■原料の加工用米、生産は27%減
農林水産省によると、加工用米の生産は11年に15万4900トンと前年比で27%も減った。直接の要因は、東日本大震災の被災地の生産枠を国の調整で他の地域に振り向けたことだ。もともと加工用米と主食用米は品質はほとんど同じだが、主食用の価格を維持するため、生産調整(減反)で主食用の生産枠を決め、残りをそれ以外に充てている。被災地の生産枠を他県に追加配分したため、加工用米になるはずだったコメが主食用米に化け、それがそのまま加工用米の減少につながった。
もう一つの減少要因は国が戸別所得補償制度で、10アール当たり8万円という高額の補助金を出して米粉用や飼料用といった新規需要米の生産を促していることだ。加工用米に対する補助金は10アール当たり2万円にとどまるため、加工用米の作付け意欲減退に拍車がかかった。
国産の米粉を輸入頼みの小麦粉に代わる存在に育てて食料自給率を高めようとの狙いだが、実際には米粉用米は「あまり売れ行きが良くない」(松本市のコメ卸)ため、在庫はだぶつき、価格は大幅に下落している。全農長野によると、かつては1キロ当たり70円だったが、今は15~40円くらいだという。だからといって手厚い補助金を受けている米粉用米を今さら加工用米に転用するわけにはいかない。国の政策が業者の首を絞めている。
関西のあるみそメーカーからは「今年度のほうがもっと大変になるだろう」との声も漏れる。全農は農家の加工用米の作付け意欲を引き上げるために、加工用米の出荷価格を引き上げる。農家への支払いも増やし、作付け意欲を上げる狙いだが、どの程度効果があるかは未知数。メーカーなどは加工用米を6月ごろまでに予約しておく必要があり、昨秋に塩こうじを出したみそなどを製造する糀屋本藤醸造舗(長野県須坂市)の本藤浩史社長は「今年は価格が昨年よりも1割程度高くなりそう。今後の仕入れが心配」と話す。
農水省出身で、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の山下一仁氏は「自由市場は本来、一物一価のはず。コメがいまだに政府の統制下に置かれているからこういうことが起きる」と指摘している。
(松本支局長 長沼俊洋)
塩こうじ、山下一仁、日本酒、マルコメ、八海醸造、ハナマルキ、本藤醸造
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