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【社会】

もんじゅ、電力浪費2万4千世帯分 

2012年4月30日 13時55分

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 夏に向けて電力が足りなくなると心配される中、発電もしないのに、膨大な電力を消費している施設がある。日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)。浪費する電力は年間8550万キロワット時と、ざっと2万4千世帯分の電力をまかなえる量だ。

 もんじゅは、原子炉で出た熱を液体ナトリウムで受け渡し、蒸気をつくる。ナトリウムは水より熱伝導性がいいが、冷めると固まってしまう。そのため、作動していないときでも、ヒーターで200度まで熱して循環させる必要がある。

 抱えるナトリウムは計1670トンで、普通の小学校のプールおよそ3つ分。これを回し続けるだけのために電力を食う。

 もんじゅに電力を供給しているのは北陸電力。北陸電力は、管内では電力需給のバランスはそれほど厳しくないが、需要が供給を上回る関西電力に電力を融通している。

 関電の見通しでは、今夏のピーク時の電力不足は毎時153万〜570万キロワットにもなる。

 もんじゅが電力を使わなくなれば、もっと融通できる。ただ、関電の不足分が大きすぎ、全てのヒーターを止めて融通に回しても不足分の0・2〜0・7%をカバーできるだけとの計算結果になった。

 もんじゅは1995年にナトリウム漏れ事故を起こして停止。2010年5月に運転再開したものの、8月には核燃料の交換装置が故障して、再び足踏みしている。

 もんじゅは、国策として進められてきた核燃料サイクルの中核的存在だが、大量の電力浪費が許されるのかどうか。国は、今夏にも存廃を判断するとみられるが、これ以上の先送りは許されない。

(中日新聞)

 

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