KTX山川、57件の欠陥を把握しながら運行を強行

監査院の監査で判明

 韓国高速鉄道(KTX)でこれまで故障が相次いだのは、韓国鉄道公社(KORAIL)がKTX山川(サンチョン)=韓国で開発された新型車両=の欠陥について把握しながら、運行を強行したためだ、という監査結果が発表された。監査院は27日、鉄道公社などに対し監査を行った結果、新たに製作されたKTX山川に欠陥があるという事実を知りながら、鉄道公社が運行を強行したことが分かった、と発表した。

 監査院によると、鉄道公社は2010年2月以降、現代ロテムからKTX山川60両の引き渡しを受けた際、運転席の信号を表示する画面が消え、運転自体が不可能になる「ブラックスクリーン」など、正常な運行に影響を与える欠陥が計57件見つかったことを確認したという。

 ところが鉄道公社は、このような欠陥が運行に支障をもたらす可能性があるものの、脱線や転覆のような重大な事故にはつながらないとして、車両の引き渡しを受け運行を開始した。政府に対しては、欠陥が見つかった部分を「5月までに補完する」と報告したが、実際には補完することなく運行を続けたという。このため、10年4月28日から昨年7月31日までの間、計688件もの運行トラブル(10分以上の遅延が発生したケースを指す)が発生したというわけだ。

 今回の監査結果を受け、監査院は鉄道公社の社長に対し、欠陥を発見しながら引き渡しを受けた同公社の関係者2人の責任を問うよう求めるとともに、監督官庁である国土海洋部(省に相当)長官に対しても、指揮監督上の責任を問い、注意とする措置を講じた。

 監査院はさらに、KTX山川の試運転の期間があまりにも短かったという点も指摘した。フランスの高速鉄道TGVの場合、車両の製作に5年かけた上、20万キロにわたる試運転を行っているが、KTX山川の製作にかかった期間は3年、試運転を行った距離は6000-1万2000キロにとどまった。

 このほか、KTXの部品の管理がずさんな実態も明らかになった。1875種類の部品については、数量が適正な在庫量の2倍を超えていたが、336種類の部品は在庫が全くなかった。一方、在庫が残っている部品を新たに購入したり、部品を長期間倉庫に放置したりしていたことも分かった。

 これに対し、鉄道公社の関係者は「10年にKTX山川の引き渡しを受けた当時は、機能や品質に大きな問題はないと判断し、ブラジルの高速鉄道事業への参入を実現するためにも、やむなく運行の時期を早めた側面があった。監査院が指摘した問題点について、徹底的に改善を図っていく」と語った。

郭彰烈(クァク・チャンリョル)記者
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