特に自営業者は、銀行融資に比べ金利が高いノンバンクの資金に依存しており、家計の負債問題を悪化させる要因となっている。数年前に中小企業を退職したPさん(56)は、印刷会社を設立したが、資金難にあえいだ。事業資金の不足分をカードローンで埋め合わせたが、返済ができなくなり、個人再生手続きを申請した。
零細自営業者が増えている理由は、ベビーブーム世代が定年退職した後、再就職できず、起業するケースが増えているからだ。ベビーブーム世代に当たる1955-64年生まれの人は900万人に達する。一部シンクタンクのトップは「月収100万ウォン(約7万円)に満たない零細自営業者や自営業者として登録していながら、実際には休業中の人も就業者に分類されるため、韓国の失業率は実際より低い数値で発表されている」と指摘した。
■業種の分散と再就職の促進を
専門家は、自営業者の問題を一気に解決する妙案はないが、定年退職者に再就職の機会を提供する一方で、起業業種を分散させれば、問題を緩和させることができるとアドバイスする。
サムスン経済研究所は今年2月、自営業者の問題を解決するためには、保健医療、社会福祉、教育、文化芸術、環境など社会サービス業の従事者を増やすべきだとの意見を示した。
フランスでは、1990年代に社会サービス業に対する教育プログラムを拡充し、資格制度を創設した結果、同分野の雇用が毎年6%のペースで伸びたケースがある。
農村に付加価値が高い働き口を創出し、帰農人口を増やすことも選択肢だ。サムスン経済研究所のキム・ソンビン首席研究員は「既存の農作物栽培型の農業ではなく、花を栽培し、インテリアやファッション美容事業を展開するなど、農業とサービスを融合させ、有望業種を開発する必要がある」との意見だ。
英国の一部地方自治体は、高齢者を対象にIT教育を行い、地域社会での再就職の機会を提供する「リブート事業」を展開している。
権院長は「自営業者が特定分野に集中しないような政策を講じただけでも、自営業者の危機を大幅に軽減できる」と述べた。あるシンクタンクのトップは「零細自営業者の家庭が一度に破綻しないよう、自営業者向けに融資を行う際の担保から住宅を除き、事業所に限定すべきだ」と提言した。