つまり「話し合い解散」は財務省と自民党の長老組が望み、野田がその気になれば、不可能な話ではないのだが、いざ実際に舞台回しとなると、双方とも役者がそろわない。これが第1点だ。
腰がふらつきだした野田内閣
次に、そもそも野田自身が決断できるかどうか。
自民党の増税賛成をあてにして「話し合い解散」に乗るなら、小沢グループの造反は避けられない。小沢はすでに政府や党の役職辞任というカードを切ったが、今回の無罪判決で政治的求心力を取り戻し、代表交代を求める署名運動とか第2、第3のカードを切ってくるだろう。
野田があくまで自民党の賛成による法案成立をめざすなら、場合によっては造反離党したうえ内閣不信任案の提出も考えられる。そうなれば自民党にもハレーションが広がって、増税賛成による「話し合い解散」より、造反組と連携して不信任案賛成による倒閣という選択肢も出てくるかもしれない。
野田が小沢復権の下で「話し合い解散」という路線を選択するのは、まさに内閣の命運に直結する話になるのだ。野田にそんな政治的決断ができるだろうか。
4月6日付けコラムにも書いたように「どうあるべきか」論で言えば、野田は小沢がどうであろうと「増税実現が大義」と信じるなら、谷垣自民党と手を結んで増税法案成立をめざすべきだ。それしか増税を実現する手がないからだ。
それで事実上の政界再編、増税大連立が成立し解散・総選挙になれば、あとは国民が次の望ましい政権と政策を選択する。そんなプロセスを通じて、ねじれにねじれた日本の政治が基本政策を軸に再編され正常化していく。
しかし「どうなるか」論で言えば、野田は残念ながら、そんなだいそれた決断はできないとみる。なぜか。野田は自ら大きな政治的決断をした試しがないからだ。消費税引き上げ、原発再稼働、環太平洋連携協定(TPP)問題と重要課題への対応は、すべて霞が関の判断に基づいている。野田は官僚のみこしに乗ってきただけだ。
このうち正しいのはTPP参加くらいだが、それさえ腰がふらついてきた。
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