night garden > reboot
by Kenny Seed





 BUCKMASTER である。
 いわずと知れた米国BUCK社の名作。「本当に」米国海軍に正式採用されていた(NAVY SEALSかどうかはともかく)ナイフでもある。
 いわゆる「正統派サバイバルナイフ」であり、小物入れ兼用のパイプハンドルを備えたモデルである。
 ハンドルの後端のキャップを捻って外すとハンドルの中が空洞になっており、小物が入るようになっている。
 救急用品やマッチなど「いざという時のサバイバルキット」を入れるのだという。

 こういうパイプハンドルの「いわゆるサバイバルナイフ」にありがちなのが「ナタの様な使い方をしていたら刃がハンドルから分離してすっとんだ」という話。そこまで行かなくても刃の固定がガタガタになり使いものにならなくなったという話は枚挙に暇がない。
 ところが。このバックマスターはそれら「サバイバルナイフ」と同じ構造でありがなら、ガタが出たという話すら聞かない。GERBER BMF、LMFと並び数少ない「実用サバイバルナイフ」の評価を得ているモデルである。
 GERBER BMFらはパイプハンドル構造を捨てナロータングになっているので実用強度を持っているのはいわば当然なのだが。
 実物を見るまでは「クリスリーブと同じくインテグラル構造(刃とハンドルが一体の削り出し)になっているのでは?」と思っていたが、実物を手にした機会に確かめたら、ナット+エポキシ接着剤でハンドルとブレードを固定した構造的には普通のパイプハンドルだった。

 質が良かっただけに高かった。日本での発売当初確か5万円以上はした。
 当時中学生だった自分にはとても買えたものではなかった。
 米国でも当時250ドルはしたという。高校生のときに米国にいく機会があり、250ドル=約3万円なら買えなくもないと、それなりに懸命に探したがついに見つけることはできなかった。

 そうこうするうちにモデルチェンジして刃に軽量化のためだろうか、大きな彫文字で「BUCKMASTER」と刻印が入り、そのあまりの自己主張の強さに辟易というか、買う気が薄れてしまった。
 そうこうするうちに生産終了。買える頃には買えなくなってしまった。
 その後、GERBER LMFは25,000円ほどで買える機会があってすかさず買ったのだが、バックマスターは「憧れのナイフ」で終わってしまった。

 そう、長々と BUCKMASTERについて書いたが、自分は持っていない、のである・・・


 ところが。
 少し前、日本製バックマスターのコピー品のデッドストックを売っているのを某所で見つけてしまった。
 おそらく造られて15年ほど経っているのだろうか?画像でみる限り、それほど悪いものでもなく見える・・・・・・
 アウトレットなので、お値段は安い。
 一晩考えて買ってしまった。
 届いてチェックして感動してしまった。
 あちこちお粗末な仕上げのところは目立つが、姿形は紛れもないバックマスター。

 バックマスターのトレードマークである「アンカー」も完備。
 何に使うのかイマイチ意味不明なアンカー。(文字どおり登攀時の投げアンカーにするというのだが・・・・???)
 でも、
 アンカーをヒルトにねじ込んでグリップを握るとどこででも生きていけそうな気がしてくる。
 これぞ「正統派サバイバルナイフ」(笑)

 確かにあれこれアラは目立つ。
 刃の削り方が右と左で違う。刃の「筋」が右に寄っている。今の刃物のレベルで言えば、とても商品にはならないだろう。
 だから「アウトレット」として残っていたのだろうか?
 刃の背のセレーション、「鋸刃」もごりごり削りぱなしのようなガタガタ。飾りとしてもちょっと・・・・。

(ここで一言。
 サバイバルナイフのセレーションを「ノコギリのように使って木などを切る」と思っている人がすごく多いが、実は違う。
 もちろん「ノコギリ」のように使ってもいいのだけど。
 金属板等を切り開く時、「ガンッ」と刃を打ち込んだ後、このセレーションを「引っ掛け」にしてテコの要領で缶切りのように切り進んでいくのだ。サバイバルナイフ、というものの元々の定義は爆撃機や戦闘機が不時着した時のクルーの脱出用ナイフ。名実とも「缶切りナイフ」なのだ。
 もっとも、大抵の「いわゆるサバイバルナイフ」のセレーションは「飾り」。とても大事な飾り。
 バックマスターにしてもこのセレーションが無ければ、魅力半減である(笑))

 だが、転んでも「日本製」。
 各部のラインは直線や曲線がきちっと出ているし、サンドブラスト仕上げも丁寧。見ていて触っていてがっかりする事はない。
 なんというか、好感が持てるのだな。

 初めはコピー用紙も切れないほどとても鈍角に刃が付いていたのだが(野外で荒く使うのならそれでもいい)、砥ぎなおすついでにやや鋭角に刃を付けなおしたら、結構よく切れるようになった。普通に包丁がわりに料理に使える。重いけど(笑)
 刃材は「440c」だそうだが、本当かもしれない。きちんとした刃材をきちんと熱処理しているのは分かる。
 素性のいい刃物は、やっぱり使っているうちに気に入って来る。

 問題の「パイプハンドル」についても、構造や造り方は、オリジナルを忠実に真似ているらしいのがわかる。分解して比べた訳じゃないので確証はないが。
 これなら強度的にもけっこうオリジナルに肉薄してるんじゃないか・・・・と思う。
 まだ野外で使った事はないので何ともいえないが。


 ただ、付属のシース(皮ケース)は良くなかった。
 ベルトループが非常にルーズフィットでぶらぶらしそう。皮質も何となく柔らかそうで不安。もっとも柔らかいのは造られてから時間が経っているからかもしれない。
 少し見て使うのに不安のあるシースだと分かったので、一度もナイフを入れないまま置いておいたら、紛失してしまった。

 この手のナイフ、シースが無いと事実上、使えない。
 ボール紙とガムテープで間に合わせた「仮鞘」のまま、お台所ナイフとなってしまうのか、パチモン・バックマスター・・・

 まあ、シースが無いのは可哀想だし、機会があれば野外でも使ってみたいし、いろいろ探してみると格安でカイデックスのシースをつくってくれる所が見つかった。

 よっしゃ、オーダーするか!

 ということで、続く。

(余談;
 数日前「良くない皮シース」を発見。やっぱりあまり良くない。丁寧に造ってはあるのだけど。あえて写真で晒すような事はしません(笑))


コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )


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コメント
 
 
 
バックマスターか・・・ (元自)
2010-04-17 21:43:07
あら、懐かしい・・・
おいらバックマスターが話題だった当時「コマーシャルモデル」などと言う物を買いました。
一応、バック社の刻印と425Mステンレスの刻印は入っていましたが、本物かは不明。
今でも裏庭の物置の隅にでも転がっているんじゃないかな?
 
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