【社説】KTXで大惨事が起こらなかったのは「奇跡」

 27日に発表された監査院の韓国高速鉄道(KTX)監査結果を見ると、こんな列車には怖くてとても乗れないと思えてくる。フランスや日本の高速鉄道は、製作期間を5年と見積もり、20万キロ以上の試運転を行ってから実際の運行に投入した。しかし、韓国の技術で開発したKTX山川は、製作期間が3年、慣らし運転も6000-1万2000キロという状態で、2010年3月に本格運転に入ったという。世界で4番目に高速列車の商用化に成功したと誇ったが、実際は大ざっぱに作って運行テストもいいかげんだった、というのが正しいようだ。現在高速鉄道では、現代ロテムが製造したKTX山川が19編成・190両運行されている。

 監査院は、韓国鉄道公社(KORAIL)の責任も質した。KORAILは、走行中のKTX山川に高速鉄道の運行状況を知らせる運転席のブラックスクリーンなどに、設計・製造上の欠陥が57件あるという事実を確認しながら、そのまま引き取って無理に運行に投入したという。このため、KTX開通初年の2004年には185件あった運行障害・事故が、07年には55件に減ったものの、KTX山川を投入した後の昨年は、10月までの時点で既に130件の運行障害・事故が発生。昨年2月には光明駅付近のトンネル内で脱線事故が起き、また漢江鉄橋の上で列車が止まってしまう事件も起きている。KORAILの社長が「私も乗ってみて不安だった」と語るほどだ。安全運転に欠かせない試運転を、高速鉄道先進諸国の20分の1しかせずに列車を運行するというのは、国民の命でもってばくちを打っているに等しい。

 韓国鉄道技術研究院は、監査院の問い合わせに対し「レールに加わる衝撃を吸収するため、KTXのレールには付属部品があるが、その部品の弾力性が低く、新品に交換しなければ運行の安全性を確保できない」と答えたという。中国の温州では昨年7月、高速鉄道の運行信号システム障害による列車追突事故で35人が命を落とし、200人が負傷するという惨事が発生した。国土海洋部(省に相当)とKORAILは、これでもKTXは中国のような事故を絶対に起こさないと言い切れるのかどうか、厳正に答弁しなければならない。

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