支持率下落が止まらない野田政権に強力な“援軍”が現れた。ゴールドマン・サックス証券が16日に発表した投資家向けリポートで、日本株に強気の見通しを打ち出し、要因の一つとして野田佳彦首相の手腕を絶賛、「小泉純一郎首相以降、どの前任者をもはるかにしのぐ実績」とまでベタ褒めし、市場関係者を驚かせているというのだ。
話題のリポートは「日本株がついに追い上げへ」と題したもので、東証1部全体の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)の目標値を引き上げた。
「世界の株式関係者の間では、日本株は今年最も投資したくない市場の一つとみなされ、評価は低い」(市場関係者)。にもかかわらず、最強の投資銀行と呼ばれるゴールドマンが日本株の上昇を予想したことは驚きをもって受け止められた。
市場関係者が驚いたのはそれだけではない。リポートでは株高要因の一つとして、日銀が14日に実施した追加金融緩和と物価上昇率の目途を1%に決めたことを《バレンタインの贈り物》に例え、《日銀の決定には政治的な意向が働いているとみられ、当社は野田政権が関与したと考えている》と分析した。
日銀の発表をきっかけに円安が進んだことについても、《投資家が野田政権の政治的洞察力ならびに影響力を再評価するきっかけになる可能性もある》と予測する。
さらに野田首相の政策には《有益なものが多い》として、消費税増税や年金制度改革、環太平洋連携協定(TPP)への取り組みを挙げ、《野田総理が過去数カ月間に小泉総理以降のどの前任者をもはるかにしのぐ実績を示してきた》と手放しで絶賛している。
具体的な銘柄としては円安恩恵関連としてニコンやブリヂストン、ソニーなど、米国輸出関連としていすゞ自動車やファナック、オリンパスなど、欧州関連としてコマツなどをピックアップしている。
なぜここまで野田首相の評価が高いのか。前出の市場関係者はこう推測する。
「一般に外資系証券は何もしない政府には批判的で、改革や停滞感払拭への期待感をもたらす政府の評価が高い。そうした意味で人気があった小泉政権と比較する形で野田政権を評価することで、欧米投資家に日本株を勧めやすくなるのではないか」
クリントン政権やブッシュ政権の主要ポストに人材を輩出しているゴールドマン。日本の民主党政権との距離感も縮まるのか。