JR福知山線脱線:慰霊式 この7年、指で語りかけ JR西社長、改めて謝罪
毎日新聞 2012年04月25日 大阪夕刊
計画の中心は、社員が報告する事故の予兆を分析し、優先順位をつけて対策をとる「リスクアセスメント」。軽微なトラブルは社員の責任を追及しないなど「事故」のとらえ方も見直し、積極的な報告を促した。08〜10年度で報告は約9万4500件に上り、ホームの転落防止などの対策に生かされている。
西日本旅客鉄道労働組合(JR西労組)が今年2〜3月に実施した職場アンケートでは、事故概念の見直しで「技術や安全意識の向上につながった」との回答が5割超あったが、「危機感、責任感が薄れている」などと緩みを懸念する声もあった。今年1月には福知山線で30代運転士の居眠り運転が発覚。4月は20代の車掌が遅刻してダイヤが乱れるトラブルが2件続いた。
国鉄民営化前後の約10年間は採用人数が抑制され、JR西は30代半ばから40代半ばの社員が全体(約2万9900人)の6%の1900人。脱線事故後に入社した新卒社員は約7000人。事故後、「上司が部下を叱りにくくなった」との声も上がるなか、技術継承や社員教育は大きな課題となっている。【川口裕之】