現場発:立ち直った少年
毎日新聞 2012年04月29日 02時30分
養護学校から、生徒の卒業後の就職率が1割未満だと聞き、厳しい現実も知った。3年生最後の実習となった2月23日、こう語りかけた。「これから大変なこともあると思うけれど、一生懸命やっていればいいこともあるから、頑張って」。一人一人と握手した。
その日の夕方、店に帰ると、野口さんが待っていた。「2年間よく頑張った。お前は自慢の息子だよ」。3月1日、正社員になった。教えに行ったはずの生徒たちから「車は心で磨くもの」と教わった。その姿勢を胸に、野口さんに恩返ししようと誓った。