32軍壕埋める可能性 県が示唆

2012年3月13日 09時46分

 「従軍慰安婦」「住民虐殺」の文言が説明板から削除された第32軍司令部壕について、県は12日、2012年度に強度などを調査した上で、埋めることもあり得るとの考えを示した。

 下地寛環境生活部長が「年300万円かけて維持、管理しているが、陥落事故も起きており、このままではいけない。工学的に調査し、埋めることも含めて最終判断する」と述べた。県議会予算委員会で、前田政明氏(共産)への答弁。

 下地部長は「沖縄戦の指揮を執った第32軍の司令部があったという重要な価値がある」と認めつつ、安全性には懸念を示した。

 一方、「沖縄戦の歴史歪曲(わいきょく)を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」は同日夜、文言復活を求める陳情の県議会審議に備え、野党県議らと学習会を開催。講師で説明板設置検討委員の村上有慶氏は「仲井真弘多知事は『書かないのは常識』と言ったが、慰安婦や虐殺を書かなければ沖縄戦の本質は分からない」と指摘した。

 県の壕調査には、参加者から「史実だけでなく、司令部壕まで埋められ、なかったことにされてしまう」「広く公開する方法を考えなければ」などと懸念する声が上がった。

[ことば]

 第32軍司令部壕 沖縄戦を指揮した第32軍が、首里城の下に学徒や住民を動員して構築した。縦横に掘られた五つのトンネルは、総延長1キロを超える。司令官室、無線室、炊事室、トイレなどがあり、通路の両側には2、3段ベッドが並べられた。牛島満司令官をはじめ千人余が雑居していた。米軍が接近した1945年5月、第32軍が南部への撤退を決め、入り口などが爆破された。現在、一般公開はされていない。

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