病気を治せるハンドパワーを習得できると高額請求の会社を提訴
「大根やアスパラガス、カリフラワーなどの野菜が、手で触れるだけで大きくなる」などとうたった会社が、27日に訴えられた。「病気を治すこともできる」と会社側が主張する、その目に見えない力をめぐって、今後、裁判が行われる。
壇上で声を張り上げるのは、各地でハンドパワーのセミナーを開催している会社「アースハート」の野中邦子代表。
ビデオでは「このハンドパワーの力は、高次の世界の力です。だって神の力だから。高次の次元の力を、あなた方は自由に扱っています」と語っていた。
さらに、「雲を消せますか?」、「お酒の味を甘く辛く変えられますか?」、「人の痛みがわかってとれますか?」と野中代表が次々に問いかけると、「はい」と一斉に返事が聞こえた。
被害を訴える女性は「『治らない病気はありません。がんも治ります。あなたの病気も絶対治ります』(と言われた)」と語った。
病気や障害を治せる「ハンドパワー」を習得できると称し、高額の受講料や治療費などをだまし取ったとして、アースハートと、その関連団体の代表などに対し、27日、東京や愛知など7人の元会員が、受講料や慰謝料などを含めた損害賠償を求める訴えを、福岡地裁に起こした。
アースハート被害対策弁護団の小山一郎事務局長は「(相談者の中には)最後の最後で、何とかすがりたいということで、アースハートの方にすがったところ、そのままお亡くなりになってしまったと」と語った。
今回の原告の1人で、およそ150万円の損害賠償を請求している、福岡県に住む40代のAさん。
Aさんは、3年前に友人に勧められ、福岡市で行われた講演会に参加したのがきっかけだったという。
Aさんは「わたしは、10年くらい前から持病がありまして、医者から治らないというふうに言われてましたので。『痛みをとることができるパワーなので、なんか面白そうよ』っていうふうに、声をかけられました」と語った。
持病がよくなる可能性があるならと、講演会に参加したというAさん。
そこで、数々の驚きの光景を目にしたという。
Aさんは「皆さんにオレンジジュースを配って、代表が壇上から手をかざして、『1本目は甘くなれ、2本目は酸っぱくなれ、3本目は体にいいものになれ』。(実際に飲んでどう?)(味は)あまり変わりませんでしたが、周りの方は、『ああ、甘くなった!』とか、『ああ、酸っぱくなった!』とかいう声が、あちこちから聞こえてきました」と語った。
さらにAさんは「(代表が)『食糧難になったときでも大丈夫です。地球を救うことができます』。大きな野菜を見せて、毎日毎日、野菜に『天主、お願いします』、『大きくなれ』、『体にいいものになれ』というふうに、パワーをかけると」と語った。
ハンドパワーで、野菜の大きさや形を自由に変えられると語ったという。
また、アースハートの関連団体「つくしの会」は、月1回開く「無限塾」という講座を映像にして、会員に提供している。
そこで、野中代表は「何度試してみても痛みはとれる。何度試してみても熱は下がる。そして、自らも、この力を持ったならば、もっと確信に近づくでしょう。確信を得たなら、ありとあらゆる病気が治ってしまっています」と語っていた。
Aさんは、参加した講演会について、「『がんも治ります。医者から見放された方たちが、みんな治っています。このパワーを、ぜひお持ちになって、使ってみてください』。そういうことをずっと話されていました」と語った。
その後、Aさんは近所にあるアースハートの治療所で、体験治療を受けたという。
Aさんは、体験治療について、「普通のアパートの中だったんですけれども、そこに、先生と呼ばれる方と、もう1人、会員の方と2人いらっしゃって。体には触れずに、両手でわたしの体には触れずに、両手でわたしの体を挟むようにして、パワーを15分ほど、当てていただきました」と語った。
その後、Aさんは、このハンドパワーを身につけられるというセミナーへの参加を勧められたという。
Aさんは「わたしが不治の病を持っていることをお話したんですけど、70万円を払えば、このパワーを身につけて、あなたの病気もきっとよくなります。家族の健康も守れます」と語った。
Aさんは自分の病も治るうえに、他人の健康も守れるならと、70万円の受講料を払って、2009年11月、福岡市のアースハートヒルズで行われたセミナーに参加した。
Aさんは、そうしたセミナーや講習会に何度か通ったが、体調は一向によくならないどころか、新たな会員の獲得を迫られるようになったという。
その後、Aさんは講習会のチケットの販売も迫られるようになり、不信感が募り、2010年9月以降、アースハートに通うのをやめたという。
Aさんは「人間というのは弱いもので、病気のときや不幸なとき、家族や大切な人に何かあれば、何とかしたいと思うものです。弱みにつけ込んだずるいやり方で、私腹を肥やすことは、許せないと思う」と語った。
2005年にも、同様の内容で、運営が著しく適正を欠いているとして、関連団体「つくしの会」が、福岡県から改善命令を出されたアースハート。
アースハートは、FNNの取材申し入れに対し、「訴状が届いていないのでコメントできない」と回答した。
アースハート被害対策弁護団の小山事務局長は「わたしどもが、今のところ、相談受けているだけでも、東京から九州各県まで。そういう実態からしても、かなりの数の被害者の方が、日本全国にいらっしゃるのではないかと、考えています」と語った。
これまで、弁護団の損害賠償請求に対し、すぐに返還に応じていたものの、2011年後半から応じなくなったために提訴したという。
弁護団は、事務局に常設の相談電話を設置し、28日、「アースハート・手かざし被害110番」(電話番号・092-735-4777)を行う。