茶道裏千家の千玄室大宗匠は1979年11月、代表団を率いて中国を訪問し、鄧小平副主席に会見して献茶した。その時、鄧小平副主席は、「裏千家茶道がこれから中日友好の架け橋になるよう期待している」と述べ、裏千家と中国との交流はこの時から始まった。
その後、裏千家の前家元である千玄室大宗匠と現在の第16代家元の千宗室坐忘斎宗匠が中国を訪問し、江沢民主席や胡錦涛主席など多くの中国の指導者と会見している。
1、大学生に親しまれている茶道
中国の北京外国語大学、北京仏学院、南開大学、大連外国語学院など多くの大学には茶室が設けられており、学部や修士課程の学生の選択または必修科目になっている。
北京で茶道を指導している裏千家の坂井晴美さんによると、茶道に興味を持つ学生はどんどん多くなっており、茶道関係の内容を卒論のテーマに選ぶ学生も増えてきたという。茶道は場所が限られるため、授業に参加する学生数も限定される。そして長い期間待っても授業を受けられない学生が現れたことから、クラブ活動という形で、学生たちが参加できるお茶の会が開催されるようになった。
1994年9月には「天津商学院裏千家茶道短期大学」が発足し、中国語に興味を持つ日本人向けの「中日文化」と、中国人の学生を対象とする「日本料理」の2つの学科が設けられた。そしてこの学校で学んだ学生たちは、中日両国の経済や文化の各分野で活躍している。
2、中国で頻繁に行われる茶道の交流会
日本大使館と裏千家が主催する毎月の定例お茶の会は、多くの人が近い距離で茶道を体験できる場で、参加者は大学生、研究員、外資系企業の人たちが多い。茶道の歴史や特徴、具体的な作法が紹介され、抹茶とお菓子を楽しめ、自分でお茶を立てることもできるようになっている。
定期的に開催されるお茶の会のほかにも、大規模なお茶の会もある。2006年6月には裏千家の100回目となる訪中団350人が北京の人民大会堂で盛大な茶会を開催し、2008年3月の「中日青少年友好交流年」開幕式でも茶道が披露され、胡錦涛主席も出席してお茶を楽しんだ。
3、抹茶とお菓子は日本から直送
裏千家の北京駐在員によると、中国ではまだ日本の茶室が少なく、北京では中日青年交流センターと北京外国語大学など数カ所しかないため、人民大会堂や大学、学術機関で茶会をする時は、畳や屏風などで仮の茶室を作り、棚や釜を並べることが多いという。また茶道用の抹茶は中国では売っていないため日本から直送され、お菓子も日本から郵送されるか駐在員の奥さんたちが手作りするのだそうだ。
4、茶道初心者の感想は?
今回のお茶の交流会では、初心者の人たちから、紅茶やジャスミンティーではお茶をたててることができるのか、泡の多さはそのお茶の優劣を判断する基準なのか、茶碗の正面はどうやって分かるのかという質問が出された。
大学生の李さんは茶道に参加した感想について、「アニメには畳がよく出てきますが、実際に体験できてよかったです。お茶は苦いと聞いていましたが、思ったほど苦くなかったです」と茶道に新鮮な感じを受けたと話す。またある若い女性はこう洩らす。「静かでした。現代のパーティのように歌や踊りがあるわけではないのですね。でもお茶を飲むだけで、こんなに様々な動きがあるのは大変だと思いました」
「チャイナネット」2009年1月22日