医療と介護の両面から、地域の皆さまの健康を守ります。
2012
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2012年4月7日改訂 ver.2
ひらた中央病院では、2011年10月17日からホールボディカウンター(WBC)検査を開始し、
多くの市町村との協定に加え、福島県内外から広く検査依頼を受け付けています。
開始後、2012年1月31日までに8,060名の検査を行いました。2012年2月には2,890名、
3月には3,161名と、現在は平均して1日約100名の検査を行っています。
今回は、検査開始時から2012年3月31日までの検査結果を公表いたします。
○表1:検出開始から2012年3月31日までにひらた中央病院で施行した
WBC検査受検者数(年齢区分)
表1PDFはこちら wbc12.pdf
○図1:検査開始から1月31日までに施工した8,060名の結果
図1のPDFはこちら wbc1.pdf
検出限界以下の方が6,890名(85.48%)、有意検出者は1,170名(14.52%)でした。
検出者中、20Bq/kgを上回ったのは121名(1.50%)で、50Bq/kgを上回ったのは9名(0.11%)です。18才以上の方で、急性一括吸入摂取のモデルに基づいた計算上、預託実効線量が1mSvを超える方が1名おられますが、摂取の時期や状況にモデルと合わない部分が多く、現在個別に評価中です。他の方で、預託実効線量で1mSvを超える方はおりませんでした。
※検出限界について
ひらた中央病院では、体内放射能陰性者のデータから統計計算を行い、施設の検出限界を
Cs134、137ともに300Bq/bodyに設定しています。
※有意検出のうち「0-5Bq/kg」について
本報告では、有意な数値として検出された際のお一人当たりの体内放射能量ベクレル「Bq/body」を、受検者の体重で割ることで「Bq/kg」にて表現しています。我々は、受検者の体格の差を埋め、 体内放射能量の多人数・多施設比較に適した表現と考え、これを採用しています。「0-5」というのは適切な表現ではありませんが、グラフの表記上やむを得ず、「検出限界を超えてから5Bq/kgまで」と読み換えていただければ、と思います。
○図2:2012年2月1日~29日までに施行した18才以下2,101名の結果
図2PDFはこちらwbc2.pdf
検出限界以下の方が1,877名(89.34%)、有意検出者は224名(10.66%)でした。検出者中、
20Bq/kgを上回ったのは9名(0.43%)で、50Bq/kgを上回った方はいらっしゃいませんでした。
ただし、2月以前の検査は十分な更衣がなされておりません。次の図3と対比ください。
図3:2012年3月1日~31日までに施行した18才以下1,963名の結果
図3PDFはこちらwbc3.pdf
検出限界以下の方が1,940名(98.83%)と、2月の結果に比べて大幅に増えております。また、有意検出者23名(1.17%)のうち、20Bq/kgを超える方もいらっしゃいません。2月(図2)と3月の違いは、「更衣の有無」です。2月以前、有意検出となった原因のひとつとして、内部被ばくそのものではなく、衣服に付着したごく微量の放射性物質の検出が推測されます。ガイガーカウンターでも検知できないほどの放射性物質(すなわち人体に影響するレベルではありません)を、WBCでは検出し得ます。
図2、3の結果から、本来内部被ばくではない誤検出の要因を出来るだけ取り除くため(加えて機器の汚染を防ぐため)、今後WBCを導入される機関においては、検査時に更衣することを強く推奨します。
○図4:月別放射能検出割合の推移
図4PDFはこちらwbc4.pdf
20Bq/kg以上の検出者は10月1.24%、11月1.64%、12月1.84%、1月1.13%、2月0.45%、3月0.06%と、2011年中は横ばいですが、2012年に入って減少が明確となっています。すなわち、 この福島に住むにあたって、食物や水、空中飛散物等からの新たな体内放射能量増加のリスクは、ごく少ないことが伺えます。
ただし、ひらた中央病院で検査を受ける多くの方は、自主的な申し込みに基づいており、比較的食品からの被ばくに対して防護意識の高い方々を中心に見ている可能性があります。今後、より多くの方々を検査していくことにより、福島県全体の内部被ばく状況を評価する必要があると考えています。
○図5:有意検出者の2回目検査の結果(成人)
図5PDFはこちらwbc5.pdf
2回目の検査を行った14名全員で、放射能量は減少しています。図6の解説も参照ください。
○図6:有意検出者の2回目検査の結果(18才以下)
図6PDFはこちらwbc6.pdf
2回目の検査を行った18才以下92名のうち、90名は検出される放射能量が減少し、そのうち84名は再検時に検出限界を下回っています。残る2名は横ばいで、わずかながら継続した摂取がある可能性があります。現在その要因について精査を行っています(さらなる追検も予定)。この結果から、
今後福島で日常を過ごすことで、体内放射能が少なくとも大きく増加に転じることは考えにくいと思われます。
なお、図5、図6にある再検査のみなさんは、主に1回目は更衣がなく、2回目は更衣をしている、という要因もあり、現状ではその影響を考えなくてはなりません(更衣による放射能量低下の可能性:図3の解説もご参照ください)。1回目に計測された高めの放射能量が、厳密には体内のものではない可能性にもご注意ください。今後は、条件を同一にした複数回検査を行ってまいります。
○参考データ:チェルノブイリ周辺地域の内部汚染の状況の一報告例
(事故後約10~20年の経時変化)
参考PDFはこちらsankou.pdf
福島原発事故から約1年が経過した、2012年3月の当院のWBCデータに於いて、20Bq/kgを超える方が全体の0.06%というのは、チェルノブイリ原発事故における実状に比べ、実測される体内放射能量が早期からごく少ないことを示しています。チェルノブイリ周辺に居住される方の体内放射能量は、事故から20年以上経過した今でも、福島の事故後1年目を遙かに超える状況にあります。
福島では、さらに継続してモニタリングを行うことにより、時間経過に伴う体内放射能量の増加を防ぐことが、WBC検査の主たる目的と考えます。ごくわずかに、増加に転じる可能性のあるライフスタイルや食習慣を持つ方に対し、個別的に対応することが、今後の内部被ばく防護のあるべき姿に思います。
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