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先進国の失業者、「1年以上」が37% ILO報告

2012/4/30 19:08
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 【ジュネーブ=藤田剛】国際労働機関(ILO)が30日発表した2012年版世界労働報告によると、先進国の失業者のうち失業期間が1年以上の「長期失業者」の割合は37%に達した。金融・経済危機前の07年に比べ7ポイント上昇し、再就職が困難になっている実態が浮き彫りになった。報告は欧州債務危機などの影響で先進国の雇用回復が遅れるとの予測も示した。

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 ILOは5月末から始まる総会で、失業者に対する安全網(セーフティーネット)の強化を検討する方針だ。

 先進国ではアイルランドやスペイン、英国、米国などで長期失業が大幅に増加。報告は「長期失業で求職への意欲を失い、労働市場から完全に退出してしまう人が増えている」と警告した。この結果、先進国では15~74歳の全人口のうち、39%が非就労者(失業者や求職断念者、専業主婦などの合計)となった。

 先進国の就業者数が金融・経済危機前の水準に回復するのは17年以降と予測。11年版報告では16年以降としていたが、欧州債務危機の拡大などを受けて1年後退させた。特に若年層が雇用調整のしわ寄せを受けており、「先進国の80%で若年失業率が上昇した」という。先進国の若年層の非就労者比率は56%で、高齢者よりも高い。

 発展途上国では長期失業者の割合は低下し、雇用情勢の回復も先進国よりは早い。しかし、アジア地域の回復が著しい一方、アフリカ地域は低迷し、地域格差が目立つ。

 政府や生活に不満を持つ人の割合などを指数化した「社会不安指数」を見ると、アフリカや中東が上昇する一方、アジアや南米は低下した。報告は「雇用情勢が改善している地域は社会不安も改善する」と分析した。

 世界全体の2012年末時点の失業者数は2億200万人で、2億人を突破する見通し。16年末までにさらに800万人増え、2億1000万人になると予測した。

 このほか、雇用情勢が悪化する中での急激な財政再建には懸念を示し、雇用創出のカギを握る中小企業への支援を増やすよう求めた。

 5月30日~6月15日にジュネーブで開かれるILO総会では、加盟各国が失業保険や生活保護などの安全網を強化し、失業者を貧困から守るよう求める勧告を採択する予定。若年層の失業問題も集中的に討議し、解決策を探る。

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