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総力取材・裁判で分かったこと

1月11日 22時20分

民主党の小沢一郎元代表が、政治資金を巡って強制的に起訴された裁判で、最大の山場となる被告人質問が2日間にわたって行われました。
一貫して無罪を主張している小沢元代表が、みずからの事件について法廷で発言するのは、去年10月の初公判以来です。
収支報告書への関与や土地を購入する際に提供した4億円もの多額の資産の出どころについて、本人がどう説明するのか、注目が集まりました。

潔白強調した小沢元代表

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民主党の元代表、小沢一郎被告(69)は、資金管理団体が土地を購入する際に提供した4億円を巡り、収支報告書にうその記載をしたとして、検察審査会の議決によって強制的に起訴されました。
小沢元代表本人への質問は、2日間かけ、休憩を挟んで10時間にわたって行われました。
質問では、4億円の出どころについて小沢元代表がどう説明するかが焦点となりました。
小沢元代表は、10日、「両親から不動産や現金を相続したほか、議員報酬や本の印税などでそれなりの現金を持っていた」と述べ、個人の資産でやましい金ではないと主張しました。

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これについて、検察官役の指定弁護士が、11日、4億円の出どころの説明を検察の事情聴取の中で変えたのかと質問すると、小沢元代表は、「変えていない」と否定したうえで、「銀行の資料で最小限、確認できたものについて説明しただけだ」と主張しました。
しかし、具体的な内訳については、「銀行に記録はなく、正確な記憶もない」と述べ、それ以上の説明はしませんでした。
また、この4億円を銀行に預けずに手元に保管していたことについては、「ずっと以前からそうしていた。何かの必要があるときにすぐに対応できるし、手元にあるのは安全でもある。私の感覚としては、それほど離れたことではない」と述べ、不自然なことではないと強調しました。

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そして、最大の焦点は、小沢元代表の収支報告書への関わりでした。
この点については、10日の弁護団の質問に対し、「私の関心は天下国家の話で、それ以外のことは、すべて秘書に任せていた」と述べたうえで、「収支報告書は今まで一度も見たことはなく、秘書から説明を受けたことも指示したこともない」として関与を否定し、改めて無罪を主張しました。
11日は、最後に裁判官が、疑問に感じた点について1時間以上にわたって質問しましたが、小沢元代表は、これまでと同じ主張を繰り返して不自然な点はないと強調しました。

質問を終えて

2日間にわたった質問の結果について、双方はどう受け止めたのでしょうか。
小沢元代表の弁護団の弘中惇一郎弁護士は、「2日間を通じて主張がぶれることはなく、びっくりする話を突きつけられることもなかったので、裁判官に主張を十分理解していただけたのではないかと思う」と述べ、結果に自信を示しました。
一方、検察官役の指定弁護士を務める大室俊三弁護士は、「小沢元代表の受け答えはおおむね予想通りだった。事実に照らしてその回答でいいのか、私はおかしいと感じている」と述べ、小沢元代表の主張に疑問を投げかけました。

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元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は、「すべてを秘書に任せていたという小沢元代表の説明の不自然さが浮き彫りになった」と指摘した一方で、「全体としては消化不良のすっきりとしない内容で、有罪・無罪、どちらかに傾くようなやり取りは出てこなかった」と振り返りました。

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今後の裁判は

裁判は、11日で実質的な審理は終わりました。
来月17日には、「うその記載について小沢元代表に報告して了承を得た」と供述した元秘書らの捜査段階の供述調書を採用するかどうか、裁判所が決定することになっています。
判決は、論告求刑や最終弁論を経て、ことし4月末にも言い渡される見通しです。
小沢元代表の2日間にわたる発言の内容や調書の信用性について裁判官がどう判断するか、注目されます。

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10日の法廷でのやり取り

11日の法廷でのやり取り