昨夜、東京基督教大教授で、拉致被害者を「救う会」の副会長である西岡力氏から、最新著書である「よくわかる慰安婦問題」(草思社)を、21日の書店発売に先駆けていただきました。ありがとうございます。この本は、慰安婦問題の経緯と問題点、これからどうすべきかについて的確にまとめてあって分かりやすく、この問題を改めて勉強したい人や、ポイントを整理したい人にお薦めです。
それで、私がこの本の中で特に関心を覚えたのは、巻末の「あとがきにかえて」の欄でした。というのは、韓国での反日・慰安婦問題キャンペーンと、北朝鮮との深い関係を示唆する記述があったからです。日本でも、慰安婦問題で対日非難を繰り返す団体と朝鮮総連との関係が指摘されることがありますが、韓国でもやはりそうだったようです。そういえば、例の昭和天皇を強姦罪で有罪とした女性国際戦犯法廷には、北朝鮮の「工作員」が来日して参加していましたね。
西岡氏によると、韓国で日韓離反が目的であるかのごとく、慰安婦問題で「反日」日本人と連携して活動している韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)役員の家族・親類には、北朝鮮のスパイとして韓国当局から国家保安法違反で逮捕された人物が複数いるとのことです。たとえば、挺対協のユン・ミヒャン常任代表(女性)の夫の金三石は、妹の金銀周とともに1993年、「兄弟スパイ事件」で逮捕され、ともに有罪判決を受けています。また、この金銀周の夫で民主労働党の事務副総長であるチェ・キヨンも昨年、北朝鮮のスパイとして逮捕され、現在も裁判中だといいます。
慰安婦問題の活動家のみんながみんな、北朝鮮とつながっているとまでは思いませんが、この問題が、北朝鮮の政治工作という性格を帯びていることを忘れてはいけませんね。さてそこで、ついでと言ってはナンですが、西岡氏に、朝鮮総連中央本部の土地・建物をめぐる仮想売買事件についてどう見ているか、発作的にインタビューしてみました。西岡さん、協力重ねてありがとうございます。
私 事件をどう見るか。西岡さんの視点は
西岡氏 二つの視点がある。まずは、朝鮮総連の工作恐るべし、ということだ。公安調査庁長官までが、彼らの側に立ち、不法な取引を行っていた。特に緒方重威氏は、北朝鮮の第一次核危機で、政府が一連の総連の送金問題を調べていた際に、公安調査庁が「総連と国税庁との5項目の1976年合意がある。これに基づき総連は税金の不払い活動をしている」と指摘したときの責任者だ。
私 その「合意」は弊紙も指摘したことがある
西岡氏 その後、バブルがはじけて、総連も税金逃れだけでは本国に多額の送金はできなくなった。すると総連は、今度は朝銀信組に意図的に不良債権をつくることを始めた。総連系の個人やペーパーカンパニーが朝銀から融資を受け、民族学校や総連の建物を担保とする。だけど、実は朝銀も融資を受けた人も、担保物件も全部総連の指揮下にあると。それで、融資がこげつくと、預金者保護のために公的資金が投入される。こうした制度を悪用して本国に送金していた。そのことも、一番よく知っていたのが公安調査庁なのに。
私 全国の朝銀信組には、計1兆4000億円近い公的資金が投入されたが、産経を除いて各紙やテレビの扱いは小さかった。
西岡氏 今もそうだが、政界にもマスコミ界にも朝鮮総連タブーがあった。その意味で、二番目の視点は安倍首相恐るべし、だ。一昨年に安倍氏が官房長官に就任すると、朝銀信組の不良債権を引き継いだRCCは安倍氏のリーダーシップのもと、総連相手に裁判を起こした(※以下の記事参照)。
《RCC、総連を提訴 朝銀系信組不良債権628億円を返還請求
「朝銀東京信用組合」など破綻(はたん)した在日朝鮮人系十六信組から整理回収機構(RCC)が引き受けた不良債権のうち、個人・団体向けとされた債権の一部が在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)への貸付金だったことが分かり、RCCは二十二日、朝鮮総連を相手取り、総額六百二十八億円の返還を求める訴えを東京地裁に起こした。
RCCによると、各信組からの不良債権引き受け後、個人・団体向けの融資の流れについて調査したところ、不良債権千八百十億円のうち、一部の個人や団体向けとされていた融資約六百二十八億円(三百九十四件)が、「名義貸し」や「仮名」などによる朝鮮総連への融資であることを突き止めた。これら融資について、朝鮮総連は総連への融資と認めたが、大部分を返済しない意向を示したため、提訴に踏み切ったという。
破綻した十六信組については、引き受けた不良債権の82%にあたる千四百八十一億円を回収している。RCCは十四信組の旧経営陣に対し、二十二案件で訴訟を起こし、十三案件で旧経営陣の責任を認める判決が出されている。RCCの志田康雄副社長は「公的資金を投入された破綻金融機関の債権は適正に回収し、国民負担を最小限にとどめたい」と話している。
朝鮮総連は今回の提訴について「産経新聞の取材には応じられない」とコメントした。》
西岡氏 公安調査庁は、本来はこの裁判を助ける情報を出すべきなのに、緒方氏は逆に、総連本部が差し押さえされないために名義を貸すような違法な取引をしていた。そこまで公安調査長に食込んでいた総連の政治工作は恐るべしだが、その総連をここまで追い込んできた安倍氏も恐るべしだ。
私 確かに、今まで「政治」は総連に手が出せないでいた
西岡氏 今までは総連にやられっぱなしだった。税金の不払いでも不良債権の処理でも。それが、正常化に動き出したのは、安倍氏が官房長官に就任した一昨年9月からだ。それまでは総連タブーがひどかった。安倍氏のもと、RCCは約600億円の返還を求める訴訟を起こしたが、総連の資産は全国の土地・建物など多く見積もって100億円程度だ。つまり、すべての財産を差し押さえるということだ。今まで日本は、総連に対して法律をきちんと適用してこなかった。
私 安倍氏は法の厳正適用を表明している
西岡氏 そう。それで総連は追い込まれ、昨年は民団と野合を図り、民団の良識派が総連と同じにみられたくないと当時の指導部を追い出したことがあった。そして、とうとうここまで総連は追い込まれ、彼らが持っていた元公安調査庁長官という、本来は隠しておくべきカードを切ってきた。元長官と元日弁連会長が、なるべく総連を守ろうと彼らの側に立って動いている。総連にしてみれば、自分たちにつながっていることを本当は隠しておきたかったはずだ。その二人が捜査を受けた。このままいけば、総連本部の差し押さえとなる。
私 いま総連内部もぐっちゃぐちゃになっていると聞く
西岡氏 この状況を生み出したのが、一昨年10月の安倍氏の決断だ。そういう点でも、戦後レジームからの脱却は進んでいる。安倍氏が法の適正執行で闘っていることが、彼らを追い込み、裏工作の実態を暴露するに至った。この際、公安調査庁も膿を出すべきだ。社会保険庁解体法案みたいに、いっぺん職員を全部外に出して、全部は戻さないというやり方をとるとか。
何年前だったか忘れましたが、当時、官房副長官だった安倍氏が、朝銀信組問題に取り組んでいるときに、「サヨクの人だけでなく、信じられないような保守派の大物議員からも『追及はやめろ』と言われた」と漏らしていたことがありました。この大物議員がだれかは分かりませんが、かつては与野党を問わず、総連の政治工作が深く浸透していたのでしょう。でも、今はその安倍氏が首相であり、捜査に圧力がかかることはありません。徹底的な真相解明を望みます。
by kazu-haya
記事における「おかしみ」と伝…