閑想閑話:産科医不足で分娩の受け入れなどを制限していた… /島根
毎日新聞 2012年04月28日 地方版
産科医不足で分娩(ぶんべん)の受け入れなどを制限していた益田赤十字病院が、今月末で制限を解除する。今回の事態が地域の基幹病院で起こるのを目の当たりにして、地域医療の現状と将来について考えさせられた▲医療が公的側面を持つとはいえ、医師がどこに住み、どの診療科を専門にするかは自由だ。だが、現状はどうか。最先端の知識や技術に接しやすく、豊かで便利な大都市に医師は集中する。医師を目指す学生でも、勤務時間が長く、緊急の呼び出しや訴訟を起こされる可能性のある診療科を避ける者が増えている▲もちろん、それがすべてではないから地域医療はかろうじて成り立っている。だが、人口約5万人の街ででもいつ行き詰まるか分からないことを思い知った。ぎりぎりのところで地域医療を支える関係者の声は、永田町や霞ケ関には届いているだろうか。【江田将宏】