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【大陸棚拡大勧告】海域延伸一部先送り 中韓反発 高度な政治判断必要
2012.4.28 08:02
申請から3年半を経て、国連大陸棚限界委員会で日本の大陸棚延伸が認められた。メタンハイドレート採掘などの海洋権益拡大に加え、沖ノ鳥島が国連機関から島と認定された内容だ。一方、中国と韓国が反発姿勢を崩しておらず、一部海域の延伸が先送りされるなど、課題も残った。
「わが国の海洋権益確保の第一歩となった。延伸できた海域をうまく活用したい」。政府の総合海洋政策本部の担当者は、同委員会の勧告を歓迎した。
日本近海ではメタンガスが低温高圧状態で結晶化したメタンハイドレートが天然資源として実用化が有望視されている。総埋蔵量は国内使用量の約100年分のガスに相当する計7・4兆立方メートルに上ると推計されている。また、価格高騰が問題となっているレアアース(希土類)の存在も期待されている。
さらに注目されるのが、沖ノ鳥島を起点とした北側海域が認められた点だ。中国は平成21年8月に「沖ノ鳥島は人の居住または経済的生活を維持できない岩」と認定するよう同委員会に求めていた。委員会は島か岩かを決定する役目にはないが、今回の決定で政府関係者は「事実上、国連は沖ノ鳥島を島と認めたことだ」と受け止めている。
沖ノ鳥島は日本最南端の無人島で、満潮時に水面上に浮かぶ面積が4畳半程度しかない。政府は昭和62年から浸食防止の保全工事を実施。平成28年度までに全長160メートルの岸壁の完成を目指している。
一方、関係者は同島を起点とする「九州パラオ海嶺南部海域」の勧告が先送りされたことについて、中韓の反発に配慮した可能性を指摘しており、別の政府関係者は「周辺国との兼ね合いもあり、今後の勧告の取り扱いは高度な政治判断になるだろう」と話している。
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