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| ●大賞 |
「くずばこに箒星」 |
| 石原 宙(いしはら・そら) |
| 1981年1月16日生まれ。愛知県出身。愛知県在住。 |
〈受賞コメント〉
このたびは拙作に大賞という栄誉を与えていただき、こころから感謝いたします。
かわいいわが子の頭をみんなにたくさんなでてもらったような、こころ温まる気持ちです。
選考に関わってくださったみなさま。日頃わたしを支えてくれる家族、仲間。
額がすりへるほど感謝しています。
世の中にはつらいことがたくさんあります。
日常の些末なことから、昨日まではとても信じられなかったような大災害も。
つらいことやかなしいことが多くても、それ以上に楽しいことや嬉しいことがあることをささやかな作品の中で伝えていけたら幸せです。
がんばりますので、応援のほどよろしくお願いいたします。 |
〈概要〉
うち棄てられ、廃墟と化した遊園地の上に建てられた高等学園。
そこにはグレードチェア制度という特殊な序列システムがあり、全生徒は上位の椅子を獲得するため日々競争を繰り広げていた。
学園創立十年祭を控えたある日、首席を目指す2ndチェア福山英知は、落ちこぼれの巣窟おそうじ部へ潜入調査をすることになる。
調査の目的は、創立以来誰も見たことがない謎の学園長を探すこと。
おそうじ部の面々がその行方を探しているらしいのだ。
訪れたおそうじ部は、学園の掃き溜め≠フ名に恥じぬ問題児揃いだった。
地球が抱えた頭痛の種£エネガティブ部長の花を筆頭に、男に触れると石化する逆メデューサ女≠ネつき、
そして神経質をこじらせた工学者の匠は皆既盲≠ニやらを患っている。
そこへ人語を操る性悪インコも加われば、完全記憶能力を誇る英知も翻弄されるばかり。
さらに変人揃いの上位席者チェア・オブ・シックス≠フ策謀も振りかかり、英知は首席を狙うどころか下位席へと転落寸前。
そんな中、ついに創立十年祭の日が訪れ、意外なおそうじ部の探しものが発覚する。
棄てられた遊園地の上、過去の瓦礫に埋もれる英知は、屑と呼ばれた落ちこぼれとともに、懸命に未来へ手を伸ばす。 |
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| ●大賞 |
「覇道鋼鉄テッカイオー」 |
| 八針来夏(はちばり・きたか) |
| 1982年3月28日生まれ。京都出身、在住。 |
〈受賞コメント〉
受賞を目指してはいたものの、実際に編集部の人からお知らせを頂いた時は本当に心臓が高鳴りました。その上大賞という予想以上の栄誉を得て、未だに『え? 本当に?』という望外の喜びで胸が一杯です。
武侠が好きで、SFやロボットが好きで、あと男装の麗人も好きで、好きなものを詰め込んだ作品であるのにこれほどの身に余る評価で、喜びと一緒に背筋が引き締まる思いを感じております。
以降も大賞というご期待に添えられるような書き続けられる作家を、読者の皆様方に楽しみ続けていただける作家を目指していきたいと思います。
この作品を応援、評価してくださった方々、本当にありがとうございました。 |
〈概要〉
銀河へと進出した人が持つ武装の発達は、極限の逆行を迎えることとなる。
最も強力な武装、それは己の肉体を鍛え上げた『銀河武侠』『暗黒武侠』と呼ばれる超人達の拳足と彼らの保有する超能力だ。
そして最も強力な兵器は、人の持つ気を内功という鍛錬法で鍛えた超人である武侠を動力源とする『覇道鋼鉄』『邪道鋼鉄』という人型兵器である。銀河は、拮抗する善と悪の二大勢力によってもたらされた動的な均衡による平和の中にあった。
その武侠の中でも特に優れた内功を受け継ぐ少年カザンは、しかしその武術『童子神功』の最大にして一番の欠点……「童貞にしか使えない」という本人からすれば冗談ではない事実に愚痴をこぼしながらも、今は亡き一番上の兄弟子の娘であり共に武を学んだ男装の美女であるササラン、そんな二人の雇用者ジャックと共に、ある宇宙海賊を追う。
そこで三人は海賊の魔の手から一人の姫君を救い、そして彼らの後ろにいる恐るべき敵の存在を知ることとなる。
敵の名は暗黒武侠グントラム。銀河における法と秩序の宿敵、無法と混沌の使徒である暗黒武侠の中でも特に悪名高い外道の達人『十絶悪鬼』の一人。その男こそ、ササランの父の仇であり、カザンの人生を大きく狂わせた運命の敵であった。
仇敵に挑むため、一路姫君の故国へと進む一行。
だが、その途中で彼らは人間の超能力を利用した恐るべき大虐殺をもたらす陰謀の存在を知ることになるのであった。 |
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| ●優秀賞 |
「サカサマホウショウジョ」 |
| 大澤 誠(おおさわ・まこと) |
| 1982年7月5日生まれ。神奈川県出身。神奈川県在住。 |
〈受賞コメント〉
審査委員の先生方、編集の方々、その他審査に関わった皆々様、この度は優秀賞に選出して頂き本当にありがとうございます。
本作は休日の朝にやっている魔法少女ものをリスペクトし、愛や友情、そして人が人に優しいキラキラした世界を作ろうと書き出した記憶があります。
――無理でした。
馬鹿馬鹿しく乱雑な内容でしたから、この作品が受賞した事が本当に信じられません。それでも今回こういった機会をいただいた以上、出来得る限り頑張って行く所存です。皆様、何卒よろしくお願い致します。 |
〈概要〉
ある日、この世界に魔法少女が大挙してやってきた。
魔法国家まほろばが次元を漂流し、日本近海に突如として現れたのである。
世界は大きな力を持つ魔法少女の出現に戦々恐々としたが、当の魔法少女は人類と平和的な接触を望んでいた。
そこで一人の魔法少女「ゆうま」が親善大使として派遣されることになる。
しかしどういうわけか、ゆうまは親善大使でありながらとんでもないことを企んでいた。
愛する国のため、下等な人類を征服してやろうというのである。
ところがどっこい、彼女の邪な計画は地上に降りて一瞬で瓦解した。
彼女が派遣されたまほろ市の幻城址学院は、魔法少女の想像すら絶するとんでもないところだったのだ。
エロスの求道者であり、常軌を逸した変態科学者である山田。
魔法少女すら遥かに凌駕する美少女剣士、大道寺嵐。
おまけに学院の連中は、揃いも揃って変人ばかり。
彼等の乱痴気騒ぎの前では、魔法少女など一個性にしか過ぎなかったのである。
早々に世界征服を諦めたゆうまは、真面目に親善大使としての活動に取り組もうとするが、学院には彼女の知らない魔法少女「アンノン」が潜伏し、一人、魔法国家の転覆を狙っていた!
おバカ、変態、腹黒、天の邪鬼。少々面倒くさい性格の欠点人間達が贈る、立場も善悪もあべこべで逆さまな、ちょっとカオスなドタバタハートフル魔法少女ラブストーリー……かも? |
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| ●特別賞 |
「嘘つき天使は死にました!(嘘)」 |
| 葉巡明治(はまわり・めいじ) |
| 1992年6月6日生まれ。福井県出身。福井県在住。 |
〈受賞コメント〉
背伸びをしても、なかなか受賞には届かないだろうと、どこかで思っていたかもしれません。
だけれど、薄ぼんやりと小説を想い続けて。次第に小説家への夢がハッキリし始めて。書き続けて。受賞の報せを受けたときには、うつ伏せになりました。
それほど衝撃的な出来事であったのは間違いありません。大変な名誉を頂きました。
本当にずっと驚くことばかり。今、このコメントを綴る最中で、少しずつ受賞の実感を噛み締め始めています。
友人家族、そしてこの作品に関わった全ての方々へ。こうして辿りついたスタート地点から、精一杯頑張らせていただきます。この度は本当に、本当にありがとうございました!
受賞に、届きました! |
〈概要〉
熊を素手で倒せるらしい小説家志望のネガティブな青年、中羽織 夏彦。ある日、道を行く夏彦の前に、一人の可愛らしい女の子天使がすごい速度で降ってきた。
天使は夏彦に用があるらしく、どれだけ夏彦が彼女を拒絶しようとも、絡んでくるのをやめようとしない。そこでついに根負けした夏彦は、「何故俺につきまとうのか」という内容の質問を、彼女に送りつけた。
「キミは死にますよ」
そんな回答だった。彼女の話によると、夏彦は近々死ぬ運命にあるらしい。そこで天使である彼女は、使命感をもってして、夏彦をその『死の運命』から救助したい、ということだった。
ややあって夏彦は彼女を家に招き入れ、そこで詳細な話を聞かせてもらうことになる。
「夏彦くん、私は君のことが大好きですよ」
会話の最中、彼女が発した突然の言葉に夏彦は焦るが――
「嘘です。出会ったばかりの人に好きとかありません。でも嫌いでもありませんよ」
彼女は無い胸を張って、得意げに言っていた。
そうして話す内に夏彦が感じた天使の性格は、よく泣き、笑い、欲望には弱いが、物凄く素直で良い子。そして人を幸せにする為なら(たまに無意味でも)嘘をつくらしい、ということであった。
次第に、夏彦は天使に対して心を許し始める。ちょうどその時、天使は夏彦のことを「良い人」だと断じ、更に「今のうちに伝えることがある」と、口を開いてきた。
「キミを助けたあとに、私は殺されてしまいます」 |
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