野田が今回も霞が関=財務省の指示にしたがって、「話し合い解散」による増税実現を目指すなら、野田は最後まで財務省に忠実だったという話になる。歴史に「財務省に忠誠を尽くして、民主党を壊した総理」という名を残すだろう。
「民主党を壊す」という決断は、これまでのような政策レベルで霞が関に従うという次元を超えている。のるかそるかの政治決断である。そういう決断する野田の姿を見たことはない。
今後の政局は「一寸先は闇」
野田がそこまで腹をくくれないなら、自民党は解散なき増税賛成はできないから、法案成立の見通しは立たない。その場合は衆院で可決しても参院の否決が見えているから、衆院の採決自体をせず、法案は継続審議という展開になる可能性が高い。
そうなれば9月に民主党は代表選、自民党は総裁選で政局はいったんリセットである。財務省の敗北は明白で、勝次官も交代するだろう。小沢無罪判決は野田が直面している政局のガチンコ度合いを強めた。ここから「一寸先は闇」だ。
野田は1月の施政方針演説で「『日本再生元年』となるべき本年、私は、何よりも、国政の重要課題を先送りしてきた『決められない政治』を脱却することを目指します」と述べた。まさに、そうしてほしい。野田自身が「決められない」のでは、せっかくの大見得も単なる漫画になってしまう。
もしかしたら、このセリフも財務省があらかじめ、こういう展開を読んで野田を型はめしたのかもしれないが…。
(文中敬称略)
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