政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪に問われた民主党の小沢一郎元代表に無罪判決が言い渡された。これで消費税引き上げ問題や今後の政局はどうなるのか。ざっと整理してみる。
財務省は「話し合い解散」に持ち込むか
まず政治を動かす全体のプレーヤーを見渡して、もっともスタンスが明確なのはだれか。そこを起点に考える。立ち位置にぶれがないプレーヤーを座標軸の原点に据えれば、全体の構図が見えやすくなる。
それは小沢でも、野田佳彦首相でも谷垣禎一自民党総裁でもない。ずばり財務省である。財務省は今国会で増税法案さえ可決成立できれば、野田佳彦政権がつぶれようと存続しようと、いっこうにかまわない。まして谷垣など増税を実現する手駒にすぎない。消費税政局の真の主役は財務省、とりわけ勝栄二郎事務次官だ。
そんな財務省の立場で考えると、増税法案を成立させるためには、まず衆院の多数で可決する。その後、参院でも可決することが絶対条件になる。衆院はともかく与野党で多数派が逆転した参院でも可決するためには、野党とりわけ自民党の賛成をどうしてもとりつけなければならない。
しかも先に審議する衆院段階で。なぜなら、いったん衆院で自民党に反対票を投じさせてしまうと、後で参院で賛成に転じさせるのは極めて難しくなるからだ。
自民党も増税に賛成だから、政策だけで考えれば、自民党が衆院で賛成するハードルはけっして高くはない。社会保障政策の中身で違いはあるが、これとて先週のコラムで指摘したように、岡田克也副総理は早くも目玉政策である最低保障年金創設の棚上げを示唆している。後期高齢者医療制度の廃止とか年金一元化とか、ほかにも問題は残っているが、これも議論の先送りが可能だ。
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