AndroidのカメラアプリのFxCameraを買収したビットセラーがジャフコから4.2億円もの資金調達をしたことを発表した。ビットセラーは買収によってFxCameraというプロダクトを手中におさめたが、その核となるプロダクトはステルスモードで開発中の写真のストレージサービスのCellarである。未だメインのプロダクトがリリースされていない中で、これだけの資金を調達したのは国内のスタートアップとしては珍しいことだ。
ビットセラーの代表取締役社長の川村亮介氏によれば、今回の資金調達によってまずはFxCameraをアップグレードさせるのだという。具体的にはFxCameraはInstagramのように撮影した写真にフィルターを使ってさまざまな加工が施すことができるのだが、その加工フィルターの種類を増やしたり、あるいはユーザーインターフェイスの部分を新しくしたり、そしてオンラインで写真を保存できるCellarとの連携機能を追加したりするための開発だという。
また、FxCameraがCellar対応となることで、今後Cellar内にデータが一気に蓄積されることを見越して、そのサーバー運用費用などにも資金を充てていく。もちろん、Cellarの開発にもではある。
気になるのはCellarというサービスである。iCloudのように写真をスマートフォンと連携してクラウド上に保存してくれるサービスはすでにプラットフォームを提供している企業が参入している中で、Cellarがどういった差別化が提供されるのは気になるところではある。そのヒントは彼らのアドバイザーに就任している慶應義塾大学環境情報学部教授の増井俊之氏にあるようだ。
増井氏はユーザーインターフェイス研究者で、ケータイ電話の予測変換入力のPOBoxやアップルでiPhoneのフリック入力を開発している。Cellarは増井氏のアドバイスによってそのインターフェイスが開発されている。これまでの写真管理アプリあるいはストレージサービスの多くは時系列程度でしか写真を管理できていなかった(一部タグ付け、あるいはiPhotoの顔認識のように同じ人物の写真といった方法もあるにはあるが)。Cellarではそれを上回るあらたな写真の閲覧方法を提供するのだという。僕もそのプロトタイプとなるようなものを見せてもらったが、時系列の写真の見せ方1つとっても新しさを感じさせるものだった。
いまだステルスモードで開発されているCellarの実際のサービス提供はまだ時間がかかるのだというが、FxCameraがAndroidアプリということもあって、まずはAndroid向けにサービスが提供される予定だという。
ビットセラーはグリーに買収された広告配信・管理のスタートアップ、アトランティスの創業メンバーの川村氏とCTOの澤田翔氏によって創業されている。