日本・ASEAN:アジア経済連携 日本、中国進出を警戒 米のTPP軟化狙う
毎日新聞 2012年04月29日 大阪朝刊
日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国は28日の経済担当相会合で、中国、韓国など6カ国を含む東アジアの包括的経済連携協定(RCEP)の実現に向けて年内の交渉開始を目指すことで一致した。経済に陰りが見える日本は、ASEAN各国へ投資を拡大する中国の進出に危機感を募らせている。今回の合意で巨大新興市場を自国の成長基盤に引き戻す意図を明確にすると同時に、難航する環太平洋パートナーシップ協定(TPP)参加をめぐり、事前交渉で厳しい市場開放要求を突きつける米国の軟化を誘う思惑もありそうだ。【丸山進、小倉祥徳】
枝野幸男経済産業相は会議後、記者団に「ASEANとのウイン・ウインの関係を強化できた」と強調。ASEANのスリン事務局長も会見で「(ASEANが呼びかけた協定に)日本が最初に参加を明確に述べた国になる」と高く評価した。
東アジアの広域的な貿易自由化の取り組みは、域内自由市場の整備を急ぐASEANが各国に働きかけてきた。昨年11月の東アジア首脳会議で、16カ国での作業部会設置で合意したのもその成果だ。