になっていた。首を絞めながらの行為に夢中になって、究極の世界を知ってしまいそうになる。

ジュニョンは一度自分自身を引き抜き、ヒョンシクの首輪を外し、ベッドの下に放り投げた。
曝された首筋には細い線がいくつか付いていた。
その筋にそっと舌を這わせて囁く。
「ごめんね」

ヒョンシクがジュニョンの腕の舌で躯を引っくり返して首に腕を回した。
振り返って見たジュニョンの顔には、気まずそうな表情が浮かんでいたから

「大丈夫。ヒョンになら、何をされてもいいよ」

と抱き締めた。

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