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石川智晶による『この世界を誰にも語らせないように』全曲解説
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石川智晶による『この世界を誰にも語らせないように』全曲解説
全曲 作詞・作曲:石川智晶 編曲:西田マサラ
①TW (「もう何も怖くない、怖くはない」C/W)
ガンダムの歌は基本前向き姿勢なんですけど、カップリングだったので、真逆なことを言おうと思って書いた内面的な歌です。「イヤならパイロットを降りろ」と、その勇気は闘うことよりももっと勇気がいること。何を健全ととらえるかは人によって違うところですけどね。
②The Giving Tree(PSPゲーム『幻想水滸伝 紡がれし百年の時』主題歌)
水滸伝シリーズは17年続いていますが、テーマソングがないということで、テーマ性のあるものを作って欲しいという話でした。「生きることを必要以上学ばなくてもいい」という言葉がひらめいたらパッと作れました。悩みながら闘っているキャラクターに向けた詞ですが、情報量が多いことが発想力を奪っていたりする、現代にも通じるところがあると思って。ティン・ホイッスルを使ったファンタジックな曲で、詞も音もバランスよく作れたと思っています。
③My book
ジャケット写真を撮影した後に最後に作った歌で、静かで文学的な曲です。「さみしい」ということを「置き去りにした雨の自転車」と表現したら、また違うものが生まれる。私はこういうふうに歌を作っているというのを綴った歌詞です。
④不完全燃焼(TVアニメ『神様ドォルズ』OPテーマ)
原作者のやまむら(はじめ)先生をはじめ、スタッフも私のテンションの高さに驚いたという作品(笑)。主人公の匡平とライバルの阿幾は表裏一体だと思うんです。心の中に潜んでいる黒いモノが「おまえ、本当はそうなんだろ?」と言っているドSな感じ。この歌を作ったことで、私の幅が広がった気がしています。
⑤アンインストール~僕が最後のパイロットRemix~
「原曲の方がいい」って言われたら、それはそうだよって(笑)。それはわかっていてあえて原曲を壊して遊び心のある刺激的なものに、意味を持たせない感じに仕上げました。石川智晶の名刺代わりとなっている歌、私の中でこの歌に対して一区切りをつけておきたかったんです。
⑥スイッチが入ったら(TVアニメ『神様ドォルズ』EDテーマ)
アニメの岸(誠二)監督から「先にエンディング曲を作って欲しい、テンポのあるエネルギーが残っている感じで」というオーダーがありました。詩緒ちゃん目線と俯瞰からみている目線で作った曲。自分の持っている力のすごさも知らない、無垢だからこその強さを表現しました。
⑦逆光(PS3/Wii『戦国BASARA3』EDテーマ)
「なんてあさましい奴かと~」のフレーズが肝です。人を斬ることをいいとは思っていない、でも斬らなくてはいけないという状況の時に「こんなに人を斬っちゃっていますけど、何か」って逆ギレしている感じを出したかった。血がしたたる感じのものがいいなと思ったんです。
⑧インソムニア
少年情けない系です(笑)。繊細なんだけど、大人っぽいところもある少年のアンバランスさを書きたかった。歌詞の中に妹も登場するんですけど、女のコはいろいろあっても結構たくましく生きていけるように思うんですよ。
⑨夏の庭(TVアニメ『神様ドォルズ』挿入歌)
絵もシナリオも7話だけが最初に出来上がっていて、この回だけの歌を作って欲しいという発注がありました。だから実は「スイッチ~」「夏の庭」「不完全燃焼」の順に作っていったんです。冒頭のコーラスが夏の虫の鳴き声みたいになっていたり、言葉を連呼して歌うことで風が吹いている感じを出してみたりしました。
⑩それは紛れもなく~選ばれし者のソリチュード~(for 劇団AND ENDLESS「美しの水」15th Anniversary)
舞台「戦国BASARA」などに関わっている西田(大輔)さんが主催する劇団の「美しの水」という源義経を軸にした舞台のために書いた曲です。新しいことへの挑戦でしたが、演劇は生身の人間が演じるのでアニメやゲームとは違って日々変化する。それゆえの難しさもあって勉強になりました。歌はアルバム用に録り直しました。
⑪涙腺(TVアニメ『戦国BASARA弐』挿入歌)
まつの視点で書きました。制作側から「優しく見守る感じにして下さい」と発注されたんですが、できあがった歌を聴かせたら「激しいですね」って(笑)。母性的な優しさと命がけで大切なものを守ろうとする強さ、その覚悟、激しさを描いた歌です。「こんな時代じゃなかったら~この肌を触れさせはしない」がキーワードです。
⑫もう何も怖くない、怖くはない(劇場版『機動戦士ガンダム00-A wakening of the Trailblazer-』挿入歌)
水島(精二)監督がロック好きということもあって、ロック・バラードです。監督は当初落ち着いたものを望んでいたんですが、制作過程で盛り上がるものをということになって、思ったよりも派手になりました。この歌のシーンで号泣する観客が多かったそうで、それは監督も私も予想外でした。生きるって自分で自分のことを守るしかない。言い聞かせるしかない、それを形にしました。
⑬シャーベットスノウ
子供の頃の出来事とか、傷ついた事って、大人になったら忘れるかと言ったらそんなことはなくて。「コートの中抱きしめよう」と表しましたが、自分に優しくなってもいいのかなと思うんです。時には自分を否定しないで今の自分を守ってあげる、優しい曲になりました。
Text/川崎直子
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2012/04/27 13:00:00
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